ニュースを賑わす、政治家の裏金問題。その舞台となったのが、政治資金パーティです。果たしてどのようなパーティなのでしょうか。「政治資金収支報告書」から紐解いていきます。

政治活動費を集める「政治資金パーティ」はかなりの高収益

連日、ニュースを賑わせている、自民党の最大派閥の安倍派が政治資金パーティ収入の一部を所属議員にキックバックしていたという疑惑。その額、5億円にのぼるという報道もあり波紋を呼んでいます。

――そもそも政治資金パーティって、何?

一般人からしたら、政治など遠い世界の話。いまいちピンとこないまま「ふーん」くらいに思っている人も多いでしょう。

政治資金パーティはその名の通り、政治家や派閥などが政治活動資金を集めるためのイベント。政治団体が主催し、パーティ券は1枚2万円程度が相場。会場費や飲食代などの経費を差し引いたお金が政治活動に使われます。

この政治資金パーティ、「XXを応援する会」などと銘打って開催され、結構な収入を得ることができます。たとえば岸田総理の資金管理団体「新政治経済研究会」の2022年の「政治資金収支報告書」をみてみると、同年年8月に東京・赤坂のホテルで開催された「第41回衆議院議員岸田文雄と国政を語る会」には1,000人弱が集まり、収入は3,316万円。支出はお土産代9.6万円、会場費205万円など、総計237万円。9割を超える利益率を叩きだしています。同団体はこのようなパーティを2022年の1年間で8回開催し、収入は総額1億5,509万円。経費は1,900万円ほどで、利益率は87%ほど。資金集めのためのイベントだとすると、大成功といったところでしょうか。

このような資金集め自体は問題ではありません。今回問題になっているのは、派閥の所属議員に課したノルマ。これも、それ自体は問題ありませんが、ノルマを超えて集めた分をキックバックしたり、議員が派閥に収めなかったりしたお金があり、そうした収支が政治資金収支報告書に記されず裏金になっているのでは……という疑惑が出ているわけです。

安倍派は最大派閥であり、裏金疑惑とされるお金も相当な額になっているので大きく報道されていますが、さらに二階派岸田首相が会長をつとめていた「宏池政策研究会」でも収支報告書に記載がなかったという報道も。

――多かれ少なかれ、政治家なんてみんなそうでしょ

もう怒りの感情さえもてないほど、政治全体への不信感が高まっています。

自民党5億円増、立憲民主党7億円増…政党「収入アップ」の理由

「政治資金収支報告書」には、1年間の収入と支出、資産などを記載し、原則、次の年の3月末までに、都道府県の選挙管理委員会か総務大臣に提出することになっています。2022年分に関しては、先月24日に約3,000団体の報告書が公開されています。

そこに記すべきは、同じ人や団体から年間5万円を超える寄付や、1回の政治資金パーティーで20万円を超える支払いを受けたものなど。名前や金額などを記載しているので、本来であれば、お金の流れがきちんと分かるものになっているはずです。

主な政党の収入をチェックしてみると、最も多いのは「自民党」で約248億6,000万円。前年から約5億1,000万円の増加でした。続くのが「共産党」で約191億円。前年から約5億円の減少。政党交付金は受け取ってなく、収入の9割近くが機関紙等の事業収入となっています。

公明党」は約135億1,000万円で前年から約16億8,000万円増、「立憲民主党」は約91億7,000万円で約7億2,000万円増、「日本維新の会」は約43億9,000万円で約19億7,000万円増、「国民民主党」は約17億9,000万円で約6億9000万円減少、「れいわ新選組」は約7億8,000万円で約2億6000万円増、「社民党」は約5億1,000万円で約4,000万円減でした。

今年、提出があった3,000団体ほどの収入は総額1,067億円ほどで、前年から71億円ほど増加しました。コロナ禍で控えていた政治資金パーティの開催が増えたことも主な要因です。

岸田総理は党幹部との会談で当面の間、派閥パーティーの開催を自粛するよう申し合わせてはいますが、それ以外のパーティについては言及していません。「政治にはお金がかかる」と政治家本人が言うこともあるぐらいですから、大事な収入源となる「政治資金パーティ」、これからもあちらこちらで開催されることは確実。疑惑の温床にならないよう、国民も目を光らせる必要がありそうです。

[参考資料]

総務省『政治資金収支報告書』

(※写真はイメージです/PIXTA)