クリスマスに観たいファミリー映画の決定版、『ホーム・アローン』が今夜放送の『金曜ロードショー』(日本テレビ系/毎週金曜21時)にお目見えする。クリスマスに1人、自宅に取り残されてしまったケビン少年が、おもちゃを駆使して泥棒たちを撃退するストーリーは、何度見ても胸が躍る。少しも色あせない作品だが、公開はなんと1990年。当時を知っている人も、知らない人も、キャストの今をチェックしてみよう。

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ジョー・ペシ(泥棒コンビ・ハリー役)

 留守中のマカリスター家を狙う、なんとも憎めないでこぼこ泥棒コンビの兄貴分、ハリーを演じたのは、『グッドフェローズ』(1990)でアカデミー賞助演男優賞を受賞したコワモテ俳優のジョー・ペシ。本作の後も映画で活躍していたものの、1999年に俳優引退を宣言し、意外や意外、音楽活動に主軸を移した。実は彼、映画俳優としてブレイクする前は、ラウンジ・バンドやミュージカルで活躍していたそう。ミュージックシーンにも友人が多く、2019年にリリースしたアルバム『Pesci... Still Singing』では、マルーン5のアダム・レヴィーンとデュエットした楽曲も収められている。その後、2019年に盟友スコセッシ監督の『アイリッシュマン』で映画に復帰。アカデミー賞助演男優賞にノミネートされる名演技で実力を見せつけた。80歳を迎えた今年も映画1本とテレビドラマに出演しており、まだまだ衰え知らずだ。

■ダニエル・スターン(泥棒コンビ・マーヴ役)

 泥棒コンビのお間抜けな方、ケビンから熱々のアイロン攻撃を食らうマーヴを演じたのは、彫刻家としても活動するダニエル・スターン。本作で注目を得た後、『がんばれ!ルーキー』(1993)や『シティ・スリッカーズ』シリーズ等に出演。日本でもNHKで放送されていた『素晴らしき日々』では、大人になった主人公としてナレーターを務めた。映画やテレビドラマなどに出演を重ね、最近ではAppleTV+の『フォー・オール・マンカインド』にも出演。プライベートでは、1980年に結婚した女優のロール・マットスとの間に3人の子どもがおり、長男のヘンリーカリフォルニア州選出の上院議員に。

■デヴィン・ラトレイ(バズ役)

 ケビン少年にとって悪夢のような存在の兄バズ。公開当時14歳だったデヴィン・ラトレイは、本作の後も『LAW & ORDER ロー&オーダー』や『スーパーナチュラル』といった人気ドラマにゲスト出演するなど、映画やテレビでコンスタントに活躍。本作のリブート版『ホーム・スイートホーム・アローン』(2021)では、警官になったバズ役でカメオ出演し、そっくりそのまま大人になったような姿を見せた。クリスマスの時期にはケビンに毎年からかわれていると愚痴るシーンがあるので、ファンは要チェック。しかしスピンオフの公開翌月、まさにクリスマスの時期に、恋人に対する暴行で逮捕、起訴されている。

元“ケビンの姉”はまさかの格闘家に転身していた

ヒラリーウルフ(ミーガン)

 ケビンの姉の1人で、やっぱり意地悪だけど、弟がいないことに気が付くと「きっと泣いている」と心配するミーガン。演じたヒラリーウルフは、本作OG/OBの中でも1番ユニークなキャリアチェンジをしている。続編『ホーム・アローン2』を最後に演技の世界から引退し、なんと柔道家に転身。1994年には世界ジュニア柔道選手権大会で見事優勝、1996年と2000年のオリンピックにアメリカ代表として出場するなど、輝かしい功績を挙げた。その後、オリンピックのトレーニング・センターで知り合ったレスリング選手クリス・サーバと結婚し、息子が2人誕生。2017年には子育てのカオスなリアルを綴った「The Not So Zen Mom: Parenting Strategies for Survival(禅とは程遠いママ:生き抜くための育児戦略)」を出版し、多才なところを見せた。現在は夫とともにコロラドでレスリングクラブを経営し、後進の育成に努めている。

キーラン・カルキン(フラー役)

