「ここから〇〇ICまで30分」など、高速道路では目安のポイントまでの所要時間が表示されます。しかし、最高速度は区間や車種によっても異なるうえ、渋滞状況にも左右されます。どのような基準で所要時間が表示されるのでしょうか。

高速道路の所要時間は何基準?

高速道路では、「ここから●●ICまで30分」といった所要時間情報が要所で表示されます。その所要時間は何を基準に表示されているのでしょうか。2023年12月、NEXCO中日本八王子支社の道路管制センターを取材する機会を得たので、素朴な疑問をぶつけてみました。

八王子支社の道路管制センターは、中央道を中心に、東京、山梨、長野などの計317.5kmの道路状況を24時間365日、見守り続けています。巨大なモニターでは、車線ごとの状況が一目でわかるようになっているうえ、落下物などの情報もリアルタイムで取得。それら情報をドライバーに向け、道路上の情報板へ発信するなどしています。

情報板の位置や表示内容なども、全てここで把握。「渋滞●km●分」といった情報は、自動計算で表示されることもあれば、手動入力する場合もあるそうです。

この所要時間表示には、かねて疑問がありました。

最高速度は区間によっても異なるうえ、一般車は100km/h(それ以上の区間もある)、大型車は80km/hというように車種によっても異なります。もちろん渋滞情報にも左右されるなか、「●●ICまで何分」といった情報があっても、人によって到達時間が異なってくるのではないか――と。

道路管制センターの大島和弘担当課長によると、所要時間表示は区間や車種ごとの最高速度の違いなどは関係なく、実際のクルマの到達時刻の平均から割り出されているのだそうです。

ただ、広域的な所要時間表示では、渋滞しているときに「●●ICまで30分」「▲▲ICまで60分」「■■JCTまで“2時間以上”」といった情報が出されるときがあります。一方で、ちゃんと「150分」などと表示されるケースも。なぜか、アバウトな情報が出ることがあるのです。

え、わざとアバウトにしてるの!?

これについて大島さんに聞くと、実はあえて「2時間以上」などという表現を使うケースがあるといいます。それは渋滞しているために「迂回をご検討いただきたいとき」なのだとか。

もっとも、「事故渋滞のときなどは、緊急車両の通行などで刻々と状況が変化するため、アバウトに表示せざるを得ないケースもある」そうです。

たしかに、「30分/60分/2時間以上」といった情報が表示されると、「そんなにかかるのか……」とウンザリすることがあります。思えばそうした情報は、圏央道の手前や、東名・新東名の分岐点手前など、その先で迂回ルートの選択が可能な場所で見かけるかもしれません。

大島さんによると、合わせて「図形情報板」と呼ばれる道路ネットワークの模式図をデザインした情報板に混雑箇所を表示し、迂回の参考情報を提示しているということです。

ちなみに、八王子支社の道路管制センターには、「統括料金所」と呼ばれる一画もあります。これは、管内の複数のスマートICを監視するコーナーです。スマートICの誤進入時や何らかのトラブルがあった際に「どうしました?」とインターホンで応対するのは、ここ八王子で統括して行っているのだそうです。

NEXCO中日本八王子支社の道路管制センターにて。道路情報板の所要時間表示などはここから発信している(乗りものニュース編集部撮影)。