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(写真:Hakase/PIXTA)

行動経済学を知ると、自分の不合理な判断パターンや行動のクセを知ることで、ムダな消費行動を避けることもできます。つまり、自分では賢く節約をしているつもりでも、行動経済学に基づくと、無意識のまま不要な出費をして損をしている場合がとても多いんです」

そう話すのは、行動経済学に詳しいマーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克さん。行動経済学とは、心理学の要素を取り入れた新しい経済学のこと。

近年では行動経済学の分野から多数のノーベル経済学賞の受賞者を輩出しており、その理論はビジネスだけではなく、さまざまな分野でも広く取り入れられ始めている。

企業がマーケティングなどにも取り入れている行動経済学。逆に、行動経済学を知れば、ムダな消費を抑制する効果があるという。

そこで、本誌は橋本さんの協力のもと、問題を解くことで行動経済学についての知識が得られ、賢い買い物の方法が身につくクイズを作成した。

【1】スーパーに買い物に行く時間は?

1. 午前中
2. 午後(閉店前)

「疲れたときの買い物は、よい判断ができません。疲れていると『脳疲労』状態になり、何が最適か判断できなくなります。脳が疲れた午後は財布の紐が緩みがちに。また、閉店間際のスーパーはタイムセールで生鮮食品などが安くなっていることが多いですが、いま買わないと損だと感じる『損失回避』の影響を受けて、余計なものを買ってしまう原因になります」(橋本さん、以下同)。脳がつかれていない午前中に手短に済ませるのが◎。答え1

【2】食材はどのように買う?

1. まとめ買いする
2. そのつど買い物に行く

「『まとめて買うと安い』という思い込みがあります。過去の体験に引っ張られて判断してしまう『利用可能性ヒューリスティック』の影響によります」。その結果、賞味期限を切らしてしまうなどのムダにつながるという。答え2

【3】どちらのほうがお得な買い物ができる?

1. 年末セール
2. アウトレットモール

「限定セール」や「お得意様限定」などの売り文句には要注意。「限定という言葉からは、前述の『損失回避』の影響を受けてしまいます」。お得なものを年中探せるアウトレットモールを活用したほうが惑わされにくいだろう。答え2

【4】買い物に一緒に行って散財しないのはどっち?

1. 夫
2. 女友達

「まわりと同じ行動を取りたがる『同調効果』が出やすいのが、同性の友人との買い物です。同じものが欲しくなり、予算オーバーする恐れが」。買い物に興味を示さない夫のほうが、安心して買い物ができる。答え1

【5】生活必需品の買いだめは必要?

1. 必要
2. 不要

コロナ禍でマスク不足が問題になった。「将来、後悔しないように積極的に購入しようとする『後悔の回避』の影響が考えられます。しかし、置き場所もかさばりますし、必要なものを必要量買うのが賢い買い方でしょう」答え2

【6】ネットショッピングのときにするべきなのは?

1. 2~3のサイトで商品を比較検討
2. 口コミをチェック

「口コミを見すぎると、大勢が購入しているものを買いたくなる『バンドワゴン効果』や、第3者がすすめるものをよいと評価する『ウィンザー効果』に引っ掛かる恐れが」。2~3サイトで価格や条件を比較するのが◎。答え1

【7】ランチコースでもっともコスパが悪い可能性が高いのは?

1. いちばん安いコース
2. 真ん中のコース
3. いちばん高いコース

「3つの選択肢があると、上と下の極端を避ける傾向にあり、無難な中間を選びやすい心理を『極端回避性』と呼びます」。売り手側がこの効果を知っていれば、“中間”にもっとも利益率の高いものを配置する可能性が高い。答え2

【8】ネットでワンピースを購入するとき、どっちのほうが失敗しない?

1. サイズをしっかり測って決めたものを買う
2. 返品無料のサイトでいくつか試着して選ぶ

「返品無料のサービスは、手にしたものに愛着が湧く『保有効果』の心理で手放したくなくなる恐れが。返品が前提でも、取り寄せて手元に置くことで購買意欲が高まってしまいます」。失敗を防ぐコツは、サイズをしっかり測って購入すること。答え1

【9】どっちのキャンペーンがお得?

1. ポイント10%還元
2. 10%割引

「たとえば100円の『ポイント10%還元』では100 円支払って110 円分のものが買えます。割引率は約9. 1%となり『10%割引』よりも低くなります。記述や表現によって印象が変わる『フレーミング効果』に注意」答え2

【10】買って後悔をしないのはどっち?

1. 予算オーバーの一目ぼれのバッグ
2. 割引率の高いバッグ

元の値段がわかるようにセール価格が表示されていると、割引率の高さに飛びつきやすい。「ある数字を見せられると、それと比較して判断してしまう『アンカリング効果』の影響です」。数字に惑わされた買い物より、毎日使いたくなる商品を選ぶほうが満足度は高い。答え1