家の中に点在する、「汚れやすいけど掃除が面倒」な場所や物。しかし、面倒だからといって汚れたまま放置していると、不快な悪臭が発生したり、汚れが落ちにくくなったりする恐れもあります。

 そんな「掃除が面倒な場所・物」について、ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに、汚れの特徴や掃除のポイントを教えていただきました。今回は、毎日キッチンで大活躍する家電「電子レンジ」です。

汚れを放置すると「複雑なにおい」が発生

Q.そもそも、なぜ電子レンジは汚れやすいのですか。

有賀さん「電子レンジの主な汚れは、食品を温めたり、食材を調理したりしたときに付着しやすい、料理や食材の“飛び散り汚れ”です。この汚れがにおいの原因になります。『汁物を温めているときに吹きこぼれてしまった』『唐揚げなどの揚げ物を温めていたら、パンッと破裂して庫内に揚げ物の衣が飛び散ってしまった』といった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

特に、ラップをしない(できない)食品を調理する場合は、食材から水分や油が出て、庫内が汚れやすくなります。また、電子レンジの設定時間を長くしすぎて、容器や食品などの焦げたにおいがするケースもあります。

飛び散った汚れを放置したまま使うと、さまざまな食材が混ざった複雑なにおいになって、汚れもにおいもなかなか取れにくくなる、といったことが起きてきます。また、庫内の汚れを放置し過ぎたり、水分がたくさん出た場合にすぐ扉を閉めてしまったりすると、庫内の環境が悪化し、使用頻度や条件によっては雑菌臭が発生するケースも考えられます」

Q.電子レンジの掃除をする際、特にチェックすることが推奨される汚れや部分はどこでしょうか。

有賀さん「電子レンジの掃除では、次に挙げる4カ所をチェックしてみましょう」

ターンテーブル、加熱台】

食品を直接置いて加熱するターンテーブルは、こぼれた食品や液体などで汚れやすい場所です。台所用の中性洗剤で洗って水で流した後、よく乾かしましょう。

加熱台に直接置く、ターンテーブルのないタイプの電子レンジも同様に、汚れが取れにくい場合は、薄めた台所用の中性洗剤を含ませたクロスで拭いてから、固く絞ったクロスで洗剤を拭き取ります。それでも汚れが落ちにくく頑固な場合は、カップに水を入れて加熱し、水蒸気を発生させ、そのまましばらく扉を閉めたままにして汚れを緩めます。その後、同様にクロスで掃除をしてください。

【庫内】

破裂した食品のカスや油が飛び散って付着しやすい場所です。庫内のサイド、奥、上部を、先述の加熱台と同様に丁寧に掃除しましょう。電波出口のカバーにも汚れが付着していると焦げの原因になるので、クロスで丁寧に拭き取りましょう。

【扉】

扉も庫内同様、食品のカスなどが飛び散って付着しやすいです。掃除の方法は庫内などと同じですが、庫内が覗けるように一部ガラスになっている部分は、メラミンスポンジなどの研磨剤を使用しても大丈夫です。

【吸気口・排気口】

吸気口や排気口にほこりがたまっていないか確認しましょう。ほこりが多いと換気できず、においがこもりやすくなります。定期的に、吸気口や排気口を乾いた布やハンディーワイパーなどで取り除きましょう。

Q.「きれいで清潔な電子レンジ」を保つには、どうすればよいですか。

有賀さん「やはり、日頃から小まめに拭き掃除をするのが一番です。使うたびに毎回拭ければ理想的ですが、においが強めの食品を調理したり、液体をこぼしてしまったりしたときには特に、水拭きで早めに対処し、扉をしばらく開けて乾燥と換気をすれば、大抵は“きれい”を保つことができると思います。

水分の多い食品を調理すると、庫内に水蒸気が発生して水滴がつく場合もあるので、その際はすぐに扉を閉めずに、庫内の水分を飛ばすようにしましょう。また、掃除道具は、庫内を傷つける恐れのある硬いたわしや、研磨剤の使用は控えましょう。

それと意外かもしれませんが、電子レンジの間違った使い方は、掃除の手間や回数を増やすだけではなく、非常に危険なケースに発展する場合もあるので注意が必要です。事前に取扱説明書で使い方を確認して、電子レンジに使える容器や破裂しやすい食品は何かを知っておきましょう。加熱し過ぎて食品が飛び散り、庫内が汚れてしまうのはもちろんですが、水分の少ない食品が過熱状態になると炭化して、最悪の場合発火してしまう危険性もあります。

また同様に、庫内の掃除をおろそかにして汚れをため過ぎていると、電波が繰り返し当たった汚れが炭化し、発火に至るケースも報告されています。『汚れたらすぐ拭く』『食品は加熱し過ぎない』『庫内の換気にも気を配る』をできるだけ心がけましょう」

オトナンサー編集部

電子レンジの掃除、どうしてる?