佐々木千隼

「7年前にドラフト会議を見ていて、当時の監督さんの(アレックスラミレスさんがクジ引いてくれないかなと思っていたので、こうしてベイスターズの一員になれてすごい嬉しく思っています」。8日に行われた2回目の現役ドラフトロッテからベイスターズに移籍が決まった佐々木千隼は、会見の席で精悍な顔を少しだけ綻ばせた。

 

■意中だった球団へ突然の移籍

笑顔の裏を紐解くには、2016年のドラフト会議を振り返る必要がある。この年は創価大の田中正義が1番人気で、ロッテソフトバンク、巨人、日本ハム、広島と5球団が1位入札。クジ引きの上、交渉権をソフトバンクが手にすると、いわゆる“外れ1位”で田中を外した4球団と、明治の柳裕也のクジを外したDeNAがこぞって桜美林大の佐々木千隼に殺到した。

結果ロッテが交渉権を獲得したが、佐々木は内心ベイスターズへの憧れがあったと、7年ぶりに明かしたのだ。

これには「野村さんがいらした球団ということもあって、ベイスターズは大学のときから憧れがありました」と98年の優勝メンバーで、最多勝にも輝いた実績を持つ野村弘樹氏が桜美林大で指導にあたっていたことが理由。

思わぬ形で7年越しの夢が実現したことに「凄く嬉しく思いますし、そこで活躍したいなという思いがあります」と意を新たにしていた。

 

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■憧れのチームをテッペンに

現在のベイスターズには、「同級生の佐野(恵太)、京田(陽太)、濱口(遥大)」の同期ドラフト組が多く在籍。さらに「後輩の楠本(泰史)とも大学生の頃から交流があります」と日の丸を背負って戦った仲間の存在も心強い。

2021年途中にロッテに移り、公私共に仲のいい国吉佑樹からも「すごいいいチームなので、すごいやりやすいと思うよと仰ってました」と太鼓判を押されたことも、ポジティブになれた要因だろうと推測できる。

数奇な運命に導かれ、横浜の地に着いた右腕。2021年には54試合登板と優勝争いしたロッテブルペンの中核を担った経験と実績を武器に、憧れていたチームをテッペンまで押し上げるピースとなる。

現役ドラフトで移籍の佐々木千隼、「大学の頃から憧れがあった」 7年のときを経てベイスターズへ入団の数奇な運命【DeNA】