プレミアリーグ第17節、リバプールvsマンチェスター・ユナイテッドが、日本時間17日25:30にアンフィールドでキックオフされる。熾烈な上位争いの行方を左右する、赤の名門同士の今季初対戦だ。

やや内容面に課題を残すものの、勝負強さを発揮して勝ち切った3連勝によってアーセナルを抜いて首位に浮上したリバプール(勝ち点37)。前節はクリスタル・パレスの術中に嵌って後半立ち上がりにビハインドを背負う苦しい展開となったが、相手の退場直後にサラーのクラブ通算200点&プレミア通算150点のダブルメモリアルゴールで同点に追いつくと、後半アディショナルタイムにはエリオットの鮮烈なミドルシュートで逆転し、フルアム戦に続く劇的勝利を飾った。

直近のヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ最終節サン=ジロワーズ戦ではすでに首位通過を決めていたことで、控えメンバーと若手主体の布陣で臨んだ結果、1-2の結果以上の低調な内容で公式戦7試合ぶりの敗戦となった。ここ最近の良い流れに水を差す形となったが、ファン・ダイクサラーに完全休養を与えており、この敗戦を良い教訓として今回のビッグマッチに臨むはずだ。

対する6位のユナイテッド(勝ち点27)は前節、ホームでボーンマスに0-3の惨敗。攻撃では最後の精度を欠き、守備ではビルドアップのミスやセットプレーの対応の甘さが見受けられ、攻守に精彩を欠く形での厳しい敗戦となった。さらに、チャンピオンズリーグ(CL)では逆転突破に勝利が最低条件だったバイエルンとのホームゲームで0-1の敗戦。屈辱のグループステージ最下位が確定し、EFLカップに続く2つ目のコンペティション敗退となった。

前々節チェルシー戦での会心の勝利を浮上のきっかけにできず、再びテン・ハグ監督の進退問題が騒がしくなり始めた状況で臨む難所での一戦は、勝ち点3奪取とはいかないまでも勝ち点1を持ち帰る必要がある。

なお、今年3月に行われたアンフィールドでの前回対戦は両クラブの歴史に刻まれる、ホームチームの7-0の圧勝に終わっており、ユナイテッドリーグ戦のアウェイゲームでは直近3分け4敗と7戦未勝利で且つこの間に奪ったゴールはわずかに1ゴール。現状のチーム状況とデータを鑑みればリバプール圧倒的優位は揺るがないものだが、苦境の赤い悪魔火事場の馬鹿力に期待したいところだ。

リバプール
【4-3-3】
▽予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.

GK:アリソン
DF:アレクサンダー=アーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ツィミカス
MF:ソボスライ、遠藤航グラフェンベルフ
FW:サラー、ヌニェス、ルイス・ディアス

負傷者:DFマティプ、ロバートソン、MFチアゴ、バイチェティッチ、マク・アリスター、ジョタ
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しては長期離脱組に加え、先日のシェフィールド・ユナイテッド戦で負傷したマク・アリスターが間に合わない。

スタメンは前述の11人を予想したが、コナテに代えてジョーゴメス、遠藤に代えてカーティス・ジョーンズの起用も考えられる。また、ゴメスを右サイドバックに配置してアレクサンダー=アーノルドをアンカーに配置するオプションもなくはないはずだ。

マンチェスター・ユナイテッド
【4-3-3】
▽予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:オナナ
DF:ワン=ビサカ、ヴァラン、リンデロフ、ショー
MF:マクトミネイ、アムラバト、メイヌー
FW:ラッシュフォード、ホイルンド、ガルナチョ

負傷者:DFリサンドロ・マルティネス、マグワイア、マラシア、MFエリクセン、カゼミロ、マウント、FWマルシャ
出場停止者:MFブルーノ・フェルナンデス(1/1)

累積警告によってブルーノ・フェルナンデスが出場停止となる。負傷者に関しては長期離脱組に加え、直近のバイエルン戦で負傷したマグワイアがマルシャルと共に新たな欠場者となる。一方で、ショーとラッシュフォードがチームトレーニングに復帰しており起用可能だ。

システムに関しては[4-2-3-1]と[4-3-3]を併用しているが、トップ下適性のある選手の不在によって後者で臨む可能性が高い。スタメンは前述の11人を予想したが、各ポジションで異なるオプションを採用する可能性も高い。ディフェンスラインではエバンス、ダロト、中盤ではハンニバル、前線ではアントニーの起用も考えられるところだ。

★注目選手
リバプール:DFトレントアレクサンダー=アーノルド
Getty Images

新たな役割で存在感示す生え抜きが宿敵撃破を期す。対ユナイテッド最多得点者のサラーや前回対戦で2ゴールのヌニェスらアタッカー陣、マク・アリスター不在の中で有力な代役候補に挙がる遠藤らにも注目集まるところだが、クラブ生え抜きで唯一主力を担う25歳DFに注目したい。

昨季後半戦から偽SBの役割を担う“TAA”は、今季は開幕からその新たな役割に順応。その活躍が評価されてイングランド代表では激戦区の右サイドバックではなくセントラルMFを主戦場にプレー。さらに、クラブ内ではヘンダーソン、ミルナーら重鎮の退団でゲームキャプテンを務める機会も増え、ここでも新たな役目をこなす。

ここまでは公式戦19試合2ゴール5アシストと数字以上に攻撃の起点、チャンスメーカーとしての存在感が際立ち、先日のマンチェスター・シティ戦、フルアム戦では2試合連続勝ち点に繋がる重要なゴールも奪った。課題の守備面に関してもコナテやマティプらのサポートを受けながら、より粘り強さを増している印象だ。

今回のビッグマッチでは偽SBではなくアンカーでの起用の可能性も想定されるが、本来の起用法の場合はここ最近ユナイテッドの攻撃の軸を担うガルナチョとのマッチアップが濃厚だ。気鋭のドリブラー相手に粘り強く守備で対応しつつ、攻撃ではビルドアップの起点、正確なプレースキックでチームを勝利に導く仕事を見せたい。なお、ユナイテッドとのリーグ戦では通算10試合で3アシストを記録しているが、これまでゴールは決めていない。それだけに今回の一戦で初ゴールも意識したいところだ。

マンチェスター・ユナイテッド:MFスコット・マクトミネイ
Getty Images

飛車角抜きのチーム状況でさらなる奮起求められる生え抜きMF。B・フェルナンデスやマグワイア、マルティネス、カゼミロら多くの経験豊富な主力を欠くなかでの難所アンフィールドでのアウェイゲームは、ユナイテッドにとって非常に厳しい戦いが想定される。そのなかで互いに主力を欠いての攻防となる中盤での争いは勝敗のカギを握る重要なポイントのひとつとなる。

とりわけ、注目の若手メイヌー、新戦力アムラバトと共にスタメン起用が有力視されるマクトミネイには中盤を牽引するリーダーとしての振る舞いが求められるところ。

開幕前には放出候補に挙がりながらも、ポジション争いのライバルの相次ぐ離脱によってチャンスを得た27歳の偉丈夫はゴールを量産するスコットランド代表での良いフィーリングをクラブにも持ち込み、キャリアハイにして現チーム得点王のリーグ戦5ゴールを記録。繋ぎの精度や判断面に引き続き課題を残すも、より前目なポジションでゴール前に入っていく動きで自身の長所を良い形で表現できている。

今回の一戦では中盤のフィルター役の一角として身体を張りつつ、状況に応じて遠藤やアレクサンダー=アーノルドら中盤の底に入る選手に圧力をかけてショートカウンターの担い手となりたい。