いつでもどこでも一緒に考えてくれて、かつ一瞬で素晴らしい返答をくれる存在がいたら、どんなに仕事が捗るだろう、と考えたことはありませんか?「ChatGPT」の有料版を活用することで、アイディア出し、企画・提案、情報整理など、様々な場面で作業効率を上げることができます。『AI仕事革命 ‐ChatGPTで仕事を10倍効率化‐』(リチェンジ)の著者で、AI活用コーチとしても活躍する谷口恵子氏が解説します。

どんな内容にも非常に賢い返答をしてくれる「ChatGPT」

ChatGPTは大規模言語モデルと呼ばれる、大量の言語データを利用したAIです。

これまでの短い返答しかできないチャットボットとは桁違いの賢さで、複雑な質問やリクエストにも答えてくれます。しかも、数秒という速さで、様々な仕事をこなしてくれるので、ビジネスの幅広い場面で活用することができます。

例えば、以下のような場面でChatGPTを使えます。これらは、ほんの一例です。

進め方の相談・スケジューリング・アイディア出し・ブレスト・マーケティング分析・

企画書作成・プレゼン作成・スピーチ原稿作成・情報収集・情報整理・分類・コラムの

ネタ出し・ライティング・マーケティング分析・議事録作成・キャリア相談

特にChatGPTの有料版を利用した場合、その返答は一般のビジネスパーソンの出すものを軽く超えます。しかも、その出力スピードは人間には到底真似のできないものです

例えば「これまでヒットした商品の特徴と、弊社の強みを掛け合わせた新商品のプランを100個考えて」といったリクエストに対して、1分も経たないうちに、100個のアイディアを出してくれるのです。まるで、優秀な同僚やコンサルタントが常に隣にいるようなイメージです。

特に、これまで、自分一人で企画を考えたり、資料を作成したり、ライティングをしたりしてきた方にとっては、強力な壁打ち相手、サポーターとなります。一人で考えたり、ライティングをしたりしていると、煮詰まったり、手が止まってしまうことがありますよね。そんなとき、ChatGPTに様々な形で助けてもらうことができます。

最初から「〇〇のアイディアを100個提案してください」とリクエストして、それをベースに考えていくこともできますし、自分のアイディアを提示して「以下のアイディアにもっと斬新さを付け加えてください」とリクエストすることもできます。

また、自分の文章に自信がないときには、「〇〇に読んでもらうことを想定して、以下の文章をよりわかりやすく説得力のあるものに直してください」と言って修正してもらうこともできます。

自分の状況、ニーズに合わせて、ChatGPTに様々な形でリクエストや質問をすることができて、いつでもすぐに回答が返ってくるのは非常に助かります。

相談相手やフィードバックをくれる相手がいるだけでも、仕事がはかどるという経験は誰しもしたことがあると思います。それに加えて、ChatGPTはどんな内容でも非常に賢い返答をしてくれる、優秀な相棒なのです

ChatGPTを活用できると、これまでの仕事のやり方、効率、そして仕事の質がすっかり変わります。いわば「仕事力が格段に上がる」のです。今からでも、ChatGPTを仕事に活用しない手はありません。

押さえておきたい「ChatGPT」の5つの特徴

ChatGPTは使えばいいというものではなく、その特徴を活かして、コツをおさえて使うことで、フルに活用することができます。

①制約条件を付けることで、より精度の高い回答が返ってくる

仕事でChatGPTを使うときには、できるだけ制約条件を付けたり、状況を詳しく設定するようにしましょう。

例えば「製薬業界についてのレポートを書いてください」とだけ指示するよりも、「あなたは業界3位の製薬企業のマーケティング担当者です。経営層に対して、製薬業界の現状を報告し、今後のマーケティング施策を提案する土台となる情報を提供するためのレポートを書いてください。見出し、小見出しも付けて、数字も入れた形で読みやすさを重視して書いてください」のように、詳細にリクエストします。

すると、ChatGPTがあなたの要望に沿ったレポートを書いてくれる可能性が高くなります。ライティングの場合には、誰になりきって書いてほしいか、目的、読み手、背景情報などを伝えるのがコツです。

