日本プロ野球選手会(丸佳浩理事長=巨人)は、病気の子どもとその家族を支援する公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン五十嵐隆理事長)が運営する「ドナルド・マクドナルド・ハウス」への寄付活動を続けてきた。2023年は総額1329万3000円の寄付金が集まり、12月7日の選手会定期大会で、ハウス側に贈られた。選手会所属の選手がそれぞれシーズンの成績に応じて寄付金額を決める形で、20年に28人が参加して始まり、21年は29人、22年は39人、23年は40人が参加。23年はこのほか、米大リーグメッツ千賀滉大投手も日本時代から引き続き参加し、166万円(登板回数1回につき1万円)を寄付した。選手会の寄付金総額は20年が約1086万円、21年が996万円、22年が1347万円で、野手なら1安打につき1万円、投手なら1登板、あるいは1奪三振につき1万円といった設定が多い。自分の成績向上が寄付金のアップにつながる仕組みになっている。

▽国内12カ所に開設

 ドナルド・マクドナルド・ハウスは、病気と闘う子どもと、その家族のための滞在施設。重い病気や難病に苦しむ子どもたちは、設備やスタッフのそろった大学病院や専門病院で治療を受ける必要があり、自宅から離れ一人で入院するケースが多い。子どもの入院には家族の付き添いが必要で、家族もまた病院の近くに寝泊まりする必要がある。経済的、精神的な負担は大きい。こうした家族の負担を軽減し、病院のすぐそばに建てられ「HOME AWAY FROM HOME(わが家のようにくつろげる第二の家)」をコンセプトに安らぎの場所として提供されているのがドナルド・マクドナルド・ハウスだ。
ハウスは世界49の国と地域で386カ所(23年10月現在)開設され、日本国内には12カ所ある。日本第1号は東京都世田谷区の「せたがやハウス」で、このほか札幌市仙台市栃木県下野市新潟市さいたま市東京都文京区東京都府中市名古屋市大阪府摂津市神戸市福岡市にある。ハウスの運営費はすべて個人や企業からの寄付でまかなわれており、日々の業務も多数のボランティアの協力を得ている。このため、施設を利用する家族は一人当たり1日1000円で滞在することができる。

チャリティーゴルフを開催

 ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズでは、ハウスに寄付をしてくれた企業の代表や個人、160人を招き、12月11日千葉県横芝光町のカレドニアンGCでチャリティーゴルフコンペを開催した。選手会からは丸理事長と、地元千葉県出身の坂倉将吾選手(広島)が参加。チャリティーオークションでは、丸理事長のサイン入りバットが15万円、坂倉選手のサイン入りバットとリストバンドが10万円で落札された。このほかサッカーの元日本代表、北澤豪さんのサイン入りのユニホーム、男子マラソンレジェンド、瀬古利彦さんのサイン入りバッグ、ゴルフの深堀圭一郎プロのサイン入りキャディーバッグなどもオークションに掛けられ、落札総額の93万円が寄付された。

プレーと社会貢献つなぐ

 大リーグで活躍する大谷翔平選手が、日本全国の小学校にグローブ6万個を寄付することが大きな話題になったように、プロスポーツ選手の寄付行為は世間の注目を集めることが多い。最近は、日本でもプロスポーツ選手による社会貢献活動が数多く見られるようになった。丸理事長は「社会に影響力のあるプロ野球選手が寄付することで、世の中の多くの人にドナルド・マクドナルド・ハウスのことを知ってもらえる。選手全体に寄付を強制しているわけではないので、賛同してくれる選手が少しずつでも増えてくれたらうれしい」と話す。そして単に寄付に終わらず「成績に応じて寄付金額が決まるのは、選手のやる気につながる。長く社会に貢献しようと努力すれば、選手寿命も長くなる」と、34歳の丸理事長は相乗効果も指摘する。丸理事長の23年の寄付金額は143万円(143安打)だった。

25歳の坂倉選手は、年俸が上がり多少余裕が出てきたときからチャリティーに参加したという。安打ではなく、1本塁打につき5万円にしたのは「自分の頑張りにもつながる」と思ったから。23年は12本で60万円。ただ、本塁打は増減の幅が大きいため「安打にしようかな。安打なら寄付は年に100万円以上にはなりそう」と思案中という。坂倉選手にしても丸理事長にしても、プレーと結びつけることで社会貢献は野球の一部という自然な感覚が新しく、今の時代にふさわしい。

DMハウスに1300万円寄付 プロ野球選手会、千賀も米国から