過去にも後払い契約はあったが、97%が後払いという大谷の契約は前代未聞だ(C)Getty Images

 今オフにエンゼルスからフリーエージェント(FA)となっていた大谷翔平ドジャースに移籍することが決まった。契約はプロスポーツ史上最高額となる10年7億ドル。しかし、97%が後払いで支払われ、2033年まで年俸200万ドル(約2億9000万円)で臨むという異例の契約だ。

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 この契約には世界中で驚きの声が上がったが、大谷ほどの金額ではないものの、過去にも「後払い契約」の事例はもちろんある。なかでも興味深いのが、引退後も後払いで契約金を受け取っている選手たちのリストだ。現地メディア『The Sports Daily』は配信した記事の中で、「後払い契約を結んでいる非現役の選手」を紹介した。

 同メディアが列挙した6人は、まさにそうそうたるメンバーだ。

 最初に名前を挙げたのはマリナーズなどでプレーし、通算630本塁打を誇るケン・グリフィーJr氏。同メディアは「2000年にシンシナティ・レッズと契約したケン・グリフィーJrは、9年総額1億1250万ドルの契約のうち5750万ドルを4%の利子で繰り延べることを選択した。彼は2010年を最後に現役引退したのにもかかわらず、2024年には359万ドルを得ることになる」と、現在も繰り越し分の契約金額を受け取っていることを明かした。

 また、レッドソックスなどで活躍し、MLB通算555本塁打、2574安打をマークしたマニー・ラミレス氏の名前も挙げた。記事内では2000年にラミレス氏がレッドソックスと8年1億6000万ドルの契約を結んだ際に、そのうちの3200万ドルを2011年から16年間にわたって繰り延べることに合意したと記載。「2018年から支払額は毎年200万ドル以上に増えている。レッドソックスラミレスへの支払いを終える頃には、このスラッガーは54歳になっているし、高額であることに変わりはないが、ラミレスの契約はボストンにとって十分な価値があった。このスラッガーは、2004年にレッドソックスに86年ぶりのワールドシリーズ制覇をもたらし、『バンビーノの呪い』を解くのに貢献したからだ」と、2004年のワールドシリーズMVPに選出されたラミレス氏の活躍から、価値のある契約だという見解を示した。

 MLBレジェンドの中には日本人選手の名前もあった。マリナーズなどで活躍し、日米4367安打を放ったイチロー氏だ。「イチローは2007年、シアトル・マリナーズと9000万ドルという高額な契約延長にサインし、2500万ドルの後払いを選択した。マリナーズと彼の繰り延べられた支払いに対して2020年から2032年まで5.5%の利子を支払うという契約を結んだ。つまり、イチローは今後10年間、年間525万ドルを受け取る」と綴り、日本人スター選手の過去の事例を紹介した。

 記事では他にもマット・ホリデイ氏、ボビー・ボニーヤ氏、ブレットセイバーヘイゲン氏が結んだ後払い契約の事例を挙げていた。

 「後払い契約」は過去にも多数の事例があったが、大谷ほどの大規模な金額で繰り延べを選択しているケースはなく、二刀流スターの契約は前代未聞と言えるだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ドジャースと異例の契約を結んだ大谷翔平 過去にもあった「後払い契約」の事例とは?日本人レジェンドの名前も