日本の警察でも“スーパーパトカー”と呼べるような車種を保有する警察もありますが、ただ世界を見渡すと、同じように個性的なスポーツパトカーが数多く存在します。そこで、中でも個性的といえるモデルを集めてみました。

やっぱり外せない ドバイ警察のパトカー

栃木県警察本部は2023年12月11日(月)、宇都宮市の中心部にあるバンバ市民広場、通称「バンバひろば」において、年末パトロール出発式(宮ポリス出発式)を実施しました。同県警は珍しいスポーツモデルのパトカーを多く保有することでも有名で、式典ではレクサス「LC500」、日産「GT-R」、同「フェアレディZ」、ホンダNSX」が勢ぞろいして話題を集めました。

これらは、唯一無二のパトカーとしてたびたび話題になりますが、世界に目を転じると、それらに勝るとも劣らないほどの「激レアスポーツパトカー」が存在します。代表的なものを5車種選んでみました。

トヨタ GRスープラ

ドバイ警察には、前出のレクサス「LC500」と同じくトヨタ自動車が開発・製造する本格スポーツカースープラ」のパトカー仕様があります。

ドバイは中東の国、アラブ首長国連邦UAE)の構成国の1つで、フェラーリベンツアストンマーチンブガッティなど、他の国ではまず見られないスーパーパトカーが多数あります。

スープラもそのうちの1つといえるかもしれません。ドバイ警察が導入したのは、いわゆる「GRスープラ」と呼ばれる5代目、DB型の2021年式になります。

ベース車は、排気量2997cc直列6気筒ツインターボ・エンジンを搭載した最上位グレード。ちなみに、ドバイ警察にはレクサスRC Fパトカーも配備されています。

イタリアにも激レアパトカー多数あり

栃木県警やドバイ警察に比肩するほど、スーパーパトカーを数多く運用しているのがイタリア警察です。つい最近もランボルギーニの高級SUV「ウルス・ペルフォアマンテ」ベースのパトカーが引き渡され、話題になったのは記憶に新しいところでしょう

ランボルギーニ ウラカン

ランボルギーニ「ウルス・ペルフォアマンテ」の前に配備され、交通取締りや臓器・血液製剤などの緊急搬送で活躍しているのが、同じくランボルギーニ製の「ウラカンLP-610-4」です。

ウラカンのパトカーは、2014年5月に1台目がローマ警察に配備され、2017年にはボローニャ警察にも引き渡されています。

ベース車となったウラカンLP-610-4は、排気量5200ccのV型10気筒自然吸気(ノンターボ)エンジンを搭載、最高速度は325km/h以上だとか。臓器搬送で数百kmの距離を高速疾走する姿は、たびたびSNSなどで披露されており、イタリア国民の命を救うために日々奔走している模様です。

ちなみに、このウラカンLP-610-4パトカーが導入される前は、同種の任務に同じくランボルギーニ製の「ガヤルド」が用いられていましたが、ウラカンLP-610-4に更新される形で退役しています。

なお、ガヤルドベースのパトカーロンドン警視庁にもありました。2005年に「ランボルギーニ ロンドン」が貸与する形で引き渡され、交通安全の啓蒙活動などに用いられたようです。ただ、その後返却された模様で、現在は運用されていません。

ロータス エヴォーラ

同じイタリアながら、国家憲兵隊「カラビニエリ」に配備されているのが、ロータス「エヴォーラ」のパトカーです。

国家憲兵隊は準軍隊といえる組織で「軍警察」と呼ばれたりもします。警察にも軍隊にも属さない独立組織で、刑事警察活動よりも主に公安活動に重点を置いているのが特徴です。

同車はロータス社の寄贈によるもので、2011年に2台引き渡されています。ベース車はハイパフォーマンス仕様の「エヴォーラS」で、エンジンは排気量3456ccのV型6気筒自然吸気(スーパーチャージャー付き)を搭載、最高速度は261km/hといわれています。

主な使い道は、前出のイタリア警察が運用するランボルギーニ「ウラカン」と同様で、移植用臓器や血液製剤などの緊急運搬です。

フェラーリパトカーはドバイ以外にも

寄贈ではない、ちょっと変わった形で導入されたスーパーパトカーも存在します。

フェラーリ F142-458イタリア

中欧のチェコ警察に配備されているのが、フェラーリ458ベースのパトカーです。

ただ、このパトカーの出自はなかなか変わっています。というのも、このクルマ、犯罪者から押収したものなのだとか。財産差し押さえを行った際に、押収品のなかにあったクルマを警察車両に転用したとのことで、押収時の走行距離は約2000km、カラーリングは赤だったそうです。

ベース車は2011年式のフェラーリF142-458イタリア、排気量4500ccのV型8気筒の自然吸気(ノンターボ)エンジンを搭載し、最高出力は566馬力、最高速度は326km/hを発揮します。

チェコ警察が、フェラーリ458ベースのパトカーを公開したのは2022年7月で、主に高速道路での交通取締に用いるほか、盗難車の捜索や警察活動のPRイベントなどにも使っていくと説明していました。

ちなみに栃木県警のレクサス「LC500」は排気量4968ccのV型8気筒の自然吸気(ノンターボ)と、負けず劣らずのエンジンを搭載しています。

ポルシェ 911

最後に取り上げるのは、オーストリア連邦警察に配備されているポルシェ911です。

オーストリア警察が同車を採用したのは2017年のこと。交通取締用のパトカーとして導入したとのことで、同国の高速道路で用いられているといいます。

なお、隣国のドイツでもポルシェ911ベースのパトカーを運用していました

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今回取り上げた車両はあくまでも一部です。世界には他にもスポーツカーベースの警察車両が多々あります。ひょっとしたら、新たな寄贈などで一層見栄えのする「スーパーパトカー」が誕生するかもしれません。

栃木県警の日産GT-Rパトカー(乗りものニュース編集部撮影)。