国産車では、「寒冷地で屋外に駐車するときにはワイパーを立てておいてください」と取扱説明書に記載されていることもあります。なぜクルマのワイパーは立てた置いた方がよいのでしょうか。

なぜワイパーを立てる必要があるのか

冬場に雪が降り始めると、ワイパーを立てて駐車している様子が映し出されることがあります。国産車では、「寒冷地で屋外に駐車するときにはワイパーを立てておいてください」と取扱説明書に記載されている場合も。雪の予報などがある場合、なぜクルマのワイパーは立てたままの方がよいのでしょうか。

これには、ワイパーがフロントガラスに張り付いたまま凍結することを防ぐという目的があります。寒さにより、ワイパーゴムが凍ってしまうおそれがあり、フロントガラスに接触している状態だと、凍結して全く動かなくなってしまいます。この状態で作動させるとワイパーゴムが切れてしまったり、ワイパーを動かすモーターが故障する原因にもなったりします。

しかし、欧州では必ずしもそうではないようで、ワイパーを簡単に立てられない車種もあります。

コンシールドワイパーといって、ワイパーがボンネットの一部に隠れるように格納されているため、ワイパーを立てようとするとボンネットに当たってしまうのです。これは前方視界を妨げず、クルマの見た目もすっきりするほか、高速走行時におけるワイパーの浮きや空気抵抗を低減させる効果があるとされ、輸入車では特に多いものです。

もちろん、降車前に中から操作し、ワイパーを「メンテナンス」の位置で止めた状態であれば立てることは可能です。しかしながらそもそも、ヨーロッパでは日本人ほどこまめにワイパーを立てることをしないのだとか。

ワイパーのメーカー関係者によると、ヨーロッパ北部ですらワイパーを立てる・立てないは地域によって異なるといいます。そうした違いの背景に雪質の違いがあるとのこと。水分が多い日本の雪は、重く凍りやすいのですが、ヨーロッパの雪はサラサラしていて凍りにくいのだそうです。

ちなみに、2023年12月現在、北日本や日本海側では、短期間で大量に積もるドカ雪に見舞われています。暖冬によりドカ雪が発生しやすくなっているといわれており、2024年に入ってもその傾向が続くと予想されています。

雪が降ったのでワイパーを立てた状態(画像:写真AC)。