千葉県幕張メッセで開催中のポップカルチャーの祭典「東京コミックコンベンション2023」(略称:東京コミコン2023)で、コミコンと映画雑誌「DVD&動画配信でーた」のコラボ企画「東京“怖”コン」が行われ、声優でホラータレントとしても活躍している野水伊織、ホラー好きグラビアタレントのRaMu、文筆家・映画評論家のナマニク、「DVD&動画配信でーた」編集長の西川亮が登壇。「DVD&動画配信でーた」読者やSNSで募った2023年ベストホラーの集計結果が発表された。

【写真を見る】声優でホラータレントとしても活躍している野水伊織。『ミッドサマー』のコスプレで登場!

本イベントは、ホラー映画をテーマにした特別ステージ。昨年の「東京コミコン」で誕生し、5月に開催された「大阪“怖”コン」に続いて、再び「東京コミコン」に帰還した。MCは映画ライターの杉山すぴ豊が務めた。この日、登壇者はそれぞれホラーをテーマにしたコスプレで登場。

野水は、アリ・アスター監督の『ミッドサマー』(19)をイメージしたスタイル。白いドレスに花冠を身につけ、あちこちに血のりをつけた姿で「ハンマーでなにかをつぶした後のような姿で来ました」と笑顔で挨拶した。

AI人形による恐怖を描いた『M3GAN/ミーガン』(23)のコスプレをセレクトしたRaMuは、ブロンドヘアのウィッグ&リボンを飾ったミニワンピース姿で、クネクネと身体を動かすミーガンダンスも披露。「キッズサイズを着ているんです。パンツ、見ないでください」とスカート丈の短さを気にして、笑いを誘っていた。

イベントの幕開けは、ホラーコスプレイヤーたちによるステージランウェイからスタート。「13日の金曜日」シリーズのジェイソン、「エルム街の悪夢」シリーズのフレディ、「悪魔のいけにえ」シリーズのレザーフェイス、「ハロウィン」シリーズのブギーマン、「リング」シリーズの貞子や「チャイルド・プレイ」シリーズのチャッキーなど、人気のホラーキャラクターになりきったコスプレイヤーが続々とステージに上がり、異様かつワクワクするような光景が広がった。

会場からも大きな拍手があがるなか、RaMuは「圧巻!等身大のミーガンがいた。めちゃくちゃかわいい」、杉山も「日本で一番怖いランウェイです」と楽しそうにコスプレイヤーを見渡し、野水は「私はマイケル・マイヤーズと『ヘル・レイザー』のチャタラーくんが好きなんです。推しが立体化するとこんなにときめくものなんだなと思った」と声を弾ませていた。

またこの日は、「DVD&動画配信でーた」読者やSNSで募った2023年ベストホラーの集計結果が発表された(11月末までの集計)。10位は『忌怪島/きかいじま』と『テリファー 終わらない惨劇』、9位は『ホーンテッドマンション』、8位は『ミンナのウタ』、7位は『プー あくまのくまさん』、6位は『死霊館のシスター 呪いの秘密』、5位『ヴァチカンエクソシスト』、4位は『Pearl パール』、3位は『禁じられた遊び』、2位は『エスター ファースト・キル』、1位は『M3GAN/ミーガン』という結果になった。『M3GAN/ミーガン』について、RaMuは「優しい怖さ」、西川は「ホラー初心者の人も観やすい」と評価。杉山が「ミーガンはキャラクターとしては秀逸。もうちょっとホラーでもいいかなと思った」と正直に話すと、ナマニクは「ホラーマニアだけではなく、映画を観ている全体の人に向けて『楽しんでもらおう』というエンタテインメントを提供しようとしてしていた」と『M3GAN/ミーガン』の方向性に理解を示していた。

さらに、今後の期待のホラー映画についてトークを展開することになると、西川は『サンクスギビング』(12月29日公開)と『みなに幸あれ』(2024年1月19日公開)をプッシュ。『サンクスギビング』は、クエンティン・タランティーノロバートロドリゲスが手掛けた2007年公開の『グラインドハウス』で上映されたイーライ・ロス監督によるフェイク予告編を、ロス監督自身が長編映画化したもの。ステージには、ロス監督から「クレイジーでゴア満載に仕上がっています。私の魂を込めた自信作です。きっと気にいるはず」というビデオメッセージが届けられた。西川が「感謝祭というお休みがありますが、その感謝祭の日に何者かが街の人々を殺していく。感謝祭の料理を模した殺し方をしていくので、いろいろなおもしろい殺し方が観られる映画」と本作を紹介すると、野水は「気持ちよく人が死んでいく」とにっこり。RaMuも「初っ端からテンションを上げてくれる」と満足感を明かし、ナマニクは「イーライ・ロスは、最新作から逆にさかのぼって観ていくといいかもしれない」とロス監督作品の入口としてもオススメしていた。

一方の『みなに幸あれ』は、祖父母の家に何かがいるという違和感から始まる、第1回日本ホラー映画大賞の大賞受賞作品。主演を務める古川琴音からは「ホラーマニアの皆さんもゾクっとするような作品になっていると思います。ぜひ題名の意味を考えながら観てくださると、おもしろいかなと思っています」とビデオメッセージが到着。観客席には本作の監督である下津優太の姿もあったが、杉山は「これは相当怖い映画」、西川も「本当に怖いし、考えさせられる映画でもある」と監督の手腕を絶賛した。

また本作の総合プロデュースを担当している清水崇監督から、手紙が届くひと幕もあった。野水が代読した手紙には「間違いなく、過去のJホラーにはなかった部類のホラー映画。日本にもとうとう『A24』が手がけるようなホラー作品が生まれたと言いますか…」と『みなに幸あれ』の出来栄えに自信をのぞかせながら、第3回日本ホラー映画大賞の応募が来年夏から始まることが決定したと告げられ「新たな地平を切り開く、ホラー作品の応募をお待ちしております」とホラー映画界の未来を背負っていく才能を待ち望む、清水監督の心境がつづられていた。

ホラー映画に関する情報満載で、観客を喜ばせたこの日のイベント。西川は、ホラー映画に特化した新ブランド「MOVIE WALKER PRESS HORROR」を立ち上げたことを発表した。その情報発信拠点として12月1日にオープンしたスペシャルサイトでは、世界各国のホラー映画やドラマの最新ニュースやインタビューはもちろん、往年の名作や名監督たちにフォーカスした読みもの、配信オンリーの埋もれがちな作品やファン垂涎のカルト作までをボーダレスに掲載していくという。西川は「Webサイトだけではなく、イベントをやったり、本を作ったりもしていく。野望としては映画を作ったり、配給したり、そういうところまでやっていけたら」と展望を語り、「『東京“怖”コン』のように、これからもホラー映画ファンの皆さんと交流できる場所を作っていきたい」と力を込めていた。

取材・文/成田おり枝

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