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 日本には「鶴の恩返し」という民話があるが、実際の鶴(ツル)も義理堅いところがあるのかもしれない。

 アメリカ・フロリダ州に住む女性の自宅に、毎朝決まった時間に訪問しリズミカルにドアをノックし「こんにちは」と挨拶しにくる鶴がいる。

 カールと名付けられたその鶴は、女性と友情を築くようになった。以来カールは、自分の家族を紹介するために一家そろって訪問するようになったという。

【画像】 突然やってきた鶴と友情を育む

Crane Introduces His Babies To His Human Best Friend Every Year | The Dodo

 フロリダ州の一部地域には大きな湖があり、たくさんの野生動物が暮らしている。

 オータム・コーチェラさんをはじめ、近所の人たちは皆その野生動物に種などの餌を撒くのが習慣になっている。

 ある日、オータムさんの自宅に突然1羽の鶴がやってきた。その鶴も湖の近くに住む野生の鳥だが、自ら餌を求めて訪問したようだ。

 積極的なオスの鶴をカールと名付けたオータムさんは、以来カールとユニークな友情を育むようになった。

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カールが自分の名前を知っていることに初めて気づいたのは、私が家の寝室からカールを見つけて呼びかけたときでした。

カールはその声に反応して私の家の玄関まで走ってきたのです。そのとき、私たちは友達なんだと認識しました。(オータムさん)
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毎朝ドアをノックして餌をねだるように

 カールは好奇心旺盛のようで、オータムさんの後をついて歩き回るのを日課にするようになった。

 毎日オータムさんの家にやってきてはコツコツとリズミカルにドアをくちばしでノックし自分の訪問を知らせるようになった。

 やがて、カールはガールフレンドと子供を紹介するため、一家総出でオータムさんの家にやってきた。

 オータムさんはうれしくなり、カールのガールフレンドに「カーラ」、そして2羽の子供には「ジュニア」と名付けた。

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 オータムさんと友情を育んでいたカールは、自分の家族を紹介してくれるほどオータムさんのことを信頼するようになっていたのだ。

 遊び好きで若々しく元気なジュニアを、オータムさんは大好きになった。

 なにより興味深かったのはカールがジュニアに自分がマスターしたのと同じドアノックのテクニックを教えているのを見たことだ。

 カールはオータムさん宅の家のドアの前に立つ我が子を背後でそっと見守るように立っていて、その姿を見たオータムさんは心が温かくなった。

 元気に成長したジュニアは、季節が移り変わると立派に巣だった。将来の伴侶を求めて親元から離れたようだ。

 だが、カールとオータムさんの交流はずっと続いていた。

新たに生まれたヒナの1羽が事故死

 巣作りの時期になると、カールはカーラと一緒にオータムさんの家の前の芝生に巣を作った。

 そして今年4月に2羽の新しいヒナが誕生した。新たな家族が再び誕生したのだ。

 ジュニアを紹介してくれたときと同じように、カールとカーラは親になったことを誇らしげにオータムさんに教えに来てくれたという。

 オータムさんはヒナたちを「ケヴィン」「カイル」と名付けた。

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 カール一家との穏やかな交流が続くとばかり思っていたオータムさんの前に、悲劇が訪れた。

 5月のある日の朝、カイルが車に轢かれた。

 事故に気付いたオータムさんは、すぐに地元の動物救済団体に連絡したが、残念ながらカイルを救うことはできなかった。

鶴ファミリーのために看板を設置

 オータムさんにとってカイルを失ったという喪失感は大きかった。

 これ以上鶴が事故に遭わないようにと、オータムさんは湖の周りで採餌したり道路を横断したりする際に、鶴のための横断標識を設置した。

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 オータムさんは毎朝、鶴たちが安全に道路を横断しているかどうかを確認し、まだ小さなケヴィンには左右をよく確認するようにと冗談を言って注意喚起を促した。

 カールがオータムさんのことをとても信頼していることは、カールの普段の様子を見ても明らかだった。

 カールは自分の家族をオータムさんのところに連れてきて、自由に交流させていた。

 ケヴィンがオータムさん宅の玄関マットをいたずらでつついたり、ドアをノックしてオータムさんの夫の昼寝を邪魔したりしている動画がSNSでシェアされているが、そのどれもがオータムさんと鶴ファミリーのユニークで特別な関係を示している。

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成長したジュニアも伴侶を紹介しに来てくれた

 やがて時は流れ、ある日すっかり成長したジュニアオータムさんのもとを訪ねてきてくれた。

 隣には、新しい伴侶がいた。誇らしげで満足そうなジュニアに再会したとき、オータムさんはとてもうれしくなった。

 自分を覚えてくれていたこと、新しい家族を紹介してくれたこと。オータムさんはカールと知り合ったことで、彼の家族がずっと自分と交流を保とうとしてくれていることに感動を覚えたという。

 突然の出会いは、きっとカールとオータムさんにとってはもしかしたら運命的だったのかもしれない。

 動物と人間がともに信頼と愛を共有し、絆を育んでいく。平凡な日常にこそ、魔法の一滴がもたらされ人生が豊かになっていく。

 オータムさんはカールとかけがえのない友情を築けたことをとても幸せに思っている。

References:Crane knocks on human best friend’s door and introduces her to adorable ‘babies’/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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女性と友情を育んだ鶴は自宅のドアをノックし挨拶するように。家族も一緒に連れてくる