大名・細川家の伝来品と第16代当主・細川護立(ほそかわ もりたつ)の蒐集品を収蔵する東京・文京区の永青文庫で、2024年1月13日(土)から4月14日(日)まで、中国陶磁のコレクション展が開催される。今回のテーマは「色」。唐三彩、白磁、青磁、青花、五彩など、色彩の美しい多彩な収蔵品が一堂に会する華やかな早春展だ。

永青文庫の中国陶磁コレクションは、漢から清の時代まで、およそ2000年の歴史をたどることのできる100点以上の作品群からなる。なかでも細川護立による蒐集品は、日本において鑑賞に主眼を置いた「鑑賞陶器」として需要が高まるなかで集められた貴重な品が多いのが特徴だ。同展では主に、その護立の蒐集品から、重要文化財3点を含む各時代の優品を幅広く展示する。

大きな見どころのひとつは、唐の時代に確立して隆盛を極めた唐三彩(とうさんさい)のコレクションが一挙に展示されること。ヨーロッパ滞在時に中国の古美術品の本格的な蒐集を始めた護立は、《三彩花弁文盤》(重要文化財)など唐三彩を購入して以降、中国陶磁コレクションを充実させたという。緑、褐色、白、藍に彩られた唐三彩は、器のほか、墳墓に収める副葬品「明器(めいき)」として人物や動物をかたどったものも多く、色彩とともに造形も見どころとなっている。

色に着目することはまた、技法に着目することでもある。酸素の少ない還元焰(かんげんえん)で焼き締められた堅牢な灰陶(かいとう)や、白い素地に透明な釉薬をかけた白磁、白磁にコバルト顔料で絵付けした青花(せいか)、素地と釉薬に含まれる鉄分が青く発色した青磁、透明釉をかけた磁器に赤、緑、黄、紫、青などの上絵具で文様を描く五彩(ごさい)など、技法を知ることでその色彩美をより深く味わうことができるだろう。

また、同展では中国陶磁に魅せられたのはコレクターだけではないことに着目し、中国陶磁を自身の作品に取り込んだ近代の洋画家・梅原龍三郎や、河井寛次郎ら陶芸家たちの作品も紹介する。同館で中国陶磁展を開催するのは、2018年以来6年ぶりだとか。この機会に、色彩の豊かさや鮮やかさをはじめとしたその魅力を堪能したい。

<開催概要>
令和5年度早春展『中国陶磁の色彩 ―2000年のいろどり―』

会期:2024年1月13日(土)~4月14日(日)
会 場:永青文庫
時間:10:00~16:30 (入館は16:00まで)
休館日:月曜(2月12日は開館)、2月13日(火)
料金:一般1,000円、70歳以上800円、大高500円
公式サイト:
https://www.eiseibunko.com/

重要文化財《三彩宝相華文三足盤》 唐時代(7~8世紀) 永青文庫蔵