この記事をまとめると
■運送会社による問題の発生を未然に防ぐのが監査の役割
■監督官庁である陸運支局が運送会社に立ち入って行なう
■違反が見つかれば行政処分が下される
監査は陸運支局が運送会社に立ち入って行う
運送会社は荷主から荷物を預かって荷受け人のところまで運ぶのが業務だ。しかし、仕事はそれだけではない。荷主との運賃の交渉から共済への加入、事業計画を立てて営業し、ドライバーの労働時間管理やトラックの点検整備の実施、法人として法で定められている規則はかなり幅広く多いのだ。安全で確実なトラック輸送のためには欠かせない項目ばかり。
これまでニュースになるような大きな事故を起こしてしまった会社(運送会社だけでなくバス会社も含め)は、管理がずさんだったり、労働環境が悪いところも目立つ。そんな被害を未然に防止するのが監査の役割だ。
監査は監督官庁である陸運支局が、運送会社に立ち入って行う。重大な交通違反や交通事故などを起こしてしまった際に、事故を誘発する環境が社内になかったか、さまざまな法令を遵守しているか確認しに運送会社の事務所まで確認しにくるのだ。
ちなみに労働基準監督署の立ち入り調査によって労働環境が悪いと判断された場合も、運輸支局の監査につながるようだ。今後はますます法令遵守が厳しく取り締まられることになる。
行政処分は大きく分けて4種類
もし違反していれば、違反の項目ごとに下される行政処分の内容は決まっている。行政処分には大きく分けて4種類ある。
1番目は一番軽い文書による改善勧告や警告だ。
2番目は車両の使用停止。これは10日間から100日間、再犯であれば最長で200日もの長期間、トラックが使えなくなる。大きな事業所ではたくさんのトラックが稼働しているが、この稼働台数によっても使用停止処分になるトラックの台数が決まってくる。
3番目が事業の停止。これはすなわち会社全体での営業を停止させられる、ということ。売り上げや信用がガタ落ちになり、運送会社にとってはかなりのダメージになる。2番目の車両の使用停止などの行政処分には点数制度があり、その合計によって会社全体の処分が下されるのだ。
そして4番目が一番重い運送事業許可の取り消し。これは過去2年以内に3回以上の事業停止処分を受けており、さらに違反行為を繰り返してしまった場合に下される。事業認可の取り消しとは、つまり緑ナンバーを返上しなければならなくなる、ということだ。
監査とは別にトラック協会の適正化事業実施機関が行う「巡回指導」というものもある。これは監査と同じ内容をチェックするもので、2、3年に1度のペースで定期的にやってくることが多い。巡回指導自体で問題が見つかっても行政処分などを受けることはないが、巡回指導で問題が見つかれば、監査の対象になる。また、巡回指導を拒否しても、監査の対象になる。
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