今年も11月第3木曜日(11月17日)の「ボジョレ・ヌーボー解禁日」が近付いてきました。この日を待ちわびていたファンも多いことでしょう。
ボジョレ・ヌーボーといえば毎年話題になるのが派手な“キャッチコピー”。「50年に1度」「100年に1度」などの誇大な表現が並び、これらは時に矛盾しているようにも見えますが、こうした文言は法律上の「優良誤認」などに当たらないのでしょうか。
オトナンサー編集部では、高井・村山法律事務所の高井信也弁護士に取材しました。
誇大な表現が並ぶ“キャッチコピー”
まずインターネットで確認できる“キャッチコピー”はおおむね以下の通りです。
1998年「10年に1度の年」
1999年「品質は昨年より良い」
2000年「出来は上々で申し分ない仕上がり」
2001年「この10年で最高」
2002年「過去10年で最高と言われた2001年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来栄え」
2003年「100年に1度の出来栄え」「近年にない良い出来栄え」
2004年「香りが強くなかなかの出来栄え」
2005年「ここ数年で最高」
2006年「昨年同様の良い出来栄え」
2007年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
2008年「豊かな果実味と程良い酸味が調和した味」
2009年「50年に1度の出来栄え」
2010年「2009年と同等の出来栄え」
2011年「2009年より果実味に富んだリッチなワイン」
2012年「ボジョレー史上最悪の不作」「糖度と酸度のバランスが良く軽やかでフルーティーな仕上がり」
2013年「瑞々しさが感じられる素晴らしい品質」
2014年「2009年の50年に1度の出来を超える味わい」
2015年「今世紀で最高の出来」
毎年使えば不当表示になる可能性も
それでは、こうした“キャッチコピー”に問題はないのでしょうか。
高井さんによると、景品表示法(景表法)は事業者が消費者に対し、商品の品質について実際よりも「著しく優良」と表示することを「不当表示」として規制しています。
高井さんは「食品の表示が問題になるのは、原材料や産地、製造方法などが実際と異なっているケースが多いようです。つまり、『ボジョレ・ヌーボー』としての原材料などに偽りがなければ、その点では不当表示にはあたらないと言えるでしょう」と話します。
ただし「閉店商法」(閉店による在庫一掃などをうたい文句にする商法)が不当表示にあたるのと同様、特定の事業者が毎年のように「100年に1度」との表示を用いた場合は、「不当表示にあたる可能性があります」(高井さん)。
高井さんは「過大なキャッチコピーが一般消費者に広まっていたとしても、事業者が自社の商品にこれを表示しなければ、景表法の規制対象にはなりません」と話します。
共通の“キャッチコピー”は存在しない
ちなみに、ボジョレ・ヌーボーを扱うサントリーによると、フランスの製造元や日本の販売業者、日本における窓口であるフランス食品振興会などはそれぞれ、その年の出来栄えについてコメントを出しているそうですが、共通の“キャッチコピー”は存在しないとのこと。
毎年の“キャッチコピー”を誰が、どのように生み出しているのか、不明なのが現状のようです。さて2016年はどのような“キャッチコピー”が生まれることでしょう。
(オトナンサー編集部)
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