②聞くたびに違う答えが返ってくる

ChatGPTは、データベースからデータを取り出してそのまま答えているわけではなく、指示や質問をされる度に回答を生成しているため、全く同じ質問やリクエストをしても、毎回違う答えが返ってきます。ですので、納得のいく回答が返ってこなかった場合には、「New Chat」で新しい会話画面を開いて同じ質問をしてみてください。

③意図した回答が返ってこないこともある

ChatGPTから意図した回答が返ってくるとは限りません。それはプロンプト(指示文)の問題かもしれませんし、ChatGPT側がうまく回答を生成できていないのかもしれません。そんなときには質問の仕方を変えたり、追加で条件を指定したりすると、意図した答えが返ってくることが多いです。

④回答の精度が落ちてくることがある

同一の会話内で質問やリクエストを繰り返していると、だんだん回答の精度が落ちてくることがあります。そのようなときには「New Chat」ボタンで新しい会話画面を開いて、会話を始めましょう。

⑤前の会話を忘れてしまうこともある

同一の会話内では連続して対話ができます。ですので、最初の指示文で「こういう条件でライティングをしてください」のように指定して、ライティングをしてもらい、「さらに〇〇の観点を付け加えてください」などと、連続してリクエストしていくことができます。ChatGPTが前に話したことを覚えているので、続けてリクエストをすることができるわけです。

ただ、ときどき前に話したことを忘れてしまうこともあります。そのようなときには「先ほど作ってくれた〇〇に関するコラムに〇〇を追加してください」のように言って、ChatGPTに思い出させるようにしましょう。

以上のようなコツを身に付けて、ChatGPTを仕事の強力なパートナーにしましょう。

ChatGPT「無料版」と「有料版」の違いは「賢さ」

ChatGPTには無料版と有料版があります。

大きな違いは、有料版では上位バージョンのGPT‐4が選択できるということですが、それ以外にもプラグインと呼ばれる拡張機能やWebBrowsing機能が使えるというメリットがあります。

主な違いを以下にまとめます。

出所:『AI仕事革命 ‐ChatGPTで仕事を10倍効率化‐』(リチェンジ)より抜粋

GPT‐3.5とGPT‐4の違いが気になる方もいるかもしれません。一番の違いは回答の質の高さです。いわゆる「賢さ」が違います

例えば「レポートを書いてください」と言った場合、GPT‐3.5ではかなり雑なレポートしか書いてくれないのに、GPT‐4では、かなりしっかりと考えられた質の高いレポートを書いてくれます。

実際にChatGPTを使っている人の間では、GPT‐3.5とGPT‐4は「小学生と『優秀なビジネスパーソン』くらいの違いがある」と言われています。

また、日本語を含めて、英語以外の言語の精度も格段に上がっています。

それから、入力、出力できる文字量が、GPT‐4のほうが長くなっています。文字数ではなく「トークン」という単位で扱える文字量が決まっていますので、一概に何文字とは言えないのですが、GPT‐4のほうがGPT‐3.5よりも倍くらい長い量の文章を入力、出力することが可能です。

有料版が出てきた2023年3月当初は、有料版のメリットといえば精度が高いことと、利用が集中したときに優先的にアクセスができることくらいでした。しかし、2023年5月から、有料版により大きなメリットが生まれました。

それは、WebBrowsing機能とプラグインが使えるようになったことです。これまでのChatGPTの大きな課題であった、最新情報にアクセスができないという点が、これで解消されたのです。また、プラグインも動画を要約したり、図解をしたり、PDFを読み込んだりと、様々なプラグインがあります。

ですので、ChatGPTを活用したい方には、できるだけ有料版を使うことをおすすめしています。前述のとおり、賢さが格段に違いますし、日本語の精度もより高いので、有料版のほうが求めている回答を得られる可能性が高くなります。

有料版の価格は2023年12月現在、月20ドル(スマホアプリから有料版に切り替えた場合は月3,000円)です。この価格で優秀な自分専用のコンサルタントを雇っていると思えば激安です。ぜひ、有料版の利用をご検討ください。

谷口 恵子

AI活用コミュニティ

代表

(※写真はイメージです/PIXTA)