年末年始にかけて、忘年会新年会などでお酒を飲む機会が増えますが、飲み過ぎると「急性アルコール中毒」になるリスクが高まるため、注意が必要です。特に12月は、急性アルコール中毒により救急搬送される人が増える傾向にあるといわれています。

 そもそも、急性アルコール中毒になった場合、どのような症状が出るのでしょうか。職場の忘年会で同僚や部下が急性アルコール中毒と見られる症状に陥った場合、どのように対処したらよいのでしょうか。内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

倒れている人がいたら横向きに寝かせて

Q.飲酒時に「急性アルコール中毒」に陥った場合、どのような症状が出ることが多いのでしょうか。1日の適正な飲酒量も含めて、教えてください。

市原さん「急性アルコール中毒は、短時間に多量のアルコールを摂取することにより、血中のアルコール濃度が急上昇することで起こります。軽度の場合、顔の紅潮や吐き気、嘔吐(おうと)、酩酊(めいてい)などの症状が生じます。重度になると、昏睡(こんすい)や呼吸抑制、呼吸停止が起こり、最悪の場合、死に至ります。

1日の適正な飲酒量は、純アルコールに換算すると20グラム程度といわれており、ビールの場合は500ミリリットル、焼酎の場合は110ミリリットルに相当します。この程度の量のお酒を摂取してもほろ酔い程度になることが多く、急性アルコール中毒になる可能性は低いですが、お酒に弱い人は注意してゆっくり飲むようにしましょう。この量以上のお酒を短時間で一気に飲んだ場合、急性アルコール中毒の可能性が高まります」

Q.職場の忘年会で同僚や部下が「急性アルコール中毒」と見られる症状に陥った場合、どのように対処すればよいのでしょうか。応急処置の方法や119番通報の目安なども含めて、教えてください。

市原さん「まず、酔って寝ている人がいたら、嘔吐による窒息の可能性があるため、横向きに寝かせましょう。それから、酔っぱらって寝ているだけなのか、急性アルコール中毒で意識を失っているのか、周囲の人が判断する必要があります。

たたいても動かしても、その人が『無反応』『呼吸の状態がおかしい』『大量に嘔吐している』『失禁している』『体が冷たい』などの状態の場合は、急性アルコール中毒の可能性があるため、119番通報して救急車を呼びましょう」

Q.急性アルコール中毒になりやすい人の特徴について、教えてください。

市原さん「『飲酒時、すぐに顔が赤くなる人』『飲酒後、二日酔いになりやすい人』『少量の飲酒で気分が悪くなる人』『親がお酒に弱い人』は、アルコールを分解する能力が低いため、急性アルコール中毒になりやすいと考えてください」

 忘年会の際は、くれぐれもお酒を飲み過ぎないように注意するとともに、周囲の人も無理にお酒を飲ませないようにしましょう。

オトナンサー編集部

急性アルコール中毒になると、どのような症状が出る?