田中美久のアイドル最後のシングルとなるHKT48の17thシングル「バケツを被れ!」が、12月20日(水)にリリースされる。田中に、グループ卒業を決めた心境、メンバーやファンへの思い、今後の活動、そして最後のシングル曲についてなど、さまざまなことを語ってもらった。

【写真】やり残したことはない…すっきりした表情で卒業について語る田中美久

2013年に12歳でグループに加入した田中は、同期の矢吹奈子との“なこみく”で人気を博し、2014年3月リリースの3rdシングル「桜、みんなで食べた」で初の選抜入り、2018年5月の11thシングル「早送りカレンダー」では、矢吹とともにシングル表題曲で初めてセンターを務めた。指原莉乃ら先輩の卒業、宮脇咲良と矢吹がIZ*ONE活動専念のためHKT48の活動を休業している間も、中心メンバーとしてHKT48を引っ張り、近年ではグラビア活動でも注目の存在に。ほか、9月まで放送されていたドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)に出演するなど、俳優としても活躍している。2023年10月12日の劇場公演でグループ卒業を発表。12月29日(金)に卒業公演、2024年3月9日(土)に福岡サンパレスホテル&ホールで卒業コンサートを開催する。

■卒業を決めたのは宮脇咲良&矢吹奈子が復帰した頃

――いよいよアイドルとして最後のシングルが発売されますが、まず卒業を考え始めた時期から教えてください。

考え始めたのは、さくちゃん(宮脇)と奈子がHKT48に帰ってきた時に“私は卒業しよう”って決めていたので、その頃からどんどん話を進めてはいました。そこから卒業メンバーも控えている中で、自分がいつ卒業しようかっていう感じで活動を続けていて。そんな中で自分が10周年を迎えて、これから11年目になるのと、やっぱり今22歳で、ここからもう一つ新しいスタートを切れるっていうのが大きいなっていうのを考えて今だなと思って、今卒業しようって強く決めて伝えました。

――迷いはなかったですか?

迷いはないです。さくちゃんたちが帰ってきた時からずっとスタッフさんには相談していて、スタッフの方々から『できればいてほしい』ってずっと言ってくださっていた環境はすごくありがたかったんですけど、自分の人生についても考えるようになってきたので、たくさんの意見を交えた上で卒業することを決めました。

――卒業発表をした時にも「来年からは1人の人間、田中美久としてこれからの人生楽しんでいきたい」とコメントされていましたね。

そうですね。これからはHKT48のことを一番ではなく、自分を一番に考えながらしばらくは活動していきたいなと考えています。

■卒業後は「幅広く活動していければ」

――卒業後のことは決めていますか?

活動を一本に絞るっていうより、タレントや演技、バラエティーだったり、グラビアだったり、幅広く活動していければと思っています。

――アイドルとしては終止符を打つわけですが、やり残したことはないですか?

やり残したことが本当になくて、11年目に突入しましたし、それも卒業を考える一つでした。「来年の目標は何ですか?」とかインタビューをよくしていただけるんですが、その時に“目標がかないすぎて、ないな”って実感して。すっごくきれいな形で卒業できる感じがしていてうれしいです。

■卒業の相談はあまりしなかった

――IZ*ONEの2人が復帰してから卒業を決めたとのことですが、その後に宮脇さんや矢吹さん、本村碧唯さん、運上弘菜さんなど他のメンバーが先に卒業していきました。

奈子は結構前から感じていて分かっていたんですけど、他のメンバーの卒業まではさすがに分からなかったから、みんなの発表が本当に驚きで、後輩の気持ちを考えたら不安だろうなっていうのは伝わってきていました。でも、そこはドンッと構えて、逆にチャンスだと思ってほしいなって私は思っています。

――田中さんは卒業のことを矢吹さんに相談されたんですか?

卒業すること自体、あまり誰にも相談はしてなくて、先に卒業された指原さんだったり(田島)芽瑠ちゃんには言っていたんですけど、奈子とはお互いが卒業するっていう話はしたことありますが、卒業する相談はあまり頻繁にはしなかったです。卒業だけではなく深い話ができる仲なので、いろんな話をしています。

ブレークするポテンシャルを持つ子が勢ぞろいしたのがHKT48

――指原さんの卒業、宮脇さんと矢吹さんが韓国での活動に専念されている間、メンバーみんなでHKT48を盛り上げていたわけですが、その中でも田中さんが全力でグループを引っ張り、守っていたことをファンの皆さんは分かっています。

指原さんからも「さくちゃんと奈子ちゃんがいない間、HKT48を引っ張ってくれていたのは間違いなく美久だよって言ってもらえました。それがファンの人にも伝わっていたなら、私は自分の役目を果たしたって思えるからとてもうれしいです。“良かったぁ”って一安心しています。

――ただ、個人でも活躍されている田中さんが卒業することで、今後のHKT48の活動に不安を感じるメンバーやファンはいると思います。

でも、指原さんが卒業した時は自分もまだまだでしたし、そういう面ではやっぱり人は変わっていくと思うんです。今のHKT48を見ても、ブレークするだろうなっていうポテンシャルを持っている子が勢ぞろいしたのがHKT48だと思っているので。

「また大きいステージに立ちたい」って後輩が言っていた言葉がすごく響きました。“次は私が引っ張っていくぞ”っていう意気込みのあるメンバーたちがいるなら、HKT48は絶対にこれからもっともっと全国区になっていくんじゃないかなって、私は期待しています。

