(左から)馬場のスペシャリスト・小島友実さんとデータの鬼・津田麻莉奈さんが大予想!
(左から)馬場のスペシャリスト・小島友実さんとデータの鬼・津田麻莉奈さんが大予想!

確固たる本命馬がおらず、近年まれにみる大混戦の今年の有馬記念。そんな予想が難解な一戦をふたりの馬券名人が大予想!

【図表】有馬記念 出走予定の有力馬

■正統派の予想からサイン馬券まで!

馬場からひもとく予想で、秋はたった3頭BOXでステイヤーズSステークス)の馬単万馬券を的中させるなど、馬券が好調な小島友実(ともみ)さん。

データを駆使した予想に定評があり、この秋は仏・凱旋(がいせん)門賞の3連単4万馬券をゲットするなど、上り調子の津田麻莉奈(まりな)さん。

そんなふたりが難解な今年の有馬記念を大予想! まずはレースのポイントから。

小島 最初に馬場のお話をしますが、中山競馬場は冬場に開催が集中しているので、もともと芝が傷みやすいんです。それで、2014年に芝コースの路盤改造工事を実施したんですね。それによって芝が少し軽くなり、最近では瞬発力が問われるレースも増えてきています。

津田 確かに。

小島 なので、私が有馬記念のデータを調べるときは14年以降を分析しています。次に脚質ですが、過去9回のうち、逃げ1勝、先行5勝、中団2勝、マクリ1勝。しかも、勝ち馬9頭のうち、なんと7頭が4コーナーで4番手以内だったんです。

――へぇ~

小島 さらに前走で「4コーナーで10番手以降だった馬」は全部で35頭いて、そのうち有馬記念で馬券になったのは2着1回と3着1回だけ。つまり先行馬が断然有利ということです。

――これは有力情報!

小島 それから枠も大事で、やはり内側から真ん中がいいんですね。1~3枠が3勝、2着5回、3着2回。4~6枠が6勝、2着3回、3着4回一方、7~8枠は勝ち馬なしで、2着1回、3着3回。特に8枠は3着が1回だけと大不振です。

――あららら。

小島 ただ注意点があって、道悪(みちわる)の有馬記念はマクリが決められる馬が好走するパターンもあります。それが18年のブラストワンピースです。

津田 「外枠不利」というのは完全に同意ですね。そのほか、ローテーション的には、秋の天皇賞組が一番いいということ。それから有馬記念(2500m)は、春の宝塚記念(2200m)とリンクするんですよ。

小島 両方とも非根幹距離(400で割れない距離)のレースですからね。

津田 なので、宝塚記念で好走した馬は要注意です!

――というわけで、本題へ!

小島 私の本命はタイトルホルダーです。今回がラストランで、GⅠ3勝の実績に加え、中山の芝は4勝とコース適性もあり、しかも中山の芝2500mは去年、今年と日経賞を連覇しています。

現時点で小島さんが本命に推すタイトルホルダー。1990年のオグリキャップのように、ラストランとなる有馬記念で復活Vを飾ることはできるか!?
現時点で小島さんが本命に推すタイトルホルダー1990年オグリキャップのように、ラストランとなる有馬記念で復活Vを飾ることはできるか!?

――とはいうものの、これまで2回、有馬記念に出走して結果を出せていません。

小島 枠が大きく影響したと思います。21年は魔の8枠16番で、22年は凱旋門賞帰りに加えて7枠13番でした。今回はJC(ジャパンカツプ)からの参戦ですが、あの厳しい流れの中で5着に粘ったのは力が衰えていない証拠でしょう。

――なるほど。

小島 鞍上(あんじょう)の横山和生(かずお)騎手はレース後に、「良い頃の雰囲気がしっかり戻ってきたと感じられました」とコメント。内目の枠に入ることが希望ですが、非常に期待しています。

津田 確かに、勝った日経賞を見ても、いい走りをしているときは内目の枠からすんなり先行するパターンですね。

小島 そうなんですよ。

津田 私も枠は気になりますが、現時点ではスルーセブンシーズを本命に推します。中山では7戦して、4勝、2着1回、3着2回と実績がありますし、お父さんは有馬記念を制しているドリームジャーニー。さらに手綱を取るのは史上最多の有馬4勝を挙げている池添謙一騎手です。

津田さんの現時点での本命馬はスルーセブンシーズ。父は有馬を制しており、今回はグランプリ通算4勝の"有馬男"が手綱を握る!
津田さんの現時点での本命馬はスルーセブンシーズ。父は有馬を制しており、今回はグランプリ通算4勝の"有馬男"が手綱を握る!

小島 ザ・グランプリジョッキーですよね。

津田 また、先述したとおり宝塚記念有馬記念の結果はリンクする上に、今年の宝塚記念ではあのイクイノックスとタイム差なしの2着。凱旋門賞帰りなので、状態面は少し気になりますが、馬券的な妙味もあってここは絶好の狙い目です!

小島 実は私もスルーセブンシーズは評価していて、対抗にしました。中山の非根幹距離の重賞である中山牝馬(ひんば)Sを勝っているのは大きなプラス材料です。前走の凱旋門賞はエンジンがかかってからの伸びがすごかった!

