この良さに気がつかないとは……スーパーカー大王が「不人気フェラーリ」とか言われる4座モデルの魅力を語り尽くす

この記事をまとめると

フェラーリにも不人気と言われているモデルがある

■「なぜこのフェラーリの良さに気づかないのか」というフェラーリを紹介

■2+2や4シーターフェラーリは人気がないと言われるが実用性の高さはピカイチだ

2+2や4シーターフェラーリの魅力とは

 さて、困った。というよりも、困り果てている。だって今回のコラムのお題目は「フェラーリ不人気車」。しかもきっちりといくつかその例も書いてある。けどね、オレ好きなんだよね。不人気車の例として書かれている「400i」とか「456」とか、「FF」とか、「モンディアール」とか、全部。

 要するに編集部的には2+2や4シーターフェラーリは、すべて不人気と位置付けたいというわけなのだろうけれど、なかにはこういうフェラーリのファンもいるわけで、お題目を「なぜこのフェラーリの良さに気づかんのか」へと無理やり変えて、コラムを進めることにしたいと思う。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 まずはフェラーリの歴史における2+2モデルの存在から。フェラーリ初の2+2モデルは、じつは最初のシリーズモデルである166インテルから存在するわけだけれど、1950年代に入ると、一時その姿はラインアップから消えてしまう。復活を遂げるのは1960年に誕生した250GTE 2+2。

 ここからフェラーリは2+2モデルにもより高い運動性能を追求し、1967年には4.4リッターのV型12気筒エンジンを320馬力の最高出力で搭載する「365GT 2+2」まで発表するに至った。その流麗なデザインも高く評価され、4年間に801台も生産されたこのモデルは、オレ自身も大好きな2+2フェラーリの1台。フェラーリは2シーターだけにあらずと考えさせてくれた転機となった1台である

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 そして、その後継車として1971年に登場したのが「365GT/4 2+2」、後に「400」、「400i」、「412」と進化を遂げ、1989年まで生産が続く長寿モデルの始まりとなったモデルである。

 まず見てほしいのは、当時は超近代的と評された直線を基調としたスタイリング。デザインはもちろんピニンファリーナの手によるもので、現代の目で見てもそれには時代遅れの感はない。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 エンジンも排気量こそ前作と変わらなかったものの、ツインカムヘッドの採用で、より扱いやすさを高めた仕様に。インテリアを含めて、じつに高級で端正な趣のデザイン、そしてフィニッシュだ。

 1976年モデルチェンジが行われてデビューした400は、エンジンを340馬力仕様の4823cc版V型12気筒に変更。よりラグジュアリーなドライブを楽しむためにAT仕様が追加設定されたのも大きな話題だった。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 そして1979年には、アメリカに端を発した排出ガス規制への適合のため、ボッシュ製のKジェトロニックを採用した400iへと再び進化。参考までにこれら一連のモデルの生産台数は、365GT/4 2+2が521台、400が501台、400iは1306台という数字だった。

 エンジン排気量を4942ccに拡大した、この世代の最終モデル412は約4年間で403台を生産。フェラーリの2+2には一定のファンが存在しているのだ。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

たとえ中古価格が安価だとしてもフェラーリなのは変わりない

 そして、17年にも及ぶ長寿モデルとなった365GT/4 2+2系の後継車として、1990年代の2+2として、フェラーリ1992年にデビューさせたのが「456GT」だ。

 かつてのデイトナを思わせるピニンファリーナによるエクステリアデザインはやはり美しく、同時に運動性能を重視するために全長を4730mmまでダウンサイジングしていることは、あまり知られてないところ。それはまさに機能美と呼ぶに相応しい造形にほかならないのである。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 エンジンは、トルクフルな5474ccのV型12気筒で最高出力は442馬力。1996年にはAT仕様の「456GTA」も誕生した。

 さらに、デビューから6年後の1998年にはマイナーチェンジ版となる「456M GT/GTA」を発表。ボディのライン構成はよりシンプルなものとなり、大人のためのラグジュアリーな高級2+2クーペとして高い支持を得た。その魅力はもちろんいまでも変わることはない。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 456シリーズの事実上の後継車となる「612スカリエッティ」もまた、人によってその評価が大きくわかれる一台だが、個人的にはかのバーグマン・クーペのモチーフを採り入れたデザインにはとてもポジティブな考えを持っている。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 ならばそのさらに後継車として登場した「FF」はどうか。2011年から2016年にかけて生産され、のちに「GTC4ルッソ」にマイナーチェンジされるシューティングブレークスタイルのFF。4RMと呼ばれるAWDシステムを導入するなど、技術的な話題が豊富であること、そして何より2+2ではなく4シーターとして十分な居住空間が得られていることが、このFFの大きな特長だ。

スーパーカー大王が溺愛する2+2&4シーターフェラーリの魅力を語る

 これ以上に実用性の高いフェラーリがかつて、そして現在においても存在しただろうか。FFの存在価値はいまも変わらない。

 8気筒ミッドシップの「モンディアール」シリーズを含め、なぜフェラーリの2+2モデルは不人気のひと言で評価されてしまうのか。メンテナンスのためにそれなりの維持費がかかるのは、同年代の2シーター車と大きく変わることはないはず。

 人とは違うフォーマルなテイストフェラーリに乗りたければ、これらのモデルをターゲットにしてみるのも悪くはないのかもしれない。

この良さに気がつかないとは……スーパーカー大王が「不人気フェラーリ」とか言われる4座モデルの魅力を語り尽くす