クリスマスを前に、街中では婚活パーティーが盛んに行われているため、最近はネット上で婚活に関する記事を見掛ける機会が増えました。パーティーで成果がなかった人が、結婚相談所に入会する可能性が高くなるため、結婚相談所にとって、クリスマス前のこの時期は年間を通じて書き入れ時です。

 筆者は、コロナ禍の2020年から2022年の間、結婚相談所に2年ほど在籍していたことがあります。また、大手結婚相談所「ツヴァイ」のマッチングシステム「結婚EQ診断」(現在はサービスを終了)を監修した経験があり、婚活市場をある程度、知っています。

 そこで、今回は婚活でよく見掛ける事例を踏まえた上で、失敗しないためのコツについて紹介していきます。

話したいことを一方的に展開するのはNG

 以前はハードルが高かった結婚相談所。しかし、婚活ブームが高まったことで結婚相談所はより身近なものになったように思います。さて、皆さんはどのような場所でお見合いをするかご存じでしょうか。基本的に、お見合いは高級ホテルのカフェでするものだと考えてください。

 都内であれば、帝国ホテル(東京都千代田区)、セルリアンタワー東急ホテル東京都渋谷区)、京王プラザホテル(東京都新宿区)などは、まさにお見合いの中心地と言えます。こうしたホテルのラウンジやカフェでは、お見合いのためにスーツ姿の男女が多く着席しています。

 待ち合わせは、カフェの席のほか、生花店やエレベーター前など、ホテル内の目印になるような場所で行うのが一般的です。

女性俳優似の美人に会えると思いきや…

 多くの結婚相談所では、お見合いの直前キャンセルドタキャン)を禁止しています。そのため、お見合いの際に待ち合わせ場所に行かなかった場合、ドタキャンと見なされ、結婚相談所に対して違約金を支払わなければなりません。悪質な場合は強制退会の可能性があるため、お見合い時にドタキャンに遭遇するケースは滅多にありません。

 しかし、結婚相談所などでは「お見合い写真は3割増し」が推奨されており、プロフィル写真を実物よりもきれいに見せる人が多く、待ち合わせをしても相手がどこにいるのか分からないことがあります。

 例えば、男性が結婚相談所の公式サイトで、ある女性俳優によく似た女性のプロフィル画像を見つけ、その人にお見合いを申し込んだケースがあります。当日、男性は期待して、待ち合わせ場所に行きましたが、目的の相手が見当たらず、近くに並んでいる人に、一人ずつ声をかけて探したそうです。そのため、カフェの席で待ち合わせた方がスムーズと言えます。

 なぜ、相談所がプロフィル写真を実物よりもよく見せるよう、会員に対してアドバイスをしているのでしょうか。それは、すてきなプロフィル写真を掲載すればマッチングの件数が増えるため、お見合いのチャンスが増えるのはもちろん、結婚相談所にとっても大きなメリットがあるからです。

 結婚相談所の会員はマッチングの件数に応じて、相談所側に料金(5000円~3万円)を支払うのが一般的です。相談所の運営において、マッチング料は非常に大きな意味を持ちます。マッチング件数が少ないと顧客との間でトラブルになる可能性があるほか、収益にも関わってくるため、相談所は会員に対して、プロフィル写真の修正を推奨しているのです。

「日本食は芸術」と語り始める男性

 お見合いはマンツーマンなので、男性に会話力がないと話が弾みません。会話は簡単にうまくなるわけではなく、慣れも必要です。お見合いで最も多いのが、会話がかみ合わないケースです。例えば、次のような会話です。

女性:どんなお料理がお好きですか? 私は日本料理が好きで、料理教室にも通っています。
男性:日本食は芸術です。日本食はどうやって食べるかご存じですか?
女性:はい、どうやって食べるのでしょうか?
男性:日本食は「目」で食べなければいけません。
女性:えっ、「目」で食べるのですか?
男性:素材への気遣い、お皿との一体感はまさに芸術といえます。
女性:はぁー。
男性:「椀(わん)」の気持ち良さも大切です。
女性:「椀」の気持ち良さ…ですか?
男性:唇が椀から離れた際の気持ち良さのことです。まさに芸術です!!
女性:で、どんな料理がお好きですか? 私は日本食だと天ぷらが好きです。
男性:天ぷらも芸術です。それで…(話が続く)
女性:……(無言)

 お見合いの際に座席で耳を澄ますと、隣の席の会話がよく聞こえてきます。筆者が印象に残っているのは、先述の「日本食は芸術」の会話をしていた男女でした。一方で、会話に長けている人は、人生設計やキャリアプランなどさまざまな話題に適応できます。

 筆者がお見合いに出席したときは、相手との共通項を見つけるようにしていました。年齢、誕生日、星座、血液型、何でもいいのです。共通項があればそこから話を広げることができるからです。相手が持っている普遍的な情報は変えようがありません。

注意すべきはトラブル

 結婚相談所などの恋愛に関するサービスは、トラブルが多いといわれています。そのため、国民生活センターが特定商取引法の対象にしており、書面交付義務や不適切な勧誘行為の禁止、クーリングオフ、中途解約時における損害賠償額の制限などの規制が適用されています。

「成婚率90%」「当社の会員は上場会社の管理職が8割」などの広告を掲げている業者がありますが、実は成婚率90%と表示することに意味はありません。適切なサービスを提供することで成婚率が順調に上がるものではないからです。

 さまざまなトラブルが発生していますが、特に多いのが契約内容に関するトラブルでしょう。具体的には、「入会前の説明と入会後のサービス内容が異なる」「途中で解約した際の返金額が認識と異なる」「成婚料が生じるタイミングが認識と異なる」などです。また、強引に成婚させようとするカウンセラーも存在しますから注意が必要です。

 これから結婚相談所に入会しようと考えている人は、契約内容をしっかり確認するようにしましょう。

コラムニスト、著述家 尾藤克之

婚活で失敗しないためには?