壺議員に決別をー。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)2世が、教会への関与が報じられた政治家をデータベース化している。2023年4月の統一地方選では「統一決別」と題し、選挙民に対して独自の情報を発信(https://morusuko.com/touitsuketsubetsu/)。来る解散総選挙に向け、現職衆院議員をリストアップ、年明けのDBリリースの準備に勤しんでいる。

準備ページはこちら。(https://morusuko.com/giindb/index.html)

2022年夏の安倍晋三元首相銃撃事件で話題となった政治と統一教会の関係。一時は「ズブズブ」「壺議員」などの言葉が舞っていたが、徐々に報道も鳴りをひそめた。男性は「報じられてもすぐ忘れられてしまう危機感があった」といい、自身のプログラミング技術を駆使し、可視化を進めた。

衆院議員バージョンは、地方議員版から大幅に詳しく、使いやすくなった。その相棒となったのが生成AI。ChatGPTの機能を最大限に生かし、統一教会との関連の濃淡を1〜5までで評価している。

●関与の度合いは5段階

運営するのは、VTuberのもるすこちゃん。製造業で技術系会社員として働いており、趣味の将棋でAIの最先端の技術について関心を寄せていた。業務効率化のために十数年前から勉強したというプログラミング技術を生かして、仕組みを構築した。

「統一決別! 解散総選挙」は統一地方選のDBよりも大幅にグレードアップ。住んでいる地域の郵便番号を入れれば、選挙区の議員、統一教会との関連性が表示される。関与の度合いは以下の5段階。

1=統一教会との関連報道は現時点では見当たらず
2=祝電・祝辞を受ける
3=教団関連イベントに秘書出席・党調査で「接点なし」と書いていたのにあった
4=教団関連イベントに本人出席・統一教会信者による選挙応援があった
5=教団関連イベントに本人出席し挨拶・教団幹部と同席写真あり

(編集部注:2022年8月、岸田首相自民党所属の全379議員に対し「関係見直し」を指示し、統一教会との接点の有無を調査。何らかの接点があったのは179人だった。しかし、自己申告制にすぎず、被害者らからは「甘い」などの批判もある)

全国のテレビ、新聞のサイトから抽出した記事は3万件で、ここから無関係の記事を除いた7800件について、ChatGPTを活用して関与の度合いを評価させた。

「報道を一つも無駄にしたくないと思うんです。きちんと取材をした結果、記事になっている。評価はAIがしてくれるので、主観は一切入りません」

先般、統一教会関連団体の幹部と面会記録があったと報じられた岸田文雄首相の場合、5に当たる。2023年4月の統一選では、知事や市長、県議、市議など約3800人分のうち約1割に関与が認められた。

「議員をちゃんと評価したい。この仕組みがうまくいけば、どんなアジェンダについてどんな考えを持っているかを一覧することも可能になると思います。投票に行く際の指標にしてほしい」

●「特例法の審議の中心が壺議員」

統一教会を巡っては、解散命令を受けた場合の財産散逸を防ぐための特例法が12月5日、衆院で可決した。全国霊感商法対策弁護士連絡会などが求めていた「即時の財産保全措置」は見送られた。審議当初には、自民の法案提案者・山下貴司氏と柴山昌彦氏に統一教会と過去に接点があったことが、衆院法務委員会で取り沙汰された。

自公は当初「信教の自由や財産権に抵触する」と慎重だったが、修正協議で付則に「施行後3年をメドに財産保全措置のあり方を含めて法律の規定に検討を加える」と明記し、折り合った。

もるすこちゃんは「委員会審議はひどい答弁ばかりでした。統一教会自民党は切っても切れない関係だということが証明されたと思います。付則もほぼ意味のないもの。財産隠しを指をくわえて見るだけの法律」と厳しく批判している。

彼が信仰をやめてから十数年たつが、現役信者である両親は、今も選挙が近づけば、協力に応じている。事件後、2世として発信するなかで国会に行くこともあった。政治は投票に行かなければ変わらないと感じている。

「有権者が壺議員だと知らずに投票することは、政治と宗教の癒着に異議を唱えないということです。選挙支援に至れば、教会に弱みを握られることになり、推し進める政策などに影響する可能性もあります。有権者が監視していく必要があるんです」

統一教会と関係深い「壺議員」を生成AIであぶりだす 2世がDB準備「有権者が監視を」