映画『隣人X -疑惑の彼女-』の舞台挨拶付き台湾プレミア上映と記者会見が、12月8日(金)・9日(土) に台湾で開催された。

上野樹里にとって7年ぶりの映画主演作となる『隣人X -疑惑の彼女-』。世界には紛争のため故郷を追われた惑星難民Xがあふれ、各国がその対処に苦慮していた。そんな中、週刊誌記者の笹憲太郎(林遣都)はX疑惑のかかった柏木良子(上野)の追跡を始める。ふたりは少しずつ距離を縮め、やがて笹の中に本当の恋心が芽生えるが、良子がXかもしれないという疑いを拭いきれずにいた。良子への想いと本音を打ち明けられない罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれる笹が最後に見つけた真実とは――。

12月15日(金) からの台湾での公開を控え、キャンペーンのため台北松山空港に降り立った上野と熊澤尚人監督。到着するやいなや、「キャー!!」という歓声が上がり、「台湾へようこそ!」「長旅お疲れ様!」など、現地のファンからの熱烈な歓迎ムードに包まれ、上野も笑顔で応えた。その後、車に乗り込んだ後も窓を開けてファンに手を振り続け、惜しまれながら舞台挨拶の会場へ向かった。

映画上映後、割れんばかりの大歓声と拍手に迎えられて登壇した上野と熊澤監督。上野がこの日駆けつけた約500人のファンに対して、中国語で「大家好(みなさんこんにちは)」と挨拶すると客席からは大きな歓声が上がった。上野は劇中のセリフにもあった中国語を今回も披露し、舞台挨拶は和やかな雰囲気で始まった。

続けて中国語で自己紹介を行った上野は、作品について「(映画は)楽しんでいただけましたか?」と観客に問いかけると、多くの観客から「良かった!」と返事があり、舞台挨拶ならではのコールアンドレスポンスで会場を沸かせた。さらに、「私はタピオカミルクティーと小籠包食べました!」と上野のお茶目さが伺える発言も飛び出し、台湾での公開の想いや本作に込めた想いを熱く語った。

熊澤監督は、本作を映画化した理由に関して「原作小説が“無意識の偏見”をテーマに描かれていたものでした。コロナを経験して人との距離が変わったと感じる中で、“無意識の偏見”を扱った映画にできるのではないかと思い、映画化したいと思いました」と映像化に至った並々ならぬ思いを語った。

本作のオファーを受けた決め手は何かと問われた上野は、「タイトルにまず魅かれてオファーを受けました。隣の人、親しい人なのに、Xという異質なワードが入っていて。コロナ禍でオファーをいただいたのですが、直接会うことが難しくなり、隣にいる人の心と心が通い合う機会が減っていたタイミングだったんです」と、2年前のオファーを受けた頃を思い出し、懐かしむ様子。そして、「17年ぶりに熊澤監督とご一緒できることが楽しみでした。ラブストーリーだけでも謎解きのミステリーだけでもない、大切な社会的なメッセージも散りばめられている気がしました」と、7年ぶりの主演作へのやりがいを強く感じたという。

本作で17年ぶりにタッグを組んだ上野と熊澤監督。それにちなみ17年前と変わった部分・変わっていない部分を問われると、熊澤監督からは「上野さんは17年前と変わってないです」と意外な回答が飛び出し、会場からも思わず「えー」と驚きの声が漏れた。続けて「今回上野さんに主演をお願いしたのは、周りの価値観に振り回されることなく、自分で感じて自分で考えて決められる人だから。そこが素敵で、魅力的だと思っています。そして、今回の主人公はそういう方にやってほしくてお願いしました」と起用理由を明かした。

変わった部分に対して「上野さんは大人になってすごく柔らかい人になりました。大人の魅力がいっぱいになりました」とにこり。上野は「(監督とご一緒したのが)20歳の頃で、周りが見えない時期でしたが、今回は落ち着いてしっかり向き合うことができて、とても濃い時間になりました。改めて監督はすごいなと思いました」と尊敬の念を口にする。続けて、「隅々にまで熊澤監督の神経が行き届いていて、観る度に面白いし、結末が分かって観ると、より感情移入できます」と何度でも観て欲しいと力強くアピールし、作品への自信をのぞかせた。

