【試乗】上質さのアルファードとスポーティなヴェルファイア! 圧倒的な質感でミニバンの王座にゆるぎなし!!

この記事をまとめると

■新型アルファードヴェルファイアに中谷明彦さんが試乗した

■一般道での操舵はやや重めながらもアルファードは安定感と剛性感の高まりを感じた

ヴェルファイアはコーナーでの安定感やステアリング操舵レスポンスの良さなど、スポーツ性が一段と高まっている

運転席に座るのが残念に感じられるほどの後席の特等席感

「快適な移動の幸せを提供することをコンセプトとして開発した」(吉岡CE談)という新型アルファードヴェルファイア。いまでは日本国内だけでなく、中国でも圧倒的な評価を得ており、左ハンドルを設定して輸出も行なえるようになっている。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 中国はもともとセダン大国で、とくに後席に対する要求が高かった。それゆえカローラクラスはもとよりヤリスにもロングホイールベース仕様が設定されるなど、日欧米各国はロングホイールベースセダンの拡販に力を注いできた。

 しかし、来日した際にアルファードヴェルファイアのハイヤー等でその快適さに魅了され、なんとしても手に入れたいという爆買系中国ユーザーが続出。中国内ではコピー車まで登場する事態となっていた。そうした熱望にも応える形で、新型モデルは正式に国内生産車を中国へ輸出できることとなり注目を集めているのだ。すでに筆者のもとにも中国メディアから寄稿の問い合わせが相次いでおり、国内ユーザー同様に中国ユーザーも新型の情報を渇望している。

 それでは公道試乗をリポートしよう。試乗モデルはアルファードのHEV Efour(エグゼクティブラウンジ)と同FF仕様。ヴェルファイアはHEV E-four(エグゼクティブラウンジ)と2.4リッターガソリンターボのFF(Zプレミア)仕様の計4モデルだ。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 アルファードヴェルファイアの外観はフロントのラジエターグリルまわりデザインやリヤコンビネーションランプまわりの意匠差で区別ができる。

 新型の開発にあたっては、ヴェルファイアを廃止しアルファードに統合する案も検討されたとのことだが、熱心なヴェルファイアファンの情熱に応える形で存続が決定。意匠だけでなく、乗り味や走りでも明確な差別化が図られているという。

 まずはアルファードのHEV FF(エグゼクティブラウンジ)に試乗する。おそらく、この仕様が販売の中枢になる仕様だと思われる。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 運転席に乗り込む前に電動のサイドスライドドアを開け後席チェック。後席に乗り込もうと足を上げると向こう脛に激痛が走る。じつは新型には全車電動スライドドアと連動するステップが備わっており、ドアを開けている間にステップが脛に触れる位置まで出てくる。気付かずに足を上げるとステップ先端に脛をぶつけてしまうのだった。

 これは新型となったノア/ヴォクシーにも採用されており、同じく脛をぶつけて痛い思いをしたので、位置や形状にもうひと工夫必要だと進言しておいた。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 室内に乗り込んでしまえば、そこは豪華で快適な2列目シートが備わり、十分なスペースが確保された3列目シートが迎え入れてくれる。とくに2列目シートがVIPの定席となると考え、シートの素材や寸法、肘掛けの角度や機能など、これまでの経験を十分活かし、文句を付けようがない特等席として仕立てられている。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 残念ながら運転席に移動して走らせることにする。コクピットではドライバー視点で乗り味を評価することになる。

