「喫煙」は、がんや心筋梗塞をはじめ、さまざまな病気のリスクを上昇させることがよく知られています。生活習慣との関係が深い「糖尿病」も、喫煙によってリスクが上がるといわれているようですが、実際のところはどうなのでしょうか。糖尿病と喫煙の関係について、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

1日20本以上のたばこで、リスクが1.5~2倍に

Q.「喫煙」によって、糖尿病の発症リスクが上昇するというのは本当ですか。

市原さん「本当です。喫煙が交感神経を刺激することで、血糖値が上昇します。また、喫煙がインスリンの効き目を弱めることも分かっているので、これらが相まって糖尿病のリスクを上げていると考えられます。

なお、1日に20本以上たばこを吸う人は、吸わない人に比べて約1.5~2倍、糖尿病にかかりやすくなるという研究データが複数あります」

Q.従来のたばこ(紙巻きタイプ)と、「加熱式たばこ」「電子たばこ」とでは、糖尿病リスクの上昇において何か違いはありますか。

市原さん「加熱式たばこや電子たばこでも、糖尿病の発症リスクが上昇するという報告があり、これには加熱式たばこや電子たばこに含まれる複数の化学物質が関連していると考えられています」

Q.喫煙者が身近にいるなど、常に「受動喫煙」の環境下にいる非喫煙者の場合は。

市原さん「受動喫煙でも糖尿病のリスクは上がります。理由は喫煙者と同じで、交感神経の刺激による血糖上昇や、インスリンの効き目が弱まることが原因と考えられています」

Q.喫煙者本人が、糖尿病のリスク上昇を抑えるためには、やはり「禁煙」しかないのでしょうか。

市原さん「もちろん禁煙は大切です。さらに、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣の乱れ、睡眠不足も糖尿病のリスクを上げます。規則正しい生活を心掛けて、適正体重を維持しましょう」

オトナンサー編集部

喫煙と糖尿病の関係とは…