カワイイ見た目でも頼れる度はハンパなし! 東京消防庁のファーストエイドチームが導入したEVトライクがスゲェ奴だった

この記事をまとめると

東京消防庁のファーストエイドチームにEVトライクが2台導入されている

光岡自動車の3輪電気自動車「Like-T3」をベースに災害対策用の装備を積載している

軽自動車原動機付自転車の中間というキャラクターで臨機応変に走れるのがメリットだ

東京消防庁には変わった姿の緊急車両が導入されている!?

 空気が乾燥する冬は火災が増加する季節でもあります。昨今は、「火事だ〜!」と通報したら、駆けつけてきたのは働くクルマで子どもたちから羨望の眼差しを受ける立派な消防車……ではなく、まさかのトライク? しかもEV? そんな時代になっているようです。

 というのは、東京都の消防機関には比較的新しく創設された3つの部隊があり、まずは世界中の大規模災害で活躍する「消防救助機動部隊」、通称ハイパーレスキュー1995年に発生した阪神・淡路大震災の教訓により創設された部隊で、日本のみならず海外にも国際消防救助隊として現地へ赴きます。

レスキュー隊の緊急車両

 次に、育児などと両立する新しい働き方に挑戦している「デイタイム救急隊」。近年増加傾向にある都内の救急出動件数に迅速に対応するために発足した部隊で、電気救急車(EV)が日本で初めて導入され、女性隊員のみで活動。停電時や災害時には移動電源としても活用できるそう。

デイタイム救急隊のEV救急車

EVトライクに注目が集まる!

 そして、令和2年1月に創設されたのが、狭い道を駆け抜けていち早く災害現場に到着し、対応を行うための「ファーストエイドチーム」。この部隊が使用しているのが、全国の消防機関で初めて導入されたという、EVトライクなのです。2台1組で活動し、災害現場の初期対応に必要な消化用ホースAEDなどの機材を積んでいます。

 じつはこれ、光岡自動車が製作している3輪電気自動車「Like-T3(ライク・ティースリー)」というモデル。後輪駆動の3輪で、全長2485mm、全幅1170mm、全高1075mmというサイズです。4.3kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、最高出力は5.6kW。2名乗車ができ、最大積載量は100kgとなっています。フロントから見ると、ピザ屋さんの配達車両がちょっとワイドになった印象ですが、サイドにまわるとコンテナのような荷台に、しっかり赤色灯がついているのがなんとも可愛らしいですね。充電はAC100Vで約6時間で完了し、航続距離は約60kmとのこと。足立区の千住消防署で活躍しています。

普通の消防車と「Like-T3」が並んだ写真

 光岡自動車は、このLike-T3をファーストエイドチームのためだけに作ったのではなく、もともとは 近年増加する小口輸送に特化した商用電気自動車として、2012年8月に型式認定を取得。日本郵便佐川急便グリコなどで実際に荷物を運ぶために活躍しているのに加えて、ハウステンボスや旅館、ゴルフ場といった施設でも使われているとのこと。

 法規上ではサイドカーを装着した250cc以下のバイク、側車付軽二輪車に属するため、車検や車庫証明、シートベルト着用義務がないということ、また道交法では普通自動車とみなされ、ヘルメット着用義務がなく普通運転免許で運転できるという、軽自動車原動機付自転車の中間という位置付けとなるのがLike-T3だといいます。

出初め式でのファーストエイドチームの「Like-T3」

 実際に千住消防署では、軽自動車でも通行が難しいような路地などが多く残る地域のため、住民から「万一の災害時の安心感が高まった」といった声があがっているそう。災害現場に1秒でも早く駆けつけ、必要な処置をおこなって救命の効果を高めるとともに、あとからくる部隊が活動しやすい状況を整える使命を背負ったファーストエイドチーム。見た目はかわいくても、とっても頼りになるEVなのでした。

カワイイ見た目でも頼れる度はハンパなし! 東京消防庁のファーストエイドチームが導入したEVトライクがスゲェ奴だった