阿部寛主演のドラマ25「すべて忘れてしまうから」(毎週金曜深夜0:52-1:23、テレ東系/ディズニープラスで配信中)の最終回となる第10話「ずっと友達でいてね」が、12月15日に放送された。恋人”F”(尾野真千子)と別れて1年後の夏、エッセイが単行本になろうとしている中、“M”(阿部)の周囲も変わろうとしていた。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】最終回のエンディング曲「Junior Sweet」を担当したChara

■ミステリアスでビタースイートなラブストーリー

同作は、作家・燃え殻の同名エッセーを原作に、岨手由貴子、沖田修一、大江崇允が監督・脚本を手掛けた話題作。ハロウィーンの夜、5年間付き合ってきた恋人が失踪した。ミステリー作家“M”は、姿を消した恋人を探し始めるが、人々が語る恋人は“M”の知らない顔を持っており、やがて驚きの秘密が明らかになっていく。

阿部寛尾野真千子Chara、渡辺大知、宮藤官九郎らが集結

流されるままに生きる、そこそこ売れっ子の主人公・ミステリー作家“M”を演じるのは阿部。物語の大きな鍵を握る“M”の恋人・“F”役を尾野、“M”の行きつけのBar「灯台」のオーナーカオル役をChara、“M”の担当編集者・澤田役を渡辺大知、Bar「灯台」で働く料理人・フクオ役を宮藤官九郎が演じる。

また、同じくバーで働くアルバイト・ミト役に鳴海唯、目的を抱えながらBar「灯台」に通う青年・泉役に青木柚、Bar「灯台」の常連客役に岩谷健司、嶺豪一、ぼくもとさきこ、ニクまろ、“M”の行きつけの喫茶「マーメイド」のオーナー・マンバ役に見栄晴、血眼で“F”を探す“F”の姉役に酒井美紀、“F”の失踪後“M”の前に現れる謎の美女役に大島優子、“F”の祖母役に草笛光子ら、個性に満ちた豪華キャストが集結。

■澤田「僕、9月で辞めるんです」

彼女と別れて1年後の夏、“M”は原稿の締め切りに追われ、ビジネスホテルで原稿を書いていた。連載しているエッセイが単行本になることも決まり、そのエッセイが好評で、過去の小説の重版も決まった。

そんな時、友人・大関の訃報が届き、葬儀に参列。知り合った当時、彼は下っ端のADで、非常階段に寝袋を敷いて生活をしていたが、最後はプロデューサーに。“M”は彼と30年来の付き合いがあるが、最近は会う機会があまりなかった。しかし、先週見舞いに行き、その後急変したため、大関と話した最後の人間となった。

喫茶「マーメイド」で単行本化に向けての打ち合わせを編集の澤田と行った時、「僕、9月で辞めるんです」と言われ、驚く“M”。どうやら書評をしているTikTokerから声をかけられ、所属しているTikTokerのマネージャーになるらしい。

■澤田が決めた単行本のタイトルも変更に

初めての担当連載が単行本になる前に辞めてしまうことに驚くが、“M”を売り出したことを評価されての転職ということで、「お役に立てたのなら」と少しホッとした様子。

後任の編集者を連れてきていて紹介されるが、コーヒーを飲まず、タバコの煙を嫌い、喫茶店ではなくコワーキングスペースでの執筆を勧めるなど、編集者としてのタイプも澤田と違っているのが初対面でも伝わってきた。“M”が苦手そうなタイプだということも。

打ち合わせを進めると、それがハッキリと分かってきて、澤田が決めた単行本のタイトルも変えることになったりして“M”は居心地が悪そう。

編集とデザイナーとの打ち合わせの後、タバコを吸っていると、非常階段で寝泊まりしている頃の若かりし日の姿の大関が声を掛けてきた。屋上に移動して会話を弾ませる“M”。居心地の悪い打ち合わせから少し頭を切り替えることができたのではないだろうか。

■すべて忘れてしまうから書いておいて良かった

連載を始めてから2年が経たないうちに、周りの人たちがどんどん変わっていったのに気づいた”M”。エッセイを読み返してみると、忘れてしまいそうな出来事ばかりが記されていた。

「すべて忘れてしまうから書いておいて良かった」と思う“M”。結局、単行本化されるエッセイのタイトルは「すべて忘れてしまうから」に決まった。

テニスを楽しむ“F"、韓国語を勉強するミト、TikTokerのマネージャーとして働く澤田、泉と仲良くカウンターでラーメンを食べるフクオ。それぞれの今が映され、エンディングを迎えた。

毎回、エンディング曲は違うアーティストが担当してきたが最終回はBar「灯台」のオーナーカオルを演じたCharaによる「Junior Sweet」。

ゆるやかに流れる時間の中で、起きそうになかったことが突然起こり急激な変化があったとして、それに対してどう振る舞うのか、立ち回るのかを考えるのが重要だと気付かされる。独特な雰囲気の作品だが、共感できる場面も多く、ミステリー要素もあり、見始めるとハマってしまうタイプのドラマだった。繰り返し見てみると新たな発見がありそうだ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

ミステリー小説家”M”の物語がついに完結/(C)テレビ東京/(C)2022 Disney and related entities