 ケビンのいとこで、メガネちびっ子フラーを演じたのは、主人公を演じたマコーレー・カルキンの実弟キーラン・カルキン。本作の後も『花嫁のパパ』(1991)などに子役として出演を重ね、2002年の『17歳処方箋』ではゴールデン・グローブ賞にノミネート。その後もコンスタントに出演を重ね、2018年からはエミー賞総なめドラマ『メディア王 〜華麗なる一族〜』に出演。この作品でエミー賞、ゴールデン・グローブ賞、放送映画批評家協会賞候補になっている。今も当時の面影を残す童顔の彼だが、プライベートでは、元モデルのジャズ・シャルトンと2013年に結婚し、娘と息子が誕生した。

■ジョン・ハード(マカリスター家の父ピーター役)

 警官にふんして偵察に来た泥棒ハリーにジョークで応え、少しも疑うことなくセキュリティをペラペラ明かしてしまう、明るく気の良い父ピーター。演じたのは、トム・ハンクス主演の『ビッグ』(1988)や、『レナードの朝』(1990)で知られるジョン・ハード。本作の公開後も、『ランブリング・ローズ』(1991)や『ペリカン文書』(1993)など話題作に出演し、ドラマ『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』ではエミー賞候補に。しかし2017年、腰の手術の療養中に惜しくも急逝している。没後に公開された『ジェニーの記憶』(2018)では、主人公の過去に関わる重要な役どころを演じた。

キャサリンオハラ(マカリスター家の母ケイト役)

 ケビンの不在に1番に気が付き飛行機の中で絶叫した母ケイト。演じたキャサリンオハラは、『ビートルジュース』(1988)や『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)、『フランケンウィニー』(2012)など、ティム・バートン監督作品に出演。英語版思い出のマーニー』(2014)や、『アダムス・ファミリー』(2019)、『マイ・エレメント』(2023)など、アニメの吹き替えでも知られる。近年はドラマ『シッツ・クリーク』に出演し、エミー賞を受賞、クリスエヴァンスエミリー・ブラント主演の話題作『ペイン・ハスラーズ』に出演するなど、目を見張る活躍を見せている。

元“ケビン少年”には、今年嬉しいニュースが!

■マコーレー・カルキン(ケビン・マカリスター役)

 そして、年上のきょうだいと年下のいとこに挟まれて、割を食う主人公のケビンを演じたのは、言わずと知れたマコーレー・カルキン。公開当時10歳だった彼は、本作の大ヒットで世界一有名な子役としてギネスに認定され、『マイ・ガール』(1991)や『ホーム・アローン2』(1992)などに次々出演。この数年間で、一生かかっても使いきれないほど稼ぎだしたとされるも、両親との金銭トラブルなどもあり早々に俳優業を引退。ドラッグ使用や激やせが取り沙汰され、死亡説すら浮上。一時はすっかり過去の人となった。

 しかしそれも今や過去のこと! 近年少しずつインディ映画などに出演するようになり、2021年には人気ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー:2つの物語』で本格復帰。同作では、ドラッグ中毒の男娼という役どころを印象的に演じた。またプライベートでも、女優のブレンダ・ソングと婚約、男の子が2人誕生するなど嬉しいニュースが続いた。極秘結婚したとの噂もある。

 そして今月、マコーレーはポップカルチャーを盛り上げた功績が評価され、ハリウッドの殿堂入りを果たした。セレモニーにはキャサリンオハラも駆けつけ、「1度ならず2度も置いてきぼりにしてしまったフェイクママを、このハッピーな場に参加させてくれてありがとう。あなたを誇りに思います」「『ホーム・アローン』は今も昔も、これからも、世界で愛され続ける偉大な作品です。世界中の人々が、家族そろって『ホーム・アローン』を観ずには年を越せません。それはひとえにマコーレー・カルキンのおかげです」とスピーチ。マコーレーもブレンダやキャサリンに感謝をし、「最後に、クリスマススピリットにのっとり、こう締めさせてください。“メリー・クリスマス、くたばれ”」と続編『ホーム・アローン2』の名セリフを引用した。

 キャサリンの言葉にもあるように、ドキドキハラハラするとともに、家族の温かさを思い出させてくれる本作はクリスマスの時期にぴったりの作品。ケビンの奮闘を応援するとともに、家族とともに観た思い出に心を馳(は)せるのもいいかもしれない。(文:寺井多恵)

 映画『ホーム・アローン』は、12月22日21時より『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて放送。

『ホーム・アローン』場面写真  写真提供:AFLO