JR北海道は、1988年に登場した721系の置き換えに本格着手します。現在明らかになっているだけでも、100両以上の新車が投入されるようです。

1988年に登場した721系の置き換えに本格着手へ

JR北海道は2023年12月、札幌圏に投入する通勤形車両の一般競争入札の予定を公表。75両の通勤形車両を導入する方針を明らかにしました。同社によると、この新車両は1988年に登場した721系を代替する車両になるといいます。721系には、他の札幌都市圏の通勤形電車にはない車内設備がありますが、それが見納めになるかもしれません。

今回投入することが明らかになったのは、「札幌圏通勤形交流電車6両固定編成」が36両、「札幌圏通勤形交流電車」が39両の計75両。6両固定編成の36両に関しては、車両の仕様書案などの提出を求める意見招請が公示されています。今後、一般競争入札で車両製造会社を決定する見込みです。

また、今回投入されることが明らかになった75両とは別に、6両固定編成の新車42両を川崎車両が2022年に落札しています。こちらは既に製造に向けた動きが本格化しているとみられ、札幌都市圏には合計で100両以上の新車が投入されることになります。

札幌都市圏には、2012年から733系が導入されています。今後導入される新車は既存の733系の増備になるのか、それとも新形式に切り替わるのかは鉄道ファンにとっては気になるところです。

JR北海道によると、2023年12月に投入することを明らかにした75両については「これから一般競争入札を行うため、形式に関しては現時点では未定です」とのこと。また、川崎車両が既に落札した42両についても、車両の形式については現時点で回答できないとしています。

“フツーの電車”になっちゃう!?

置き換え対象となる721系は、札幌圏の通勤形電車では唯一の転換クロスシートを備えています。北海道の寒さに対応するため、通勤形であるにも関わらず、特急車両でよく見られるデッキを設けていることも特徴です。

731系733系など、721系より後に登場した車両は、ドア付近に外気を防ぐエアカーテンが装備されたため、デッキは廃止。座席もクロスシートではなくロングシートになっています。

721系の代替車両が全てロングシートで製造されれば、札幌圏の通勤型電車からクロスシートが消えることになります。JR北海道は「座席の形態など、車内設備に関しては利用状況を鑑みながら検討していきます」としており、札幌都市圏を完全にロングシート化するかどうかは決まっていないとしています。

今後置き換えが進められる721系(画像:写真AC)。