サステナブルな食のあり方にも注目が集まり、農薬や化学肥料に頼らない農産物、加工品を指向する方が増えています。日本の酒情報館では、今回そのような「ビオサケ」に着目し、その意義と可能性を考える『ビオサケを楽しむ会』を開催。

全国約1,700の酒類(日本酒本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する日本酒業界最大の団体である日

本酒造組合中央会(以下、中央会)は、國酒の魅力に直接触れて知ることができる「日本の酒情報館(以下、情報 

館)」を企画・運営。日本酒の魅力やトレンドをより多くの方に知っていただこうと、随時、情報発信をしています。

  

日本の酒造りは長い歴史のなかで人々の生活と深く結びついてきました。水を守るために山を守り、水を使って稲を育て、酒を醸します。精米した糠は肥料や飼料、または食品原料として余すところなく利用され、酒の副産物である酒粕は食品原料として、粕漬の原料として、また焼酎原料として余すところなく利用されます。山で育った木材は道具や樽・木桶として使われます。このような美しい循環は、日本の酒造りが千年を超える歴史のなかで育んできたもので、簡単に真似のできるものではありません。日本の酒造りは、まさに自然の循環サイクルを活用したサステナビリティを実現しています。

地球温暖化が深刻化するなか、サステナブルな食のあり方にも注目が集まり、農薬や化学肥料に頼らない農産物、加工品を指向する方が増えています。情報館では、今回そのような「ビオサケ」注)に着目し、その意義と可能性を考える『ビオサケを楽しむ会』を開催しました。

現在、「ビオサケ」銘柄は全国で約140ほど販売されており、今回は、そのなかから20種をチョイス。お酒を楽しんでいただきながら、その意義や今後の可能性について考えてみるという趣向で行われました。

参加者に提供された20種の「ビオサケ」

会場には、初心者から専門家まで、幅広い世代の方が集まりました。まずは、 「ビオサケの意義と可能性を考える」と題したパネルトークが行われました。このパネルトークは、農家、酒蔵、流通というそれぞれの立場から「ビオサケ」の意義、可能性や課題までを語ってもらうというセッションです。

  

ネリストは、農家を代表して、長野県伊那市で無農薬、無施肥の米づくりを行っている谷口修さん(Wakka agri)。酒蔵からは、原材料の酒米を自社栽培している泉橋酒造の橋場友一社長、流通からお酒の専門店・いまでやバイヤーの白土暁子さん、ファシリテーターとしてオーガニックヴィレッジジャパン(以下、OVJ)事務局長/理事の種藤 潤さんにて行いました。

注)「ビオサケ」という呼称は、一般社団法人オーガニックヴィレッジジャパンが掲げた新たな日本酒ブランディングとして、有機認証を取得したものを含め健全な田圃を後世に残すという理念に沿って造られたお酒全体を指しています。

まずは、種藤さんから、それぞれの方がどのように「ビオサケ」について、それぞれの立場からどのように考えているのかという問いに橋場さんは「現在、自社の田んぼ44ヘクタールを地元農家の協力と社員で酒米を栽培している。そのうち無農薬、減農薬が8ヘクタール。1ヘクタールが無農薬で栽培している」とのこと。「しかしながら除草の手間がかかる無農薬の酒米栽培には、お酒を造りながらだと人出が足りない」とも。

また、いまでやの白土さんからは「オーガニックワインは知れ渡っているが、日本酒オーガニックはまだまだ認知度が低い」と売り場での課題を呈していました。オーガニック酒米を生産する谷口さんは「実際に米の自然栽培は、やりたくてもなかなかできない。また、化学肥料や農薬を全否定するものではないが、体にも良い「ビオサケ」はもっと人々にもっと広まって欲しい」と話す。

OVJの種藤さんは、「ビオサケ」の可能性について「海外で日本酒の人気が高まるなか、日本の有機JAS認証が諸外国と相互認証される意義は大きい」と語る。酒蔵の立場として橋場さんは「米農家の生産者不足で、あと10年くらい経つと酒蔵も原料米の栽培に関わらざるを得なくなる。その時に「ビオサケ」は間違いなく増えてくるし、今はその準備段階だと思う」と。白土さんも「おいしさを表す星のミシュランで、サステナブルで先進的な料理に取り組むミシュラングリーンスターという部門がある。個人的には、「ビオサケ」は気軽に飲めるより、高級ワインのようなステータスを持ち、高いものには理由があるという形で広まれば」と語っていました。

最後に谷口さんは「今の若い人たちは、授業で環境教育を受けており、日本でのオーガニック志向は若い世代を中心に盛り上がってくるはず」とオーガニック酒米から造られる「ビオサケ」の展望を語っていました。

                                

今回は、幅広い年齢層の方が参加していましたが、そのなかで初めてイベント参加したという20代男性によると「日本酒は、自分の周りにいる若い世代、特に女性が増えていると感じます。ただ、「ビオサケ」というカテゴリーが何かを知っている人は少ないと思います。今日「ビオサケ」を実際に飲んでみた体験と、色々話を聞いた「ビオサケ」の素晴らしさを伝えたい」と話していました。

また、今回は「箍(タガ)編みでお猪口ストラップを作ろう」

日本の酒情報館・館長 今田周三

というワークショップも開催。箍は、桶や樽など側を堅く締めるために用られる竹などを裂いて編み、輪にしたもの。木桶に使う際に出た竹の端材を有効活用し、実用的なお猪口ストラップを作ってみるというワークショップでは、参加者自身で箍編みを楽しんでいました。

最後にイベントを企画した情報館館長の今田周三は、「オーガニック日本酒に対する国内マーケットの認知はまだ低いが、海外のマーケットでの普及も含め大きな可能性を感じ、期待しています」と語っていました。

情報館では、これからも日本酒を歴史・文化と新たな日本酒のトレンドとともに楽しんでいただくご提案をしていく予定です。

『ビオサケを楽しむ会』概要

<主   催>日本の酒情報館

< 開催日時 >2023年11月25日(土) 13:30~17:00

<会   場>日本の酒情報館 東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F

<内   容>ビオサケの試飲 13時30分~17時

       全国から有機日本酒をはじめとした約20種類のビオサケの有料試飲

       パネルトーク「ビオサケの意義と可能性を考える」 14時~14時30分

       農家 谷口 修(Wakka agri)

       酒蔵 橋場友一(泉橋酒造(株) 社長)

       流通 白土暁子(いまでや バイヤー)

       司会 種藤 潤(オーガニックヴィレッジジャパン 事務局長/理事)

       「箍編みでお猪口ストラップを作ろう」ワークショップ

       木桶を締める竹を編んでつくる箍作りを体験し、実用的なお猪口ストラップを作るワークショッ

       プ。

       講師 門之園知子(オーガニックヴィレッジジャパン)

配信元企業:日本酒造組合中央会

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