深夜割引の時間待ちで「高速の料金所」手前の本線にトラックがズラリ駐車状態! 危険な有様を解決すべくNEXCOが発表した「新たな割引制度」の中身とは

この記事をまとめると

高速道路を利用するには通行料金を支払う必要がある

■深夜割引の存在によって料金所手前で渋滞が発生してしまうケースも

NEXCO各社は深夜割引の制度を見直すことを発表している

深夜割引適用待ちによる渋滞が発生

 長距離移動をするクルマにとって、高速道路は時間短縮できる非常に有効な手段。快適で燃費も向上するので、利用価値は高い。しかしその反面、高速道路を通行するのは料金がかかる。建設費やメンテナンスに費用がかかるので当然だが安くはないため、どうにか節約しようと思うドライバーは多いはずだ。仕事でトラック輸送を担うドライバーにとっては、さらにシビアな問題だが、高速道路を運営するNEXCO各社も、利用してもらう頻度を高めるためにさまざまな割引制度を用意している。

 トラックの場合、日常的に高速道路を利用している運送会社には法人カード(ETCコーポレートカード)による大口割引を実施している。これは1台あたり1カ月平均3万円以上使用していれば、10%から30%(ETC2.0の場合最大40%)の割引が受けられ、会社全体で1カ月の高速道路代が500万円以上であれば10%の割引が受けられる、というもの。これを利用している運送会社は相当多いハズだが、運賃とは別に高速料金を元請け会社に請求できないケースが多いためか、さらに高速料金を節約しようというトラックドライバーが少なくない。

高速道路の深夜割引の見直しの内容とは

 それが深夜割引の併用なのだ。深夜割引とは、午前0時から午前4時までの間にETCゲートをくぐった車両に適用される30%の割引のこと。

 通勤などを想定した平日朝&夕の割引は大口割引とは併用できないが、深夜割引は併用が可能なのだ。それゆえ、午前0時近くになるとETCゲートの手前、とくに物流の大動脈の起点である東名高速道路東京料金所では、深夜割引適用待ちのトラックが路肩から停車をはじめ、最終的には一番右の追い越しレーンまで停車してしまうという、渋滞を引き起こしてしまうのだ。

2024年中には新しい制度が適用される予定

 このためNEXCO各社は、この危険な深夜割引待ちの渋滞を解消させるために、深夜割引の制度自体を見直すことを発表している。2024年中には新しく適用される予定の新しい深夜割引は、深夜割引の時間帯に走行した区間のみを割引の対象とし、時間帯を午後10時から午前5時まで拡大する。

 今回の新制度を導入するために、高速道路上にはETC無線通信専用のアンテナを設置して、走行中の車両ごとの通行記録を収集することになるそうだ。

 従来、長距離走行による割引制度である長距離逓減制を見直し、400km以上の走行に対しては40%から50%の割引を適用する(従来は30%)そうだ。これにより昼間の走行でも割引が受けられることになる。さらに現在は支払額を割り引く仕組みであるのに対し、新制度ではETCコーポレートカードやETCマイレージサービスへの還元に変更される。

高速道路の深夜割引の見直しの内容とは

 また激変緩和措置として、長距離ドライバーの場合は深夜割引の対象時間帯以外でも1000kmを超える分は割引対象として、逆に午後10時台に高速道路を降りた場合は割引率が20%とすることが発表されている。

 新制度によって、午前0時東京料金所渋滞は解消されるだろうが、運送会社の経営やトラックドライバーの生活を締め付けることになっても、本末転倒というもの。建設費償還の延長によって無料になることは夢と消えただけに、高速道路各社には一層の経営努力により料金の引き下げを望みたいところだ。

深夜割引の時間待ちで「高速の料金所」手前の本線にトラックがズラリ駐車状態! 危険な有様を解決すべくNEXCOが発表した「新たな割引制度」の中身とは