その時代にそぐわない技術が使用されたオーパーツや、人間とは思えない構造をした物体が発見されると、エイリアン(地球外生命体)と関連付けられることがある。
それらは私たちの心をときめかすもので、今だ正体不明のものもあるが、悲しいことに中には偽造されたものが存在する。
奇妙な球体から古代の飛行機など、ここでは明らかに偽物であるとわかった5つの人工物を見ていくことにしよう。
【画像】 エイリアン関与が疑われたが偽物だと発覚した5つの人工物
2023年9月、米国防総省がUFO(UAP)の機密解除文書や動画を一般公開した。そこには非常に興味深い映像が投稿されていたが、NASAの調査によると、UAPが地球外から来た証拠は得られず、正体は不明のままだという。
だが、謎めいた物体や遺物がエイリアン(地球外生命体)や地球外文明と関連付けられることは最近に始まったことではない。
ここにあげたものは偽物と判明した5つの人工物である。
1. コソの点火プラグ
1961年の冬の朝、カリフォルニア東部にある石材店のオーナー3人が、中空に水晶ができるジオート(晶洞石)を探しに出かけた。
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収穫したものを割ってみると、説明のつかないものが出てきた。
ジオートの中心には輝く水晶が並んでいるものとばかり思っていたら、金属の軸を取り囲む白い磁器のような丸いものがあったのだ。
一見、ジオード(晶洞石)のように見えるが、白い磁器と金属のようなその中心部が、エイリアン由来のものだという噂に火をつけた/ image credit:Pierre Stromberg / WIKI commons
3人は困惑した。この物体は人工物のように見えたが、発見者のひとりが地質学者と話した結果、周囲の岩が形成されるには50万年かかると言われたと主張した。
しかし、懐疑団体「パシフィック・ノースウェスト・スケプティックス」のピエール・ストロンバーグ氏とルイジアナ州立大学の地質学者ポール・ハインリッヒ氏による分析では、「最初の物理的な検分については、ほとんど知られていない」という。
この謎の物体の正体について、数十年、さまざまな憶測が飛び交ったが、アメリカの超オタクな点火プラグコレクター団体の協力によって解決を得た。
この物体の正体は、20世紀の採掘作業で使われていた、1920年代のチャンピオン社製点火プラグだったのだ。
1920年代のチャンピオン社製点火プラグ / image credit:Cristellaria / WIKI commons
それでも、エイリアン絡みのものの証拠だとして、相変わらずオーパーツリストの常連になっている。
2. クラークスドルプの謎の球体「オットースダル」
南アフリカ、クラークスドルプ郊外の30億年前の堆積物層からいくつかの謎の球体が発見され「オットースダル」と呼ばれた。
1979年のナショナル・エンクワイアラー誌の記事によると、「まるで、鋳型から作られたかのように完璧な球体に成形されている」と説明されていて、以来創造論者や古代宇宙飛行士説を支持する人たちは、これらが高度な文明が作った人工物だと解釈してきた。
しかし、オットースダルの球体をよくよく調べると、いろいろな人間が「完全な球体」だと言っているのは、ただの想像だということがわかるという。
実際には、さまざまな形やサイズがあり、ほとんどが完璧な球体どころか非対称で、炭素塩が固まったただの古い塊なのだ。
オットースダルの球体 / image credit:public domain/wikimedia
周囲にぐるりと溝がついているものもあるが、ハインリッヒ氏によると、この溝はこれが形成されたときの堆積層のせいだという。
細かい粒子の層では、溝はよりゆっくりと成長し、まるでエッチングされたリングのように見えるものが残る。同じ例は、ユタ州南部で見つかった「モキマーブル」でも見られる。
もちろん、こうした事実がすべて、「土星の第8衛星で、たまたま赤道周辺に似たような隆起があるイアペトスとこれら球体がなんらかの形でつながっている」とか、「非常に微妙なバランスにあるため、現代の技術をもってしても、無重力状態で形成する必要がある」といった漠然とした主張をくつがえすものではない。
3. キンバヤの宝物
「キンバヤの宝物」とは、現在のコロンビアで紀元前500年から紀元600年頃に最盛期を迎えたキンバヤ文化の金製品コレクションだ。
小物入れやペンダント、人間や動物の小像など135点の中には、古代の飛行機、つまりエイリアンがいた証拠だと言われているものがある。
疑似科学テレビシリーズ「古代の宇宙人」のプロデューサーは、これらをトリマ(コロンビアにある火山)ジェットと呼んでいる。
