ペット保険シェアNo.1※1のアニコム損害保険株式会社(以下 当社)は、国立大学法人北海道大学との共同研究(以下 本研究)で、DNAのメチル化解析を通じてイヌの多中心型の高悪性度B細胞性リンパ腫の治療効果の予後を推定することに成功しました。本研究の成果は、米国獣医内科学会(ACVIM)が発行する『Journal of Veterinary Internal Medicine』に12月19日にオンライン公開されました。なお、本研究成果により得られた検査技術は特許出願中で、一部の動物病院向けに検査受託も開始されています。
※1:シェアは、各社の2022年の契約件数から算出。(株)富士経済発行「2023年ペット関連市場マーケティング総覧」調査

【原論文情報】

掲載誌:Journal of Veterinary Internal Medicine

論文リンク:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jvim.16931

doi: 10.1111/jvim.16931

原題:Use of genome-wide DNA methylation analysis to identify prognostic CpG site markers associated with longer survival time in dogs with multicentric high-grade B-cell lymphoma

著者名:Yong Bin Teoh, Teita Ishizaki, Yumiko Kagawa, Shoko Yokoyama, Jaroslav Jelinek, Yuki Matsumoto, Hirotaka Tomiyasu, Hajime Tsujimoto, Mitsuyoshi Takiguchi, Jumpei Yamazaki

  • 本研究の概要

多中心型の高悪性度B細胞性リンパ腫(MHGL:Multicentric High-Grade B-cell Lymphoma)はイヌにおいて最も一般的なリンパ腫で、リンパ腫の80%以上とされています。この腫瘍の標準的な治療法として、「CHOP療法」と呼ばれる多剤併用化学療法が広く用いられています。一般的にCHOP療法によって生存期間は伸びますが、再発も多く見られています。これまでの研究では、CHOP療法による予後を予測するために、WHOの臨床分類や貧血の状態の観察が行われてきましたが、いずれも決定的ではなく、予後の予測精度は低い状況にあることが課題となっていました。

そこで本研究では、DNAのメチル化に着目しました。DNAのメチル化はDNAの化学修飾の一つで、タンパク質を生産する遺伝子の発現を制御していることが知られています。細胞の様々な働きに関与するため、ヒトの医療においても大腸がんのスクリーニング検査などに使用され始めています。MHGLの治療の予後にもDNAメチル化が関与している可能性があると考え、DNAのメチル化解析により、MHGLの予後と関連するメチル化部位を調べました。本研究では次の2段階で研究を行いました。

1.候補となるメチル化部位の絞り込み

MHGL と診断され、CHOP 療法で治療された試験グループのイヌ24 頭に対し、ゲノム全体のメチル化を調べて候補となるメチル化部位を絞り込みました。ここでは、デジタル制限酵素メチル化分析 (DREAM:Digital Restriction Enzyme Analysis of Methylation) を使用したゲノム全域のDNAメチル化分析を実行し、候補となるメチル化されたCpG部位 (DMC:Differentially Methylated CpGs※) の中から1,371のCpG部位を特定しました。その後の階層的クラスタリング解析により、試験グループ内で予後が良好なグループが特定されました (生存期間中央値〔MST:Median Survival Time〕=463日vs107日、p=0.0067)。その後、FAM213A (DMC-F)および PHLPP1 (DMC-P)の遺伝子に近い DMCが、最終的な候補として選択されました。

※2:DNAのメチル化レベルが、異なる条件やグループ間で統計的に有意な差異を示すCpG部位(CとGの2塩基が連続して並ぶDNAの領域)。

2.候補となったメチル化部位とMHGLとの関連性調査

候補となった2つの DMCに対して、パイロシーケンス法を用いたイヌ100頭の検証を行った結果、メチル化レベルDMC-F

配信元企業:アニコム損害保険株式会社

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