アルファードとヴェルファイアは目指すところが違う

 スタート/ストップボタンを押してシステムを起動させ、センターコンソールのセレクターレバーをDポジションにいれれば発進可能だ。この辺の所作は従来の、あるいは他のHEVモデルとなんら変わりない。ステアリングポストの位置が変更され、従来モデルよりステアリングホイールの角度が4.5度立ち上がり、より乗用車的になったことで、初めてミニバンを運転する人でも違和感のない運転姿勢が取れるようになった。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 動き始めると、タイヤ2〜3回転したところでシャシーの質感が圧倒的に高まっていることが実感できる。試乗開始場所は石畳路面で、通常だとゴロゴロ、ガタガタと振動が感じられるのだが、新型はその段差をうまくいなして滑らかに乗り越えていく感触だ。装着タイヤは225/65R17のブリヂストン・トランザで、乗り心地と操縦バランスに優れた設定といえる。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 一般路へ出ると路面の段差やうねりなどさまざまな外乱要件が存在するが、市街地の速度レベルではステアリング反力も小さく、快適さは保たれたまま。操舵フィールはやや重目だが、安定感と剛性感が伝わり安心感がある。

 FFのトヨタ車は操縦安定性の高さが魅力だ。じつはアイシス(2004年登場)が初めて登場したときからFFのハンドリングが優れていたことに気がついていた。これは担当テストドライバーの優秀さの現れでもあり、今回のアルファードヴェルファイアも同じテスターが担当しているそう。先代となったモデルもテストコースで抜群の限界走行性能を示していて驚かされたのを思いだす。

 TNGAのGA-Kプラットフォームを採用し、2種類の構造用接着材をフロアで使い分け、床下にはスポーツカーに採用されるVブレースを配置して高剛性化するなど、ハンドリングと快適性の両立に特化した技術を惜しみなく採用している。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 高速道路に入り加速を試みると、2.5リッターダイナミックフォースエンジンが力強い加速を披露する。エンジン始動時の振動はほとんど感じず、高回転に達するとノイジーさは増すが振動は抑えられていて、HEVを扱い慣れたドライバーなら、アクセル操作加減で騒音レベルを制御できる。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 高速でも路面振動はうまくいなされ、新採用の周波数感応型ダンパーが上手く機能していることがわかった。運転席に伝わる振動やノイズの少なさから、2列目以降も従来モデル以上に静寂で快適な居住空間となっているであろうことが容易に想像できるのだ。

 HEV E-fourに乗り換えると、より質感の高さと静粛性が高まっていること、また操縦安定性もさらに洗練されていることがわかる。リヤアクスルの駆動モーターの荷重が後輪接地性を高め、前後重量配分をより理想的に近づけている。また、4輪電動駆動することで力強く、冬季の雪道でも安心さと快適さが得られるだろう。

 ヴェルファイアに乗り換えると、いままで以上に運転感覚が大きく差別化されていることがわかった。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 基本骨格やパワートレインアルファードと同じだが、試乗車は225/55R19(ダンロップSPスポーツマックス)のタイヤを装着していた。本来なら乗り心地が悪化するようなタイヤサイズだが、振動の収束が早く、不快感を感じさせない。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 一方で、コーナーでの安定感やステアリング操舵レスポンスの良さなど、スポーツ性が一段と高まっている。これがヴェルファイアの目指すところで、こうした乗り味を求めるユーザー層が根強く一定数存在するとトヨタは理解しているのだ。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 最後に2.4リッターのガソリンターボFFのヴェルファイア Zプレミアに乗ると、より個性が際立っていることがわかった。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

 D4S-Tのパワーユニットは、インタークーラー付ターボで最高出力279馬力を発生する。ダイレクトシフト8速ATが組み合わされ、軽快な加減速フィールが運転する歓びを高めてくれる。この乗り味はスポーツカーを運転するのと同様な抑揚感があり、ドライバーを魅了する。この魅力的なガソリンターボエンジンはヴェルファイアにのみ設定されることで、アルファードとのキャラクター分けが明確になっているともいえるのだ。

 今回は試乗できなかったが、ヴェルファイアにはガソリンターボにメカ4WDを組み合わせた仕様もラインアップされている。個人的にはそれがベストバイなのだが、ハイオクガソリン仕様であることとHEVには遠く及ばない燃費を考慮しておかなければならないだろう。

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

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中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

中谷明彦が新型アルヴェルに試乗した

【試乗】上質さのアルファードとスポーティなヴェルファイア! 圧倒的な質感でミニバンの王座にゆるぎなし!!