山田は代表歴も長く、今春のWBCでもチームを支えた(C)Getty Images

 BS5局共同企画「テレビが伝える“プロ野球”~あの歴史的瞬間、そして、未来へ~」の第2弾「どん底を味わったサムライたち」(後6・00)が12月17日BSフジで放送された。その中ではヤクルトから侍ジャパンに選出された山田哲人内野手村上宗隆内野手中村悠平捕手、高橋奎二投手のシーズン通しての苦労や悩みがクローズアップされた。

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 山田は今シーズンは4月に下半身のコンディション不良で登録抹消、7月の球宴前にも再び抹消とコンディション維持にも苦しんだ。今季は105試合に出場し、打率・231、14本塁打、40打点。チームも12連敗を喫する時期もあるなど、低迷を食い止められず、「チームとしても苦しかったし、個人としてもずっともがいていたシーズンでした」とキャプテンとしての責任感も踏まえ、振り返った。

 また3月に出場したWBCでは侍ジャパンの一員として世界一奪還に貢献。3大会ぶりの世界一ということで大きく注目を集めたが、山田は「WBC…、出たくない」と番組インタビュー中で思わず本音が漏れる場面も。理由としては「しんどい」「もうけっこうキツイ」と代表歴も約10年に及ぶ長さとあって、代表と兼務することによる負担を赤裸々に語ったシーンもあった。

 シーズンに入っても調子を取り戻せず、チームも低迷。自身がキャプテンとして先頭に立ってチームを引っ張っていきたい気持ちはありながら、パフォーマンスを示せず、もがく日々が続いた。「自分のせいで負けた試合がたくさんあった」「身も心も安定していなかった」とWBCイヤーを振り返った。

 番組内では昨年、令和の三冠王に輝いたヤクルトの主砲・村上にもインタビューを敢行。昨年日本人選手として王貞治氏を超え56号のシーズン最多本塁打を放つも、今季は山田と同じく、打撃不振の時期も長く、苦しいシーズンとなった。背景にはやはりWBCの経験も影響を与えたようだ。

 村上は元々、トレーニングを重視し打撃に生かしていたというが、侍ジャパン大谷翔平吉田正尚ダルビッシュ有など名だたるメジャーリーガーが取り組んでいるトレーニング法に刺激を受け、多様なトレーニングを取り入れたところ、逆に「何が正解か分からなくなってしまった」と迷いが生じてしまったという。若くして三冠王に輝き、さらに上のレベルを目指すにあたって、ぶち当たった壁でもあった。

 ほかにも昨年キャリアハイとなる8勝をマークした左腕、高橋もWBCの戦い後、メジャーNPBの公式球の違いになかなかフィットできず苦しんだことなども明かされるなど、華々しい世界一の陰で少なからず選手が葛藤を抱えていたことが伝わる上質なドキュメンタリー番組となった。

 今後のWBCをめぐっては開催時期をめぐって、7月の球宴期間中を利用した夏開催案もプランの一つとして浮上していると米報道もされている。理由としては、シーズン前の3月開催には選手の故障リスクも伴うことで負担軽減の意味合いが強いという。

 侍ジャパンの世界一奪還には日本の野球ファンも熱狂、多くのムーブメントを生み出した。一方、そこには少なからず各選手の負担、苦悩もあったことが分かってきた。この経験をいかに次に生かすかも今後の侍ジャパンの活動には大事なポイントとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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