科学技術振興機構(JST)「大学発新産業創出基金事業 プロジェクト推進型 起業実証支援」に国立大学法人京都大学(総長:湊 長博、以下、「京都大学」)大学院 工学研究科 工学基盤教育研究センター(兼任・機械理工学専攻) 平井義和講師のテーマ「超スマート社会を支える超小型原子時計のガスセル製造技術」が採択されました。2023年12月より、株式会社みらい創造機構(代表取締役社長:岡田 祐之、以下「みらい創造機構」)は本テーマについて事業プロモーターとして伴走し、技術の事業化、スタートアップ起業を目指します。

 Beyond 5G社会において、フィジカル空間とサイバー空間が融合し、時空間同期が不可欠なアプリケーションが急速に進化しています。自律分散型ロボットや高品質な遠隔システム、自動運転技術などの分野で、エッジデバイス間でのリアルタイムで高精度な時間と位置データ、高解像度画像の同期が求められています。時空間情報をエッジデバイス間でシームレスかつ高精度に一致させる超小型原子時計※1)は、これらの要求に応えるキーデバイスとして世界的に注目されています。

 本プロジェクトでは、原子時計の核となる「超小型ガスセル※2)」の半導体微細加工による量産技術を、京都大学のガスセル製造法をコア技術として活用します。これにより、高性能かつ低価格の超小型ガスセルの量産技術を確立し、原子時計による超スマート社会の実現を目指します。並行して、原子時計メーカとの協力を通じて、エンドアプリケーションまでのサプライチェーンの構築を加速し、市場の急速な成長に柔軟かつ迅速に対応することで、原子時計市場を開拓する取り組みを行います。

※1)超小型原子時計:アルカリ金属原子と電磁波の共鳴現象をもちいて正確に1秒を刻む周波数標準器。手のひらサイズのデバイスでありながら、一般的な時計よりも安定な時計を実現できる。この原子時計では、パッケージング技術によって、ガスセル、面発光レーザ光源(VCSEL)、光検出器などがデバイス内部へ集積される。

※2)超小型ガスセル:

シリコンとガラスを微細加工で作製した容器に、ルビジウムセシウムアルカリ金属原子と緩衝ガスを封入・封止した小型精密部品。大きさは数mmでありながら、高性能かつ信頼性の高い超小型原子時計の重要な構成要素となる。

  • 採択にあたってのコメント

京都大学大学院 工学研究科機械理工学専攻

平井義和 講師

この度、科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出基金事業に採択され、大変光栄に思っております。また、みらい創造機構の協力のもと、技術の事業化とスタートアップ起業に向けて一歩踏み出すことができる喜びを噛み締めています。

Beyond 5G社会において、物理空間とサイバー空間の融合が進む中で、超小型原子時計はその需要がますます拡大しています。我々が持つ独自のガスセル製造法を基に、超小型ガスセルの半導体微細加工による量産技術を確立し、高性能で低価格な原子時計を実現することを目指します。京都大学発の先端技術が超スマート社会の実現に寄与し、世界中の人々に利益をもたらすことを信じております。

超小型原子時計がもたらす新しい時代の幕開けに向け、研究チーム一同、精力的に取り組んでまいります。引き続き、ご支援とご期待を賜りますようお願い申し上げます。

京都大学大学院 工学研究科マイクロエンジニアリング専攻

博士後期課程 清瀬 俊

本プロジェクトの採択を頂戴できたことをとてもうれしく思います。私の在学中に本技術シーズを事業化できる大きなチャンスをいただけたことは大変な幸運だと思います。博士研究と起業準備の両立は困難を極めますが、皆様のお力添えも受けて乗り越え、起業後にチームを牽引できる強いリーダーを目指して参ります。

株式会社みらい創造機構 執行役員(担当事業プロモーター)

高橋 遼平

小型原子時計及びそのガスセルの研究開発は、デジタルインフラを支える重要な取り組みです。ベンチャーキャピタルとして、またJST 事業プロモーターとして、社会実装に携われることを大変光栄に思います。

今後、社会実装に取り組むパートナー、事業化を支える人材、並びに起業後の成長を支えるベンチャーキャピタル、等多くのステークホルダーの方々と共に、スケールの大きい産業創出に取り組んで参りたく、ご興味・ご関心がございましたら、是非ともお声かけ頂ければと思います!

 みらい創造機構では、グロースチームを組成し、“Deep Tech”スタートアップの事業成長に向けた多面的な支援を提供しています。JST START事業の事業プロモーターとして活動している他、GTIE協力機関、メンターを務める等、研究段階から起業後の資金調達、ハンズオンまで、技術の社会実装に伴走しています。2023年までに、研究者に伴走支援した3件が起業に至り、起業後のリード投資、ハンズオン支援を行っています。

本プロジェクトについても、JST START事業を通して、世界を変える研究開発型スタートアップの創出、育成を進めてまいります。

みらい創造機構 会社概要】

 2016年に東京工業大学と社会連携活動の推進に向けた組織的連携協定を締結し、東工大関連ベンチャーキャピタルファンドを設立・運営しております。2021年に設立した2号ファンドにおいては、投資先を東工大関連ベンチャーに加え高専関連に対象領域を広げて活動しています。投資実績としては、東工大関連ベンチャーを中心に研究開発型スタートアップへ現在までに43社への投資を実行し、3社が上場しています。

 2023年度NEDO「大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)」に採択され、客員起業家(EIR)制度を運用しながら、研究開発型スタートアップへの経営人材供給・育成にも取り組んでいます。

 大学系VCや中小機構、北九州市、つくば研究支援センターと連携協定を結び研究開発型スタートアップをとりまくエコシステム形成を進めています。

【関連URL】

京都大学 平井研究室

https://mdde.me.kyoto-u.ac.jp/

大学発新産業創出基金事業プロジェクト推進型 起業実証支援2023年度新規採択プロジェクトの決定について

https://www.jst.go.jp/pr/info/info1653/index.html

<問合せ先>

株式会社みらい創造機構 執行役員

高橋 遼平

press@miraisozo.co.jp

配信元企業:株式会社みらい創造機構

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