チョコレートの原料であるカカオに魅せられ、栽培農家の労働環境向上やカカオのビジネスモデル構築に奔走する日本人を追ったドキュメンタリー映画『巡る、カカオ 〜神のフルーツに魅せられた日本人〜』(2024年1月12日公開)。本作の舞台挨拶が12月14日アキバシアターにて開催され、和田萌監督とナレーションを務める堀ちえみが登壇した。

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コロンビア先住民の末裔であるカカオの起源となったアルアコ族が抱える課題を、現地に入り、ともに課題解決に取り組み、カカオ産業のビジネスモデル構築に奮闘するカカオハンターの小方真弓。アフリカガーナに単身渡航し、現地のカカオ産業を変えるため農家だけでなく政府にも働きかけ、革命を起こそうと奮闘しているMpraeso合同会社CEOの田口愛。カカオに魅了された2人を中心に、様々な人々がカカオの魅力や課題を語っていく。監督を務める和田は、ドキュメンタリー映画『であること』(20)や、NHKや毎日放送情熱大陸」などを手掛け、放送文化基金賞やギャラクシー賞を受賞してきた逸材だ。

和田監督が「この映画は本当にカカオとかチョコレートが好きな人が多く関わってくださって。それで堀さんにお願いしようということになったんです。カカオ愛に満ちている方で、本当にカカオがお好きなんだなと思いました」と語るほどに、堀は大のチョコレート好きだという。

映画でナレーションを担当するのは、本作が初だったという堀は「舌の病気をして、手術をしたあとで、こういうナレーションのお話が私に来るなんて。なんて光栄でラッキーなのかと。カカオが導いてくれた気がします」と感激の表情を見せた。

堀にとってカカオは元気の源だという。「毎日食べています。やはり元気になれる気がするんですよね。だから病気をした時も、『早く良くなって、チョコレートを食べるんだ』と。そう思って頑張っていました」と語るなど、心の支えになっていたという。

本作の劇中では、カカオ農家の人たちが手間暇かけてカカオを育てている様子などが映しだされているが、堀は「もっとカカオを味わって。大切に食べないといけないなと思いました。そこにあることが当たり前だと思っていましたけど、こんなふうに私の元にやってきたのかと思ったら愛おしくて。これからはそういう想いでチョコレートを食べます」と語った。

続けて、堀はカカオの魅力について「疲れた時や、元気を出したい時に癒やされますよね。それと頭の回転が良くなる気がして。ついつい食べ過ぎちゃうんです。子どもたちから『食べ過ぎよ、お母さん』と叱られます」と振り返り、さらに「チョコレートを食べて元気になれるなと思ってからは、ずっと家に常備してあります。CMもやってましたからね」と笑ってみせた。

特にアイドル歌手として活動していたころは、チョコレートをプレゼントとしてもらうことも多かったという。「普通は男性がいただくものだと思うんですが。当時は“友チョコ”がない時代なのに、女性からもたくさんチョコレートをいただいて、律儀に食べていました」というアイドル時代のエピソードに、会場の観客も熱心に耳を傾けていた。

一方、ガーナコロンビアなど、カカオに関わる人たちを取材するために世界中を飛び回ったという和田監督。「こんなところカカオがあるのかと思いました。普段なら絶対に行かないようなジャングルをどんどん分け入っていくんです。本当にカカオに導かれて、世界中を飛び回った感じがします」と本作の撮影を振り返った。

また、カカオの魅力について「発酵食品ということですね。なんで日本人の私がカカオの映画を撮るのかと考えていたんですけど、発酵ということにヒントがあるのかなと。発酵というのが、日本人にも近いものであるというのがありますし、カカオというのは、フルーツであり、発酵であるというところがおもしろいですよね」と明かした。

イベントも終盤となり、最後のメッセージを求められた堀は「とにかくカカオのことが世界一よく分かる映画だと思いますので、これを観て、チョコを食べて一杯、というのもいいんじゃないでしょうか」と語ると、和田監督も「タイトルにも込めたんですが、『巡るカカオ』ということで、ガーナコロンビア、日本と回ったんですが、現在、過去と、いろいろと時間を巡る映画になりました。カカオを通して皆さんにも旅を体験していただけたらうれしいなと思います」と観客に呼びかけた。

文/山崎伸子

『巡る、カカオ 〜神のフルーツに魅せられた日本人〜』舞台挨拶が開催