最後の挨拶で熊澤監督は、「この映画の中には、“普通はこうだから、こうあるべき”という描写が時々出てきます。“普通じゃなくてもいいじゃない”という良子のセリフにもあるように、普通というのは、周りから決められることではない。“自分らしい”という言葉に置き換えて、自分らしさとは何だろうか?と教えてくれる映画に、上野さんのおかげでなったと思います」と主演の上野への感謝を述べた。

上野は「映画はしっとりとしたトーンですが、ラブストーリー・サスペンス・社会派など、色々な要素が入っています。台湾の方がどう感じるのか、楽しみです」と声を弾ませる。続けて「クリスマス、年末とみんなで盛り上がる楽しい季節ですが、この映画を観ると、自分自身の心の純度が見えてくると思います。台湾の方の熱量を今日感じることができてうれしいです。ありがとうございました」と締め括った。最後に、本作のタイトル『隣人X -疑惑の彼女-』にかけて、腕を交差させた「Xポーズ」で観客と共に記念撮影を行い、舞台挨拶が終了した。

翌日に行われた記者会見では、台湾人気女優の黃姵嘉(ファン・ペイチャ)も合流し、憧れの上野と共演した感想や、本作を通して伝えたい想いを語った。

台湾に来た感想を問われた上野は、現地のファンとの交流や夜市を訪れてみて「みなさん警戒心を持たず、人の目を気にせずに、隣にいる人とただ楽しく話しながら歩いている。これが自然体だなと感動しました」と時には涙で声を詰まらせながら熱く語った。続けて、「“普通”って麻痺しがちなものですが、台湾に来てみて、人がいるって温かいんだなと感じました。ひとりでいても独りじゃないと感じ、心がとても解かされて、身体の調子もすごくよく、リラックスすることができました。大事な感覚を台湾に来て思い出させてもらえました」と素直な感想を述べた。

熊澤監督も「僕は台湾が大好きなんです」とはにかみながら答えた。「台湾に来ると、自分の心が本当に洗われます」と先ほどの上野のコメントに共感し、「是非、台湾の方にも本作を鑑賞していただいて、感想を話し合っていただきたいです」としっかりとアピールした。上野も「台湾のみなさんに観て頂いて、どんな風に日本を感じて頂けるのか、いろんな感想を楽しみに待っています」とコメントした。

そして、上野が演じる良子のアルバイト先の同僚で、台湾人留学生・林怡蓮(リン・イレン)役を務めた黃姵嘉との共演に対し、「今回はペシーさんが出演してくれたことで、日本映画の世界観に大切なエッセンスを加えて頂いたと思います。本当にありがとうございます」と声を弾ませた。「まっすぐに気持ちを伝えるというのはシンプルなことなのに、SNSが発達することで逆にできなくなっていたり、普段忘れかけていたことや、素直に表現できない気持ちを、ペシーさんが演じるレンから言葉を超えて感じるものがすごくありました」と、自身もハッとさせられる瞬間あったと告白。「台湾・日本のどちらの方にも言葉を超えて交流できることが嬉しいです。共演できてよかったです」と隣に座っていた黃姵嘉に対し、照れくさそうに微笑んだ。

オフィシャルな場以外にも、上野と熊澤監督は夜市散策を楽しむ様子を急遽インスタライブにて配信。劇場から駆けつけたファンと交流しつつ、屋台での食事を満喫するなど、思い出に残る台湾キャンペーンとなった。

<作品情報>
映画『隣人X -疑惑の彼女-』

公開中

公式サイト:
https://happinet-phantom.com/rinjinX

(C)2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 (C)パリュスあや子/講談社

『隣人X -疑惑の彼女-』台湾での記者会見の様子