津田 うんうん。

小島 管理する尾関知人(ともひと調教師のコメントを読むと、いい意味で海外遠征前と変わりなくきている」とのこと。唯一、気がかりなのは、前走の4コーナーの位置が13番手だったことくらいですね。

小島友実
小島友実

――なるほど。津田さんの対抗はどうでしょう。

津田 スターズオンアースです。JC組は過去10年で2勝、2着2回、3着4回となかなか結果を出しています。それに加えて、前走は内容のいい競馬で、イクイノックスリバティアイランドに続く3着。この馬がすごいのは、どんな条件でも、どんな競馬になっても必ず馬券圏内に来ることです。

小島 ホントにそう。

津田 枠順も馬場状態もわからない現時点でも、間違いなく3着以内に来るだろうと確信しています。ただ、確実に人気になるじゃないですか。

小島 今回はルメール騎手とのコンビなので、1番人気か2番人気でしょうね。

津田 とはいえ、軸にしやすいので対抗にしました。

津田麻莉奈
津田麻莉奈

小島 私は今のところスターズオンアースを▲にしてますが、最終的には本命も視野に入れています。

左回りが得意な印象がありますが、右回り大阪杯は2着ですし、JCは本調子じゃなかったはずなのに、しっかり3着を確保。高柳瑞樹調教師「今回は上積みがありそうです」とおっしゃっているように、前走以上の状態で出走できそうなのも好材料です。

津田 データ的にも、中山コースに実績があって、GⅠで好走歴がある馬は、有馬記念で結果を残してますからね。

小島 あとは人気との兼ね合いかな。

津田 私の▲はタスティエーラ有馬記念を出走馬の年齢別で見ると、3歳馬は過去10年で4勝、2着3回、3着2回と好成績です。

――迷ったときの3歳馬!

津田 そんな3歳馬の中でも特に菊花賞組が強くて、2勝、2着2回、3着2回と6頭が馬券に絡んでいます。データ的にも今年の菊花賞2着である同馬は推せますし、弥生賞を勝っているので中山の実績もあります。私はタスティエーラの本命もありかなって迷ったくらい。

――ほかに気になる馬は?

小島 私はジャスティンパレスですね。路盤改造工事以降の中山の馬場で、瞬発力勝負の競馬になったときに来るのがこういう馬なんですよ。ディープインパクト産駒(さんく)で、速い上がりの脚が使える馬。

――しかし、去年の有馬記念は7着でした。

小島 管理する杉山晴紀調教師が、「菊花賞のタフな競馬の後だったから」とコメントされているように、それも影響したようです。4歳になって成長も見込めますし、力をつけている印象。データ的にも秋の天皇賞組はこの9年で3勝とトップですしね。

津田 私が気になるのはドウデュースです。7着に敗れた前々走の秋の天皇賞は、長い休み明けが影響した部分もあったのかなって。前走のJCは4着と好走してますし、そのときの上位2頭が不在となれば、チャンスは十分あると思います。何よりケガから復帰する武豊騎手に手綱が戻るのが、とても楽しみですね。

――さて、世相を映し出すという有馬記念の名物といえば"サイン馬券"です。

津田 23年は侍ジャパンWBC制覇、阪神の日本一など、野球に始まり野球に終わった一年でした。阪神ファンの私としては、阪神とオリックスで日本一を争ったように関西馬のワンツーとか。それから縦じまの勝負服ということで、社台レースホーススターズオンアースソールオリエンスとか。

小島 私は大谷翔平選手馬券ですね。ドジャース移籍後も背番号エンゼルス時代と同じ17に決まったので、1枠と7枠に注目してみたいです。

津田 エンゼルスからドジャースに行くので、ユニフォームの色で3枠(赤)と4枠(青)というのも面白そう。こういう話題で盛り上がれるのも有馬記念ならではです。

小島 何はともあれ、有馬記念を取って年を越したいというのが、競馬ファンの大きな願いですよね。

* * *

決戦はクリスマスイブ12月24日! 馬券名人の予想を参考に、有馬記念JRAサンタからの臨時ボーナスをゲットしよう!

*予想は枠順発表前のものです

●津田麻莉奈(つだ・まりな)
SDN48」の元メンバーで、現在はキャスターやタレントとしても活躍。データを駆使した競馬予想に定評がある。デイリースポーツに予想コラムを連載。『VANで勝ち馬さがしてみませんか』(グリーンチャンネル)にレギュラー出演中!

●小島友実(こじま・ともみ)
2015年に『馬場のすべて教えます』(主婦の友社)を出版。馬場取材歴25年以上という競馬キャスター。『中央競馬実況中継』(ラジオNIKKEIアシスタント。『週刊競馬ブック』のコラムやJRA-VANスマホアプリの『小島友実の馬場予想』などを連載中!

取材・文/浜野きよぞう 撮影/内山一也 写真/JRA競走馬

(左から)馬場のスペシャリスト・小島友実さんとデータの鬼・津田麻莉奈さんが大予想!