子どもがかかることが多いといわれている病気の一つに「溶連菌感染症」があります。保育園や幼稚園などで流行することがあり、実際に子どもがかかってしまったという経験をした人は多いのではないでしょうか。

 子どもが溶連菌に感染した場合、どのような症状が出るのでしょうか。風邪だと思って適切に対処しなかった場合、どうなるのでしょうか。合併症の有無や治療法などについて、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

「急性糸球体腎炎」などの合併症を引き起こす可能性も

Q.そもそも、「溶連菌感染症」とはどのような病気なのでしょうか。一般的な風邪と見分けることは可能なのでしょうか。

市原さん「溶連菌は細菌の一種で、正式名称は『溶血性連鎖(レンサ)球菌』です。主に喉に感染して咽頭炎やへんとう炎を引き起こし、咽頭痛や発熱などの症状が生じます。咽頭結膜熱(プール熱)と同様、溶連菌感染症の患者も最近、増加傾向にあるようです。

喉の痛みや発熱といった症状だけで、溶連菌感染症と風邪を見分けるのは難しいです。ただ、溶連菌感染症の場合、舌にイチゴのようなブツブツができる『イチゴ舌』と呼ばれる症状が生じるケースがあるほか、体や手足に赤い発疹ができるケースがあるのが特徴です」

Q.溶連菌感染症が疑われる症状が子どもに出た場合、どうすればよいのでしょうか。薬の服用後、登校や登園が可能なタイミングはありますか。

市原さん「軽い風邪の症状であれば様子を見ても問題ありませんが、先述のように、溶連菌感染症に特徴的なイチゴ舌や発疹といった症状が出た場合は受診しましょう。医療機関で溶連菌感染症の感染が認められた場合は、抗生物質が処方されます。

抗生物質を飲んで24時間経過すると、溶連菌が感染力をほぼ失うため、登園や登校は可能ですが、本人の体調次第です。体調が万全でない場合、無理をさせてはいけません」

Q.溶連菌に感染しているにもかかわらず、一般的な風邪だと思って適切に対処しなかった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。合併症を引き起こす可能性はあるのでしょうか。

市原さん「溶連菌感染症は、38度以上の発熱や関節痛が生じる『リウマチ熱』のほか、血尿やたんぱく尿などが生じる『急性糸球体腎炎』といった合併症を起こす可能性があります。市販の風邪薬を飲んで咽頭痛や発熱などの症状が治まれば問題ありませんが、症状が長引く場合は自己判断せずに病院を受診しましょう」

Q.大人が溶連菌感染症にかかるケースはあるのでしょうか。また、溶連菌に感染した子どもから親にうつるケースは比較的多いのでしょうか。

市原さん「大人も溶連菌に感染します。そのため、溶連菌に感染した子どもから親にうつることがあるので、注意してください」

 子どもが喉の痛みを訴えたときにイチゴ舌や発疹といった症状が見られる場合は、すぐに病院に連れて行きましょう。

オトナンサー編集部

「溶連菌感染症」とは?