AFCは19日、AFCアジアカップカタール2023で半自動オフサイドテクノロジーSAOT)を導入することが決定したと発表した。なお、AFCの大会でSAOTが導入されるのは初めてのこととなるようだ。

 半自動オフサイドテクノロジーとは、スタジアムに設置された12台の専用カメラで、ボールと各選手の29カ所のポイント(手や足など)を1秒間に50回追跡し、ボールと各選手のピッチ上における正確な位置を算出するテクノロジー。また、それに加え、ボール内部に設置されたセンサーが1秒間に500回データを送信することによって、正確なキックポイント(蹴った瞬間と位置)を検知することが可能になるという。

 これらのデータを組み合わせた上で、人工知能を用い、選手がオフサイドポジションでボールを受けた場合には、ビデオオペレーションルーム内にいるビデオマッチオフィシャル(映像担当の審判員)にオフサイド通知が届く仕組みとなっているようだ。ビデオマッチオフィシャルには、受け取った通知をピッチ上の審判員に伝達する前に、自動的に選択されたキックポイント及びオフサイドラインを確認するという作業が必要となるものの、この作業は数秒以内で完了することが可能だとされている。よってこれまでよりも早くオフサイドの判定を下すことが可能になるようだ。

 なお、ビデオマッチオフィシャル及びピッチ上の審判員がデータを確認した後、判定に使用されたものと同じ位置データをもとに、各選手の手足の位置を詳細に示す3Dアニメーションが生成されるとのこと。この3Dアニメーションは、スタジアム内のスクリーンに映し出されるほか、放送局にも提供され、スタジアムにいない観客も画面越しに見ることが可能なようだ。

 この半自動オフサイドテクノロジーについて、AFCの会長を務めるシャイク・サルマン・ビン・エブラヒム・アル・ハリファ氏は、同テクノロジーへの期待を次のように語っている。

「アジアのマッチオフィシャルは世界でもトップクラスであり、半自動オフサイドテクノロジーの画期的なデビューは、より高い基準へと引き上げてくれるだろう。AFCは、世界のレフェリング界をリードし続けることを決意しており、ビデオ・アシスタント・レフェリー・システムの完全導入とともに、最新の技術革新を取り入れることで、選手、チーム、そして記録的なマッチオフィシャルが輝く究極の舞台を提供するというAFCのビジョンをより強固なものにしている」

[写真]=Getty Images