Text:高島由佳 Photo:原田直樹

2024年1月20日(土)の武道館ライブのチケットは即ソールド、1月17日(水)にはメジャー2ndシングル『Sesame』をリリース、4月には東名阪FCツアー開催と、勢い止まらぬKroi。11月からスタートした対バンツアー『Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4』が、12月2日(土)Zepp Sapporoでついにファイナルを迎えた。

デビュー前から主催している対バンツアーは約2年ぶり4回目を迎える。「敬愛してやまない先輩方を対バンとして呼びたい」と始めたこの企画。今回は全国7都市で開催され、Tempalayを皮切りに、OKAMOTO'S、nobodyknows+、Nulbarich、Bialystocks、Ovallとそうそうたるメンツが続いた。最終日の札幌では、そのラストを飾るにふさわしい変幻自在の個性派バンド、クリープハイプが登場だ。

身動きもとれないほど超満員のフロアに、クリープハイプのメンバーが登場。いきなりアカペラでBメロの歌い出しという度肝を抜くアレンジで始まった「ナイトオンザプラネット」に、会場は一気に彼らの色に染まる。続く「キケンナアソビ」から「月の逆襲」と息をもつかせぬ展開だ。

MCでは尾崎世界観が「Kroiが学生時代にコピーしてくれてたと聞いたけど、嘘だと思うんだよな俺は。打ち上げでクリープハイプクイズしてみようかな(笑)」と会場を笑わせる。

クリープハイプを聴いていた人がこんなに全然違う音楽をやってるのって凄いことだと思います。だから10年後ぐらいに『Kroiめっちゃ聴いてたんですよ!』って若手バンドが出てきて、クリープハイプみたいな音楽だったら面白いですよね。Kroiのようなバンドが聴いてたと言ってくれるバンドであれて、めちゃくちゃ誇らしく思います」と語った尾崎。照れ臭さからなのか間髪入れずに始まった「君の部屋」では、歌詞の中に「Kroi」を盛り込んだ。

「バブル、弾ける」から「身も蓋もない水槽」に「金魚(とその糞)」と激情ほとばしるチューンを投下。「HE IS MINE」では湧き起こるハンドクラップとコールアンドレスポンスの渦に包まれた。

ラブホテルなんてどこにでもあるけど熱海とか行って~」とKroiの名曲にちなんだ前フリから始めた「ラブホテル」で怒涛の後半戦に突入。「イノチミジカシコイセヨオトメ」から「愛の標識」、「大丈夫」と続く。ラストは、逆光のライトにメンバーのシルエットが浮かび上がる中「二十九、三十」を歌い上げ、「ありがとう」と締め括った。

初っ端からぶちアガる新曲「Hyper」でスタートを切ったKroi。内田怜央の高速ラップとファルセットが響き、千葉大樹のピアノソロがオーディエンスをさらに盛り上げる。ファンク&ロック&ヒップホップが融合する多彩なミクスチャーナンバーは、まさに彼らの真骨頂だ。

「みなさん調子はどうですか~? Kroiちゃん始めます」といつもの挨拶とオーディエンスのクラップハンズで始まった「Balmy Life」。早くもキラーチューンの登場に会場のボルテージは急上昇だ。「HORN」では内田とのコールアンドレスポンスにフロアは熱狂。長谷部悠生のキレのあるカッティングギター、安定感抜群の関将典のベースと益田英知のドラム。そしてキーボード千葉のテクニカルな演奏と、Kroiの魅力を存分に見せつけMCへ。

「凄い楽しいツアーでしたけども、めっちゃ緊張した。先輩のあとに後輩がやるってないじゃない。クリープハイプ俺らド世代でしょ? 学生の頃からずっと聴いてて、NHKホールのライブとか行ってたから。さっきクリープハイプクイズ出すとか言ってたけど、めちゃくちゃこわいわさすがに(笑)」と内田。長谷部と内田が高校時代にYouTubeでクリープハイプのカバー動画をコラボしていたエピソードを披露すると、千葉が「ライブ終わったら怜央の動画を限定アップしておきます」と爆弾発言して内田に止められる一幕も。演奏のかっこよさからのこのトーク。ギャップあふれる魅力がたまらない。

