NECと三和コンピュータ12月20日、倉敷アイビースクエアが運営する「倉敷アイビースクエア」に、需要や供給の状況に応じて適切な客室価格をAIが算出することで業務効率化や収益最大化に貢献する「ホテル向けダイナミックプライシングサービス」を提供すると発表した。倉敷アイビースクエアは、11月からの同サービスの実証を経て、2024年2月から本格運用を開始する。

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 倉敷アイビースクエアは、明治時代の倉敷紡績所(現クラボウ)発祥工場の外観や立木を可能な限り保存し再利用して生まれたホテル・文化施設をあわせもつ複合観光施設。施設内には、国の「近代化産業遺産」に認定された創業時の紡績工場の建物群があり、国内だけでなく海外からも多くの観光客が訪れている。

 倉敷アイビースクエアでは、以前からダイナミックプライシングに基づく価格設定をしていたが、ベテランスタッフの経験と勘を頼りに手作業で行っていた。しかし、昨今の激しい時世の変化にともない、繁忙期や閑散期の推測の難しさや、客室価格を算出する手間、担当するスタッフが限られることが課題となっていた。こうしたなか、三和コンピュータの提案に基づき、ベテランスタッフの経験と勘をAIが支援することで、価格設定の業務負荷を軽減し、閑散期のリスクを抑え繁忙期に向けた積極的な投資につなげるため、NECダイナミックプラスが共同開発したホテル向けダイナミックプライシングサービスを導入した。

 同サービスでは、NECのホテル基幹業務システム「NEHOPS」に蓄積した過去の販売実績や現在の予約状況に加え、時期や競合他社の客室価格、周辺のイベント情報などのデータをAIが分析し、適切な客室価格を自動算出する。これにより、個人の経験・推察に頼らない価格設定を可能とし、業務の属人化を防止するとともに、ホテルの収益最大化に貢献する。

 AIにより自動算出された客室価格は、ホテルスタッフの確認後、NEHOPSにデータ連携・自動反映されるため、スタッフのオペレーションを簡素化し業務負荷を軽減できる。また、個別のインターフーイス開発が不要なため、短期間でのサービス導入が可能となる。

 さらに、競合他社の客室価格、周辺のイベント情報、客室稼働状況など、価格設定に反映した要素が同システム上に表示されるため、需要予測や集客施策立案、マーケティングに活用できる。

 NECは、ホテル業向けの各種ソリューションの提供を通じて安全・安心なホテル運営や収益最大化を支援してきた。また、三和コンピュータは長年にわたり倉敷アイビースクエアのNEHOPSをはじめとして、会計・給与・勤怠システムといったICTトータルソリューションを提供・サポートしており、同サービスの導入も担当した。両社は、今回の提供実績を生かし、今後もホテル業界でのAI活用を積極的に推進していく。

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