■「かわいさが世に知れ渡っていく…ワクワクが止まらない」

――そんな期待の後輩の中の2人、石橋颯さんと竹本くるみさんが、次のシングル「バケツを被れ!」でWセンターを務めます。初選抜も4人いて新しい風を感じる新曲となりそうですね。

今回の選抜メンバーの中で、自分が一番先輩なんです。そのシングルで卒業するっていうのもすごく感慨深いですし、センターをやってくれる2人は、私が奈子ちゃんと(2人で初センターを務めた)『早送りカレンダー』をやった時期とちょうど同じくらいの活動期間なんです。

いぶきとくるたんがセンターなので、これからどんどんどんどんかわいさが世に知れ渡って人気になっていくんだろうなと思うとワクワクが止まらないですし、初選抜の子もみんなポテンシャルの高い子ばっかりなので、これからのHKT48を温かい目で見ていただけたらと思います。

「誰かの穴を埋めなきゃいけない」っていう思いとかもメンバーの中にあったりするんですけど、私的には穴を埋めなくてもHKT48は変わっていくものだから、全然そういう気持ちではなく、自分の色をつけていくだけでいいんだよっていうのを伝えています。

でも、やっぱりどうしてもメンバーたちは「誰々が卒業したからどうしよう」って言っちゃうんですよね。でも、安心して今のメンバーに任せたいです。

――最後のシングルとなる田中さんがセンターなのかなと思っていた人も多いと思います。

新しいこれからのHKT48を見せるためには後輩がセンターに立つべきだと思うし、心の中でセンターとして見ていただけたらいいなとも思います。

■この歌詞を胸に次へ羽ばたいていきたい

――そんな新曲はどんな曲ですか?

「どんなことがあってもなんとかなるし大丈夫」っていう心に寄り添える歌詞だなと私は思っていて、ミュージックビデオではアイドルがバケツを持って踊っているという、なんとも斬新で楽しい映像になっています(笑)。48グループでバケツを持って踊るアイドルは絶対いないと思うので、すっごく面白いMVになっていると思います。

――歌詞を見ると田中さんを送り出す曲にも感じますね。

そうですね。いろんな意味に捉えられると思うんですけど、自分でも卒業するシングルとなった時に、「君の未来がけがしないように」とか「何があっても大丈夫だ」っていう意味が込められた歌詞になっているので、私も何かあったらバケツを被るというか(笑)、身の回りにあるものをバケツじゃなくいろんな捉え方にして、この歌詞を胸に次へ羽ばたいていきたいと思います。

■10年の活動の中で「総選挙は成長できる一歩だった」

――卒業後の目標を教えてください。

卒業したら1人で活動することになるので、今までより自分がやりたいことをやりやすくなる環境になると思うんです。なので、ファンの皆さんが「これをやってほしい」ということを一緒にかなえていけるような活動ができたらいいなと思うし、自分も「芸能界に残ってくれてうれしい」って言ってくれているファンの方のために、たくさんメディアに出られる回数を増やしていけたらいいなとも思っているので、ファンの方との距離を大切に活動していけたらいいなと思っています。

――アイドル10年の中で一番大きな出来事は何でしたか?

大きかったなっていうことはいろいろあって、(AKB48グループの選抜)総選挙も私の中ではすごく成長できる一歩だったし、指原さんの卒業もHKT48にとっても大きい一歩だったなって思っているので、言ったらきりがないくらい、10年も活動してきた中で大きな出来事がたくさんありましたね。

その中でも自分がここの立ち位置にいるのは、やっぱり総選挙が大きいのかなと思っていて、順位をどんどん上げて選抜入りできたおかげで、今の自分の立ち位置や自分が発信できることも変わってきただろうし、それが今ここにいる理由の一つだなって思います。

――総選挙ということは、ファンのおかげということですね。

そうですね。ファンの皆さんのおかげで、握手会とかでもファンの方がたくさん会いに来てくださったおかげで選抜にもずっと選んでいただいたと思うので、ファンの方の応援は大きいです。たくさんのかわいいメンバーがいて、その中で活動していくのは自分の中で自信をなくしちゃったり不安になることは多かったんですけど、私が落ち込んだりする顔を見たくないってファンの方もたくさん頑張ってくださって。

ファンの方とそれを一つ一つ乗り越えることって、大変だけどすごく楽しかったなって思っていたので、ファンの方にも今それを踏まえて「あれは大変だったけど楽しかったな」って思ってもらえたらうれしいです。

HKT48で活動してきたことを胸に自信を持って一歩一歩進んでいきたい

――では、そんなファンの方へメッセージをお願いします。

まずはいつも応援してくださる皆さん、本当にありがとうございます。ザテレビジョンさんにはデビューしてからたくさんお世話になったんですが、これがアイドル最後のインタビューということで、本当にすてきな機会を頂けてうれしいです。

10年間活動してきた中で折れそうになったことは何度かあったんですけど、ファンの皆さんのおかげで折れず、たくさんのメンバーの卒業を見送ってたくさん成長できたなって自分でも感じているので、これからもHKT48で活動してきたことを胸に自信を持って一歩一歩進んでいきたいなと思っているので、卒業後も応援してくださったらうれしいです。

そして、私が卒業してからのHKT48にも注目していただきたいなと思っているので、最新シングルの「バケツを被れ!」をぜひ聴いてください!

田中美久(HKT48)にインタビュー/撮影:山田健史