NHKが大晦日の「第74回紅白歌合戦」に出演するゲスト審査員を12月20日発表。毎年スポーツ界からもリストアップされるが、野球界からは1人も選ばなかった。今年はWBCの世界一奪取、阪神タイガースの38年ぶり日本一と「野球イヤー」だったはずだが…。

 NHKの山名啓雄メディア総局長はこの日の会見で「今年1年を象徴する方を選ばさせていただいた」と胸を張っていたが、リストの中に俳優・堺雅人の名前があり、山名氏は「今年主演を務めたドラマ『VIVANT』(TBS)が大きな話題になったから」などと苦しい弁明をする場面もあった。本来であれば堺の代わりに年末も多くのテレビ番組やイベントに引っ張りだこのWBC栗山英樹監督か阪神・岡田彰布監督が入るのが妥当ではないか。

 昨年はサッカーW杯カタール大会での快進撃で、日本代表・森保一監督にも大会後に紅白審査員のオファーがあった。森保監督は当初「私には無理です。オファーがきてもお断りするつもり」などと話していたが、結局はNHKの熱意にほだされて出演している。スポーツ界からはこの年にプロ野球で史上最年少三冠王になったヤクルト村上宗隆や、プロスケーターに転向した羽生結弦と錚々たるメンバーだった。

 ちなみに38年前に阪神が日本一になった時には、もちろん当時指揮官だった吉田義男監督が審査員として出演している。

「TBSが大晦日午後5時から6時間にわたってWBCの特番を生放送する予定で、紅白と完全にかぶっている。そこではイチロー氏やダルビッシュ有のインタビューなどもあるそうで、顔ぶれも豪華。栗山監督の出演予定は現時点でないようですが、NHKにとってはキャスティングで完全に後手に回った格好で、とにかく野球関連の『裏かぶり』を避けたんじゃないですか?」(芸能担当記者)

 今年の紅白では、視聴率獲得のために常連だった旧ジャニーズ事務所のメンバーが一切出演しない。そして審査員の席には栗山監督も阪神・岡田彰布監督もいない。毎年、国民から徴収した受信料で数億円の制作費(NHKは非公表)をかけて放送されるが、その感覚は視聴者と離れるばかりではないか。

(小田龍司)

アサ芸プラス