山田太一作の長編小説を原作とするアンドリュー・ヘイ監督作『異人たち』が、2024年4月19日より劇場公開されることが決定。心震わす予告映像が解禁された。

【動画】『荒野にて』『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ監督最新作『異人たち』予告編

 本作は、日本を代表する名脚本家・作家の山田太一氏が1987年に出版し、第1回山本周五郎賞を受賞した長編小説『異人たちとの夏』(新潮社刊)を原作とする愛と喪失の物語。『荒野にて』『さざなみ』など数々の賞に輝き、世界で絶賛された作品を送り続ける監督・脚本家アンドリュー・ヘイの手により再映画化された。

 11月29日に惜しくも逝去した山田氏の原作による本作は、去る12月3日に発表された英国インディペンデント映画賞でも作品賞・監督賞・脚本賞・助演男優賞(ポール・メスカル)・撮影賞・編集賞・音楽監修賞等、主要部門を独占する最多7冠に輝くなど、早くも映画賞レースで圧倒的な存在感を示している。また、現地時間12月11日に発表された第81回ゴールデングローブ賞においても、主演男優賞(ドラマ部門)アンドリュー・スコットがノミネートされるなど、本年度の賞レースで注目を集めている。

 夜になると人の気配が遠のく、ロンドンのタワーマンションに1人で暮らす脚本家・アダム(アンドリュー・スコット)。12歳の頃に死別した両親の思い出をもとに脚本を執筆しており、物語と向き合う中でミステリアスな隣人・ハリー(ポール・メスカル)と出会う。互いの孤独を感じ取り、次第に距離が近づいていく2人…。

 さらにある日、アダムが幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界したはずの父と母が当時のままの姿で住んでいた。アダムは少年時代の心の隙間を埋めるかのように、両親の元へ足を運んでは、二度と取り戻せないと思っていた心満たされる一時を過ごしていく。

 死別した両親との交流、ミステリアスな隣人との恋の行方を描くこの幻想譚(たん)は、愛と孤独、喪失と再生、さらにはセクシュアリティーといった根源的なテーマを探求し、観客それぞれの心の奥底にある記憶や郷愁を呼び覚ます。また、琥珀色の光がきらめく35mmフィルムの映像美は、観る者をリアルとファンタジーの狭間へと誘い、幽玄にして心を、そして魂を震わす映画体験をもたらす。

 キャストには、『Fleabag フリーバッグ』のアンドリュー・スコット、『aftersun/アフターサン』で米アカデミー賞男優賞にノミネートされたポール・メスカル、『リトルダンサー』のジェイミー・ベル、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』のクレア・フォイという実力派が集結。繊細かつリアリティにあふれ、胸を打つ演技を披露する名優たちへの賛辞の声が止まない本作。彼らが魅せる表情の一つひとつにも心を奪われる映像が到着した。

 原作小説は、1988年に大林宣彦監督の手によって、風間杜夫、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子の出演で映画化、大ヒットを記録した。2003年には英訳され海外でも刊行されている。今作は、山田氏のオリジナリティあふれたストーリーに、ヘイ監督ならではの感性あふれる脚色と演出が加えられ、時代を超えて多くの人々の心に残り続ける作品に仕上がった。

 映画『異人たち』は、2024年4月19日より劇場公開。

映画『異人たち』場面写真 (C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.