愛知県一宮市で10月、人気ゲーム「ポケモンGO」をしながら運転していた男性のトラックに、小学4年(当時)の男の子がはねられ死亡した事故――。

ポケモンGO」をしながら運転するドライバーの事故が、各地で相次いでいることから、与党・自民党からは法改正も含めた厳罰化を求める声が上がっています。

 また報道によると、亡くなった男の子の父親が愛知県大村秀章知事に対し、「ながらスマホ」による事故について、危険運転致死傷罪の適用を国に働きかけるよう要請したといいます。

 悲惨な事故を繰り返さないために――。オトナンサー編集部では今回、「ポケモンGO」などの「ながらスマホ」をめぐる法的問題について考えます。

「罰則が軽すぎる」現状がある

 取材に応じてくれたのは、アディーレ法律事務所の大西祐生弁護士です。

 まず、「ながらスマホ」について定める法律の現状と、厳罰化が検討される背景はどのようなものでしょうか。

 現行法は、運転中に「携帯電話等を手に持って通話したり、画面に表示された画像を注視すること」を禁じており、それに反して、道路における交通の危険を生じさせた場合は「3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金」が科せられます。

 大西さんは「さまざまな要因はあるものの、こうした罰則は軽すぎるという現状があるからこそ、厳罰化が検討されるのだと思います」と話します。

 大西さんによると、「歩きスマホ」の危険性が指摘されていたにもかかわらず、スマホ操作中の運転が原因で死亡事故が発生してしまったこと、しかも、それが「ポケモンGO」という人気ゲームで日本上陸前から、要注意であると言われていたのに事故が起きてしまったことなど、さまざまな要因があるといいます。

 ちなみに、交通の危険が生じなかった場合でも「5万円以下の罰金」が科せられる可能性があるそう。つまり「現行法でも、スマホを見ながら運転しただけで刑罰を科すことができるのです」。

よそ見は「言語道断」、危険運転致死傷罪に明文化も

 それでは、仮に法律が改正されるとしたら、その具体的なポイントはどのようなものでしょうか。

ポケモンGO」などスマホを操作しながらの運転で事故を起こし、人を死傷させる行為は、危険運転致死傷罪(刑法208条の2)などに明文化される可能性があるとのこと。

 大西さんは「そもそもドライバーには安全運転義務が課されており、よそ見運転は言語道断。スマホを見ながらの運転もよそ見運転になると考えられます。スマホを注視しすぎて、人命を奪ってからでは遅いのです」と話しています。

(オトナンサー編集部)

今回の死亡事故を受けて法律は改正されるのか…