2023 FIFAクラブワールドカップ サウジアラビアの準々決勝(2回戦)が15日に行われ、浦和レッズ(日本)とクラブ・レオンメキシコ)が対戦した。

 2022シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で5年ぶり3度目の優勝を成し遂げた“アジア王者”の浦和が、世界の舞台に挑む。2023シーズンの国内大会において、浦和は明治安田生命J1リーグで4位、JリーグYBCルヴァンカップで準優勝、天皇杯JFA102回全日本サッカー選手権大会では3回戦敗退という成績。明治安田生命J1リーグJリーグYBCルヴァンカップではタイトルに近付きながらも、最終的には国内無冠でシーズンを終えた。2023-24シーズンのACLでも、グループJを2勝1分3敗の2位でフィニッシュ。他のグループを含めた2位チームの上位3つに入ることはできず、グループステージ敗退の憂き目を見た。クラブW杯では今季限りでの退任が決まっているマチェイ・スコルジャ監督の“最終章”を有終の美で飾れるか、注目だ。

 初戦で相見えるクラブ・レオンリーガMX(メキシコ1部リーグ)のチーム。CONCACAFチャンピオンズリーグ2023では、決勝でジョルジョ・キエッリーニカルロス・ベラらを擁するアメリカのロサンゼルスFCを2戦合計3-1で撃破。クラブ史上初の大会制覇を成し遂げ、“北中米王者”としてクラブW杯に参戦する。

 浦和は2023シーズンのJリーグベストイレブンに選出された西川周作、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテン、伊藤敦樹らがスターティングメンバー入り。開幕直前に髙橋利樹に代わって急きょ選手登録されたキャプテンの酒井宏樹はベンチスタートとなった。その他、中島翔哉、興梠慎三、ブライアン・リンセンらがベンチから出番を待つ。

 試合は立ち上がりから浦和が主導権を握り、敵陣へ攻め込む時間帯を増やしていく。キックオフ直後に敵陣右サイドからドリブルで持ち込んだ大久保智明が右足でシュートを放つも、ここはGKロドルフォ・コタに阻まれる。19分には敵陣左サイドから中央へ持ち運んだ小泉佳穂が最終ラインの裏へスルーパスを送ると、このボールに大久保が反応。GKと1対1のチャンスを迎えたが、得意の左足で放ったシュートはGKに防がれ、浦和としてはこの試合最大の決定機を逃す形となった。

 その後、浦和は22分に伊藤、39分にホセ・カンテがミドルシュートを放つも、どちらもゴールを脅かすまでには至らず。一方、クラブ・レオンアルフォンソ・アルバラードルーカスロメロがシュートを放つ場面もあったが、ホイブラーテンの体を張った守備やGK西川の落ち着いた対応でゴールを許さない。前半はこのままスコアレスで終了した。

 後半に入ると立ち上がりの48分、クラブ・レオンの右サイドからのクロスボールをホイブラーテンがクリアし損ない、浦和としてはヒヤリとしたが、ここはGK西川が難なく処理。54分には浦和がセットプレーでチャンスを作る。敵陣右サイドで獲得したフリーキックを岩尾が右足で放り込むと、ボックス左で待っていた明本考浩が胸トラップから前に持ち出す。深い位置からマイナスに折り返すと、伊藤が左足で合わせたが、シュートはジャストミートできずにクロスバーの上へと外れた。

 60分には浦和にアクシデントが発生。右サイドバックの位置に入っていた関根貴大がドリブルで相手を抜こうとした際、足を痛めてしまう。関根はプレー続行が不可能となり、代わって荻原拓也がピッチへ送り出された。荻原は左サイドバックに入り、明本が右に回る形で試合は再開している。

 主導権を握りながらも、なかなか決定的なシーンを作り出すことのできない浦和は、73分に攻撃的な選手を2名投入。伊藤と大久保を下げて中島とアレックス・シャルクを投入し、安居海渡が1列下がる形となった。

 するとそのシャルクが直後に大仕事をやってのける。78分、最終ラインから右サイドに出てボールを持ち運んだショルツが右足でアーリークロスを送ると、このボールにシャルクが反応。うまくボールを収めることはできなかったが、跳ね返りがカンテに渡ると、リターンパスをシャルクに繋ぐ。ボックス右でパスを受けたシャルクは右足で狙い澄ました一撃を転がし、このシュートがファーサイドに吸い込まれた。今季限りでの退団が発表されているシャルクが浦和での“最後の大舞台”で結果を残し、終盤に浦和が先手を取った。

 先制した浦和は81分、明本に代えて酒井を送り出し、試合を締めにかかる。84分にはペナルティエリア手前の位置で浮き球スルーパスに抜け出そうとしたシャルクを、ウィリアム・テシージョが倒してしまい、この日2枚目のイエローカードで退場処分に。浦和としては残る5分強とアディショナルタイムを数的優位で戦うこととなった。

 89分には小泉、中島と頭で繋ぎ、敵陣中央付近で前を向いたカンテのスルーパスから、シャルクが決定機を迎える。しかし、ここはGKコタにセーブされる。8分と表示された後半アディショナルタイムにはクラブ・レオンにボールを握られる時間も少なくはなかったが、集中力を切らさず、1点を守り切った。

 試合はこのままタイムアップ。浦和は試合の流れを掴みながらも複数のチャンスを逃したが、相手に決定機らしい決定機を作らせず、終盤に途中出場のシャルクが決勝弾。クラブ・レオンを1-0で破った。

 この後、勝利した浦和は20日に準決勝でヨーロッパ王者のマンチェスター・シティと対戦する。

【スコア】
レオン 0-1 浦和レッズ

【得点者】
0-1 78分 アレックス・シャルク(浦和レッズ

スターティングメンバー
GK:西川周作
DF:関根貴大(64分 荻原拓也)、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテン、明本考浩(81分 酒井宏樹
MF伊藤敦樹(73分 中島翔哉)、岩尾憲;大久保智明(73分 アレックス・シャルク)、安居海渡、小泉佳穂
FW:ホセ・カンテ

途中出場のシャルクが値千金の決勝弾 [写真]=FIFA via Getty Images