1915年創業の酒類専門商社の株式会社モトックス(本社:大阪府東大阪市、代表取締役社長:寺西 太亮)と、同志社女子大学 杉浦伸一教授は、共同でワインの持つ抗糖化作用についての研究を行っております。本研究は、ワイン全般には強い抗糖化作用があることを発見しただけでなく、中でも一部の赤ワインは希釈した場合でもその作用を維持し、すでに抗糖化作用があると知られている化合物よりも強いことを発見しました。さらに、抗糖化作用の強いワインの摂取によって、女性の体内の糖化最終生成物(AGEs)を減少させるのに有用である可能性が示唆されました。本研究成果は、2023年11月9日に一般社団法人糖化ストレス研究会が出版する「Glycative Stress Research」誌に採択されました。なお、2023年12月に「エイジングケアワイン研究所」を株式会社モトックスと杉浦伸一教授との共同で設立いたしました。生活者が抗糖化作用を軸にしたワイン選びができるよう研究や情報発信を行っていく予定です。

■研究結果のポイント

  • ワイン全般には強い抗糖化作用があり、中でも一部の赤ワインでは希釈した場合でもその作用を維持し、抗糖化作用を有する既存化合物よりも強いことが分かった。

  • 女性において、抗糖化作用の強い赤ワインを1日グラス1杯(125 mL)飲用することで、体内の糖化最終生成物(AGEs)を減少させるのに有用である可能性が示唆された。

  • 今後、更に多くの産地・品種・醸造方法の銘柄を検査することで、ワイン選びにおける新たな指標(強い抗糖化作用を有するかどうか)が出来ると期待される。

■体の老化と密接に関係する「糖化」とは?

玉ねぎフライパンで炒めると、次第にきつね色になるように、糖とタンパク質を加熱することで「糖化」という化学反応が生じます。実はこの現象は、人の体の中でも日々起こっています。

人体を構成する要素の中で、タンパク質は水分に次いで多い成分です。体温という温かい環境の中でタンパク質と糖が結びつくと、元のタンパク質は次第に姿を変えていきます。糖化が進むと体が“コゲ”ているような状態となり、最終的には糖化最終生成物 (advanced glycation end products: AGEs)が作られます。

この糖化最終生成物(AGEs)は、皮膚老化や糖尿病合併症、アルツハイマー病動脈硬化骨粗鬆症などの、老化と老化に伴う疾患の発症進展リスクに関与していると知られています。このように、糖化は老化と密接に関係していると言われており、糖化を防ぐ「抗糖化」は、健康維持を目指す方にとって注目されています。

参考:エイジングケアワイン研究所http://www.kotoka.jp/

■研究の背景と目的

糖化については、これまでに、野菜やスパイスハーブティーなどの食品・飲料を用いた糖化ストレス対策(抗糖化)が検討されてきましたが、昨今そのほかに、「ポリフェノール」が、抗酸化作用と抗炎症作用だけではなく、抗糖化作用も有していることが分かってきました。

そこで同志社女子大学 杉浦伸一 教授と株式会社モトックスがポリフェノールを多く含む飲料としてワインに着目し、共同でワインの持つ抗糖化作用について研究することになりました。なお、杉浦教授は糖化に焦点を当てた予防医学を専門とし、食品成分の糖化ストレスに対する臨床応用の研究をされており、株式会社モトックスは酒類専門商社として世界23か国2,000アイテム以上のワインを取り扱っています。

■研究成果の概要

【方法】ヒト血清アルブミン(HSA)-グルコース糖化モデルに各種ワインを添加し、蛍光AGEs産生量を測定することで様々なワインの糖化抑制効果を評価した。その中から抗糖化作用が強いものを選出し、ヒト比較試験用に用いた。アルコール摂取が可能な20歳以上65歳未満の男女60名を対象とした。無作為割付非盲検交互試験によって、ワインまたはミネラルウォーターのどちらか1種類を週に6日、1日125 mLずつ4週間継続して摂取させた。摂取前、摂取後の計4回、AGEsセンサで体内のAGEs蓄積レベル及びストレス測定器によるストレス値を測定した。また、AGEs蓄積に影響する生活に関するメールアンケートを毎週実施した。

【結果】試験完了48名中,33名が解析対象例となった。ワイン摂取群ではAGEs値の低下が見られ、ミネラルウォーター摂取群ではAGEsの上昇が見られたが有意差はなかった(p = 0.16)。摂取期間による解析を行ったところ、第2週~5週群(6月上旬~7月中旬)と第8週~11週群(7月下旬~9月中旬)の比較では、第2週~5週群のワイン摂取前後のAGEs値は強い減少傾向が見られた(p = 0.06)。また女性に絞った解析では、ワイン摂取後のAGEsが低下する傾向を示した(p = 0.07)。さらに投与時期と重ねて分析した結果、第8週~11週群の女性ではワイン摂取群のAGEsが有意に低下した(p = 0.02)。

Tittle: Effect of Red Wine on AGEs in Blood

Authors: Shin-ichi Sugiura, Yumeno Iwata, Sae Hirano, Momoka Nagano, Saki Shimada, Mayako Uchida, Mika Asano, Hirotaka Akita

Journal: Glycative Stress Research, 2023, in press. (Accepted: November 9, 2023)

■今後の展望

本研究で得られた成果は、ワインが強い抗糖化作用を有することを示すと同時に、色や品種、産地、製法などによってもその効果が異なることを示しています。中でも一部の赤ワインには強い抗糖化作用があり、女性においては、この抗糖化作用の強い赤ワインの摂取によって、体内のAGEsを減少させるのに有用である可能性が示唆されました。

今後より多くの銘柄を検査することによって、強い抗糖化作用を有する銘柄を見つけ出すことで、ワイン選びにおける新たな指標(強い抗糖化作用を有するかどうか)を作ることが出来ます。ワインの難しい知識などを必要としないこの新たな指標が加わることで、消費者のワイン選びの楽しみが増えることが期待されます。

【本件に関するお問い合わせ先】

同志社女子大学 広報部広報室広報課

広報課長 前野健

電話:0774-65-8631

FAX:0774-65-8632

E-mail: koho-t@dwc.doshisha.ac.jp

株式会社モトックス

コーポレートコミュニケーション部 広報室

電話:03-5771-2823

E-mail:pr@mottox.co.jp

<エイジングケアワイン研究所 お問い合わせフォーム>

https://www.kotoka.jp/contact/

【株式会社モトックスについて】

~テーブルに笑顔とワインを世界から~

本社:〒577-0802 大阪府東大阪市小阪本町1-6-20

代表者:代表取締役社長 寺西 太亮

設立:1954年9月(創業:1915年9月)

電話番号:06-6723-3131(代表)

URL:https://www.mottox.co.jp/

事業内容:酒類専門商社(輸入ワイン、全国地方銘酒・焼酎・泡盛

同志社女子大学について】

京都府京都市の京都御苑北側に位置する今出川キャンパスと、京都府京田辺市学研都市に位置する京田辺キャンパスに、6学部11学科1専攻科5研究科を擁する女子総合大学。

キリスト教主義、国際主義、リベラル・アーツを教育理念とし、現在約6,400名の在学生が在籍。1876(明治9)年10月24日新島襄の妻・八重と女性宣教師によって開校した「女子塾」を起源とし、2026年に創立150周年を迎える。

URL:https://www.dwc.doshisha.ac.jp/

配信元企業:株式会社モトックス

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