試合中に監督や選手が待機するベンチ“ダグアウト”で語り合うような、ディープな野球トークが繰り広げられるバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週火曜夜10:00-11:00、BSJapanext<263ch>)。12月5日の放送では、栃木ゴールデンブレーブスのチームメイトである川崎宗則成瀬善久コンビが登場した。

【写真】川崎宗則と成瀬善久が贅沢に野球スキルをコーチング

ムネリンのキレッキレトークに岡田もタジタジ

同日のゲストは、栃木ゴールデンブレーブスで選手権ヘッドコーチを務める成瀬善久と2回目の登場となる川崎宗則コミュ力の高さが持ち味の“ムネリン”こと川崎が、前回から続投した形だ。

同じチームに所属している2人を、MCのますだおかだ・岡田圭右と上田まりえが迎える。話題は、今年リーグ優勝を果たした阪神タイガースオリックス・バファローズの強さについて。現役の球界人である2人だけに、いつも以上にディープで洗練されたトークが繰り広げられた。

まず川崎が最初に両チームが持つ“強さの秘密”として挙げたのは、監督による環境づくり。たとえばバファローズ中嶋聡監督は、選手の使い方が上手だという。中嶋は現役時代にゴールデングラブ賞ベストナインを獲得した名選手でもある。またさまざまなチームに所属した経験が、選手を選ぶ観察眼を養ったのかもしれない。

さらに川崎が中嶋がとった方策で太鼓判を押していたのが、“ピッチャー陣の気持ちを盛り上げる”というやり方だ。中嶋はコーチ陣とうまく連携を取りながら、投手陣を精神面でもサポートしているという。

対してタイガース岡田彰布監督については、さまざまなチームの監督をしてきていることから「余裕がある」と表現。「おじいちゃんとあったら落ち着くじゃないですか。あんな感じです」「イライラしてたけどおじいちゃん家に行ったら、なんかほっとするわっていう感じ」と独特な言い回しで表現した。

中嶋のときとは打って変わった小ボケに、岡田からは「ということは、“岡田監督はおじいちゃん”でいいですね!?」とツッコミが入る。まったく技術的な話が出てこないままでいいのかというツッコミだが、「癒されるの。じいちゃん子だったからわかる!」と川崎は譲らない。それどころか、おじいちゃん監督の良さはメジャーでも同様だと話を展開していく。

おじいちゃんと孫の関係は良いんすよ!」「父ちゃんと息子だとギャーギャーやるけど、じいちゃんと孫はギャーギャーやらない」と家族にたとえて主張を続ける川崎。“強さの秘密”がわかるようなわからないような解説に、スタジオは温かい笑いに包まれていた。

■「先輩方ほんと怖かったんで」爆弾トークにスタジオ大盛り上がり

次の話題として“野球をする上で、アドバイスをくれたりお世話になった選手”を尋ねられた成瀬。即座に名前が挙がるのかと思いきや、「意外とロッテ(千葉ロッテマリーンズ)ってあんまりないなと思って…」と当時を振り返って苦笑いを見せる。

まさかの返答に困惑した空気が漂い出すスタジオ。「ロッテだけじゃなくて良いんだよっ」「お世話になってる誰か。野球界じゃなくても良いから。あのー。誰か(笑)」見かねた川崎が助け舟を出すが、外野である岡田は笑いを堪えられない。

成瀬がロッテに所属していた時代を振り返ると、活躍していた選手は自分よりも8、9歳くらい上の年齢がボリューム層だったようだ。清水直行渡辺俊介などの名前を挙げ、「僕が一番若かったので」という。投手としての心構えを聞こうにも、年齢が離れた大先輩たちに積極的に絡めなかった…という話なのだが、岡田がウキウキでほじくり返す。「そんな感じに見えへんかった。一番落ち着いてたから」「入ったときから大ベテラン」と小ボケを挟みつつ相槌を打つようすに、上田も頷いていたのが印象的だ。

しかしこのままでは成瀬が“誰にも世話になっていない”という話で終わってしまう。同じ球界の人間として動かずにはいられなかった川崎から「冷静なピッチャーを炎上させるのか」とツッコミを入れられ、スタジオはまた大きな笑いに包まれた。

あらためて上田から、ロッテ時代の同年代の西岡剛選手との関係性を聞かれた成瀬。すると以外にも、「僕からは話しかけられない」と内気な性格が明らかに。どちらかというと声をかけてくれるのを待っているスタンスだとしたうえで、特に西岡は「ヤンチャなところがあるんで…」と笑いながら自身が西岡に持っている印象を明かす。

「西岡はヤンチャ」発言に、岡田は手を叩いて大喜び。野球に真面目に取り組む控えめな人柄である成瀬から見て、西岡が相当ヤンチャに見えたのかもしれない。岡田は成瀬を「完全な文化系やもんな」と理解を示したうえで、「移動のときも物静かにしているタイプでしょ成瀬さん」と水を向ける。成瀬はそんなことはないと話しつつも、「先輩方ほんと怖かったんで」とまたもや爆弾を投下した。

「ばかだなぁ。なんで怖いとかいうんだよ…」成瀬の発言に、川崎が小さい声でボソボソボソ呟く。もちろん成瀬も先輩の悪口を言いたいわけではない。成瀬が1軍でプレーするようになったのは21〜22歳だったので、怖いというイメージを持ってしまっていたようだ。「仲良くなるとすごく優しい」とフォローを入れ、「1人挙げるとするなら、同じ栃木県出身の渡辺俊介さん」とようやく“お世話になった人”を挙げる。

危険な前振りばかりだった成瀬に、岡田は「それでいいんですよ。みんな怖かったとかいらんこと言わんでええねん」とキレキレのツッコミ。そして「西岡さんがやんちゃやったとか言わんでええねん。…ごっつランボルギーニ乗ってたけどな!西岡さん!」と言いながら椅子に浅く腰掛け、手足をピーンと伸ばした。西岡が高級車に乗っているようすを誇張したモノマネに、スタジオは再び笑いで包まれた。

ちなみに「成瀬さんはファミリーカーやろずっと、頼むでほんま。あんな派手な車乗ってへんやろ」と岡田が回収しようとしたところ、成瀬が「僕はベンツ…」と答えるという見事なオチまで。コントのようなやり取りだ。

■岡田の“回し”テクが光る

バラエティ番組というのは、いわゆるトークのプロが集まって盛り上げるプログラム。だが「ダグアウト!!!」のように芸能界の外からゲストを呼ぶ場合、面白さを担保するにはMCの技量が重要になってくる。バラエティ慣れしていない成瀬のように、少し振った話の主旨と回答があった場合でもオチをつけて笑いに変える必要があるからだ。

上下関係に厳しい球界人の人間として、「先輩方ほんと怖かった」という発言は扱い方によっては爆弾になる。ただそこを超えて引き出した一言から笑いに持っていく岡田の手腕は、さすがベテランの風格を感じさせた。

「ダグアウト!!!」はMCを固定しない方式だが、やはりトーク力・盛り上げ力の強いメンバーが1人いるときは“神回”になりやすい。ゲストとMCの組み合わせによる化学反応も楽しめる同番組。ちなみに次回は、成瀬から「ヤンチャ」呼ばわりされた西岡剛平田良介が登場する。初MCを務める真中満とどのようなトークが繰り広げられるのか、期待したい。

川崎宗則の“崎”は、ただしくは“たつさき”

成瀬善久の制御不能な爆弾トークに川崎宗則もヒヤヒヤ/※提供画像