ボーイング旅客機「767」をベースにした貨物専用機は、初飛行から30年が経過するも、まだまだ貨物専用機として高い需要を持っています。この後継について、同社はどのように考えているのでしょうか。

1993年に初飛行した「767貨物専用機」

アメリカの航空機メーカー、ボーイングの貨物専用機「767F」は、2023年時点でANA(全日空)グループのANAカーゴの主力機であることに加え、過去に767Fを使用していたJAL日本航空)が、13年ぶりに導入する貨物専用機もこのモデルが選定されているなど、高い需要がある機体です。

50t超の貨物を搭載できるこの767Fですが、初飛行は1993年。そこからすでに30年が経っています。しかし同社では、767の後継機の開発計画をまだ発表していません。

ボーイングはどのように考えているのか、2023年12月にボーイングのダレン・ハルストボーイング民間航空機部門 マーケティング担当副社長が国内の報道陣の質問に答えました。

民間向けの貨物専用機は、旅客機をベースに改修することが一般的で、ボーイングでも767Fのほか、単通路機の737、「ジャンボ機」と呼ばれる747、そしてJAL、ANAの主力機のひとつである大型旅客機777などをベースにした貨物専用機を開発しています。

現在同社のラインナップのなかで、貨物専用機がないシリーズは、国内航空会社でも多く採用されているワイドボディ機(客室の通路が2本ある旅客機)「787」。2011年に運用が開始され、同社史上でもっとも受注を獲得したワイドボディ機です。

公式サイトによると、標準型の787-8旅客機の場合、標準座席数は248。一方、現在運航されている767シリーズで一般的な「767-300」シリーズの標準座席数は200~250席とされています。

これまでの通例からいけば、787をベースにした貨物専用機が767Fの後継となる見立てが最有力でしょう。

787の貨物専用機、将来開発されるのか?

報道陣からの「787の貨物専用機の開発はしないのか」という質問に対し、ダレン・ハルスト氏は次のように話しています。

「将来的に見ると、767Fが稼働できなくなったタイミングで、787をベースとした貨物機を開発することもあるかと思います。そういったベース機として活用をすることは設計理念のひとつです。需要次第とはなりますが、旅客機からの改造、もしくは貨物専用機として新造することについて、需要を判断しながら検討を進めているところです」

貨物専用機は旅客機より長く運用されるため、貨物機市場では、当面のあいだは767Fがまだまだ活躍することでしょう。しかし、あくまで検討段階ではあるものの、将来的にボーイングは「787F」を生み出す可能性は大いに考えられそうです。

JALのボーイング767貨物機のイメージ。2024年の就航を予定している(画像:JAL)。