いつもよりさらにファンキーでグルーヴィーな「Mr. Foundation」では、内田が体をくねらせ踊りながらリズムを刻む。「Funky GUNSLINGER」のイントロでは益田のドラムソロが見せ場を作り、酔わせるように響くギターにオーディエンスも酩酊。ゆらゆらとフロアが揺れる。

次からの3曲は公演ごとに異なるパートで今回は「a force」「侵攻」「Astral Sonar」を披露した。ドラムとベースの刻むリズムサブリミナル効果を誘発し、千葉のボコーダーボイスが光る。ギターソロでは長谷部がジミヘンのごとくギターを肩に掲げて後ろ向きに演奏。オーディエンスの振り上げる拳が勢いを増した。


「いや楽しいですわ。メチャメチャ。1番テンションアゲアゲでやってるんじゃない?」の内田の言葉に会場が沸き立つ。「Zepp Sapporoにこれだけの人が集まってくれるのは、クリープハイプさんのおかげ」と関が感謝を述べる。

「Kroiのライブ初めての人いっぱいいるでしょう?(半数ほど手を挙げる)じゃあ引いてるでしょ、なんか変なの見せられて(笑)。気づかないでめちゃ気持ちよくギターソロとかやってたわ」

いやいや、たとえクリープハイプ目当てで来たとしても、この演奏を見せられたら、Kroiの虜になること間違いなしだろう。

後半戦は「selva」「Small World」「Page」と怒涛のハードチューンが続き、脳を揺さぶる音の洪水がステージから客席へと溢れ出す。

「さびしいなー。ツアー終わっちゃうよ。みんなで作り上げてきたツアーです。ライブはコミュニケーションだといつも言ってますが、本当にそれが伝わっていると思いますよ」と始まったのは本編ラストの「Fire Brain」。どんどん力強さを増していく内田のボーカルにギターが、ベースが、ドラムが絡み合い、ひとつの音のうねりになっていくのが、まさにKroi

「憧れの人たちと対バンして、自分たちも成長していると感じた。Kroiはちゃんと売れたいと思っております。日本の音楽をさらによくするために、ヤバい活動をしていこうと思っています。今日は初めての方が多かったんで、我々のスタンスを述べさせてもらいました」とちょっと真面目な所信表明のあとに、「これからブチ踊りセクションとなりますので、よろしいでしょうか?」とラストスパートへ。フロアではオーディエンスがひしめき合いながら飛び跳ね、踊り、エネルギーを放出して暴れまくった。

湧き起こるアンコールの拍手の中、対バンツアーの最後を飾るのは「Everybody funky yeah!」のシャウトで始まる「Juden」だ。ベースソロではクリープハイプの「HI IS MINE」のワンフレーズを挿入する心にくい演出も。「またね」と内田がひと足先にステージを退場してからも、残る4人が技巧を凝らしたアウトロで最後の1音まで会場を盛り上げる演奏を披露してくれた。

スキルフルな先輩バンドとの対バンを経て、さらに成長したKroi。この先に待ち受ける武道館ワンマンライブ、そして2024年の活躍に期待せずにはいられないツアーファイナルとなった。

<公演情報>
Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4

2023年12月2日(土)Zepp Sapporo

セットリスト

クリープハイプ
01.ナイトオンザプラネット
02.キケンナアソビ
03.月の逆襲
04.君の部屋
05.バブル、弾ける
06.身も蓋もない水槽
07.金魚(とその糞)
08.HE IS MINE
09.ラブホテル
10.イノチミジカシコイセヨオトメ
11.愛の標識
12.大丈夫
13.二十九、三十

■Kroi
01.Hyper
02.Balmy Life
03.Network
04.HORN
05.Mr. Foundation
06.Funky GUNSLINGER
07.a force
08.侵攻
09.Astral Sonar
10.selva
11.Small World
12.Page
13.Fire Brain
EN.Juden

<ワンマンライブ情報>
『Kroi Live at日本武道館

2024年1月20日(土) 日本武道館
開場17:00 / 開演18:00

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kroi-t/

関連リンク

公式サイト:
https://kroi.net

『Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4』12月2日 Zepp Sapporo