鳥や昆虫や魚に似ているとも言えるが、解剖学的にはデフォルメされている。翼と垂直の尾のようなものが組み合わされていて、現代の戦闘機のように見えなくもない。
コロンブス以前の人々は、オーヴィルとウィルバー・ライト兄弟よりも何千年も前に、エイリアンの助けをかりて、空を飛んだのだろうか。
1994年、ふたりのドイツ人が、この遺物をベースにして大幅に改造した飛行機の模型を作り、縮尺と動力をうまく調製すれば十分に飛行可能であることを証明した。
「古代の宇宙人」では、「彼らはこのエイリアンの遺物とまったく同じものを作り、全体の縮尺を大きくしただけ」と主張したが、ちょっと比べただけでも、この模型はオリジナルよりも遥かに空気力学的に優れていることがわかる。
映画『古代エイリアンを暴く』の監督、クリス・ホワイトは、「キンバヤの宝物のほとんどは、やはり単純に動物を描いたものである可能性が高いと思われる。
エイリアン由来のものだと言われている問題の遺物にも、目や歯が描かれているためだ」と書いている。
キンバヤの宝物の1つ、陶器製の坐像、メトロポリタン美術館所蔵 / image credit:WIKI commons
4. クリスタルスカル
コロンブス以前にさかのぼるとされるメソアメリカの遺物。この人間の頭蓋骨のようなものは、オール水晶で作られている。
1800年代後半にあちこちで出現するようになり、博物館の学芸員たちが、このエキゾチックな珍品をこぞって手に入れようとした。
だが、正式な考古学的発掘から発見されたものではなく、しっかりした裏づけも乏しく怪しい。
大英博物館が所蔵しているクリスタル スカル / image credit:Rafał Chałgasiewicz / WIKI commons
もっとも有名なクリスタルスカルは、アンナ・ミッチェル=ヘッジスの「破滅のドクロ」だろう。
彼女はイギリスの冒険家フレデリック・アーサー・ミッチェル=ヘッジスの養女で、1924年に養父と一緒にベリーズの廃寺院を探索しているときに、ドクロを見つけたと主張している。
ドクロの起源が本当だとすると、当時にしてはあまりにも精巧に作られている事実が、アステカやマヤの文明がエイリアンの助けをかりて作ったと言われる所以になっている。
スミソニアン博物館の人類学者ジェーン・マクラーレン・ウォルシュ氏が、2007年にこのドクロを調査し、これを作るのに使われた技術は、明らかに20世紀のものだと断定した。すなわち、ダイヤモンドコーティングされた高速回転工具のことだ。
ウォルシュ氏は著作『The Man Who Invented Aztec Crystal Skulls』の中で、偽物クリスタルスカルを追跡していくうちに、ウジェーヌ・ボバンというフランス人にたどりついたとしている。
ボバンはメキシコ考古学の専門家とされていて、本物の遺物としてこれらドクロを偽装することができた人物だ。
しかし、これらドクロが最終的にどこからやってきたのかは不明であるため、今日の人間の宝石職人の使う道具と驚くほどよく似た利器を備えたエイリアンがいたのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。
メキシコ議会に提出された謎の小型ミイラ
カラパイアでもすでに取り上げているが、2023年9月23日、メキシコ議会にエイリアンを彷彿とさせる、小型のミイラ2体が提出された。
メキシコのジャーナリスト、ハイメ・モーサン氏は、およそ1000年前のものだという干からびた2体のエイリアンのミイラを披露し、2018年にペルーの辺境で発見されたものだと説明した。
ずんぐりした大きな頭、3本指の手、不気味な人型の姿は、よくあるエイリアン「グレイ」にそっくりで、いかにもそれ風だ。
エイリアンとされるものが議会の場で真剣に取り上げられるのは、驚くべきことかもしれないが、これは私たち人間が地球外生命体に対する熱い思いがあるからだろう。
これまで登場したニセモノと同様、おもだった科学界はこの一件を笑い飛ばした。
結局、モーサン氏が過去に同様の主張をしたときと同じように、これら死体は、紙と合成接着剤で皮膚が細工された、最近作られた人形であることが判明した。
正真正銘のエイリアンの遺物を見たいなら、ただひたすら待ち続けるしかないようだ。
References:5 Alleged Alien Artifacts That Were Actually Rocks, Spark Plugs, and Dolls | Discover Magazine / written by konohazuku / edited by / parumo
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