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安藤裕子がデビュー20周年を記念したアコースティックツアー「続:アナタ色ノ街」を10月から12月にかけて行った。

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彼女を支えてきた2人と

今年デビュー20周年を迎え、自身のレーベル「AND DO RECORD」を立ち上げた安藤。デビュー以来、彼女を支え続ける“もっさん”こと山本隆二(Pf)、近年の作品のサウンドプロデュースを手がけるShigekuni(B, G)の2人とともに宮城、石川、富山、新潟、長野、群馬、東京、大阪の8カ所でアコースティックライブを行った。この記事では12月1日に行われた東京公演の模様をレポートする。

東京公演の会場は草月ホールだ。静かな雰囲気の中、拍手に迎えられて登場した安藤は、ステージ中央の椅子に腰かけると、山本が奏でる美しいピアノの旋律に乗せてバラードナンバー「シャボン ボウル」を1曲目に歌唱。情感豊かな歌声がホールに響きわたる中、観客は息を呑んでじっと聴き入り、躍動感あふれる「All the little things」「TEXAS」ではハンドクラップリズムを刻んだ。

カバーや遊び心あふれる最新アルバム曲で見せる多彩な魅力

「ほかのツアー会場よりも客席が遠いので、観客に上がってきてもらおうか」などと話し、会場に和やかなムードを生み出す安藤。ミュージシャンを志すきっかけとなったオーディションで歌った思い出の曲だというCharaの「Break These Chain」を繊細にカバーしたかと思えば、「UtU」をグルーヴィに歌い上げ、ボーカリストとしての多彩な魅力を見せていく。

さらに安藤は10月にリリースした最新アルバム「脳内魔法」から、ファンシーなアニメソング風の「スキスギてズキズキ」、踊りながらベースを弾くShigekuniと競うように歌う「Tikpop」の遊び心あふれる2曲を続けて披露。ライブ定番曲「のうぜんかつら(リプライズ)」に続いては、力強いアコースティックギターと穏やかなピアノの音色に乗せてアルバム収録曲「金魚鉢」を軽やかに歌った。

鬼気迫る歌声で圧倒

ライブ後半、安藤は最新アルバム収録の「沈殿する世界」や前作「Kongtong Recordings」収録の「僕を打つ雨」と近年のバラードナンバーを続けて歌唱。緊張感あふれる不穏なムードの「衝撃」や鬼気迫る「nontitle」でオーディエンスを圧倒すると、初期からの代表曲「海原の月」で心に染み入るような歌声を届けた。

そしてライブはアンコールへ。観客の拍手に呼び戻され、「じゃあ初めからやりますか」と笑った安藤が最後に歌ったのは小沢健二の楽曲「ぼくらが旅に出る理由」だ。山本とShigekuniの弾むような演奏、観客のクラップに乗せて、彼女は高らかに歌唱。心地よい歌声と幸福なムードで会場を満たし、ライブに幕を下ろした。

セットリスト

安藤裕子「続:アナタ色ノ街」2023年12月1日 草月ホール

01. シャボン ボウル
02. All the little things
03. TEXAS
04. Break These Chain(※オリジナル:Chara
05. UtU
06. スキスギてズキズキ
07. Tikpop
08. のうぜんかつら(リプライズ)
09. 金魚鉢
10. 沈殿する世界
11. 僕を打つ雨
12. 衝撃
13. nontitle
14. 海原の月
アンコール
15. ぼくらが旅に出る理由(※オリジナル:小沢健二

左から山本隆二(Pf)、Shigekuni(B, G)、安藤裕子。(Photo by Hayato Watanabe)