井上とタパレスの決戦に、アフマダリエフは熱視線を注いでいる。(C)Getty Images

 いよいよ決戦の時が間近に迫っている。12月26日に東京・有明アリーナで行なわれる世界スーパーバンタム級WBC&WBO王者の井上尚弥(大橋)とWBA&IBF同級王者マーロン・タパレスフィリピン)による4団体統一戦だ。

 今年7月にスティーブン・フルトン(米国)を打ち破り、同級初参戦ながら2団体統一王者となった井上。このタパレス戦で勝利すれば、史上2人目となる2階級での4団体統一となる。

【動画】戦慄のフック! 復活したアフマダリエフのダウン奪取シーン

 敵なしの快進撃を続ける井上の存在には世界が熱視線を向けられている。だが、このタパレスとの熱戦必死の大一番を見守るのは、両陣営の関係者たちばかりではない。現地時間12月日に、米専門サイト『Ring News 24』の取材に応じた前WBA&IBF世界同級王者ムロジョン・アフマダリエフウズベキスタン)は、「イノウエとタパレスの試合は今の自分にとって人生で最も重要な試合だ」と語った。

 2020年1月からWBA&IBFの王座に君臨してきたアフマダリエフだが、今年4月にタパレスによもやの判定負け。王座から陥落し、「厳しい教訓だった」と失意に暮れた。

 タイトル戦線から後退した29歳だったが、約8か月ぶりの再起戦で衝撃的なパフォーマンスを披露。この試合まで25戦無敗(1分け)だったケビンゴンサレスメキシコ)を序盤から手数で圧倒すると、渾身のアッパーで8回TKOで勝利。試合直後のフラッシュインタビューでは「あれは俺のベルトだ。俺こそがチャンピオンだ」とベルト奪取を公言した。

 同メディアの取材でタパレス戦について「ジャッジが間違っていたが、結果的に自分にいかなるチャンスも逃していけないという教訓を与えてくれた」と回想するアフマダリエフは、「あの試合では相手を過小評価していたし、トレーニングキャンプでもミスをしてしまった。自分は彼のことをあまり真剣に受け止めていなかったんだ」と回想する。

 さらに「今は肉体的にも、精神的にも、技術的にも、自分はこの階級でベストで、誰と戦ってもそれを証明できる」と断言した29歳は、井上とタパレスの決戦に対する並々ならぬ想いをぶつけている。

「もしも、『この男がベストだ』と言われているやつがいるなら、僕は誰であろうとそいつを倒すよ。(井上とタパレスの試合は)僕の人生でも重要な試合になる。自分にとって最も重要なのは自分が持っていた2つのタイトルだよ。それは僕のものだと信じていて、望むものでもある。

 もちろん両方のファイターに多大な敬意を払うよ。僕は世界中の全ファイターを尊敬している。だから、タパレスに恨みもない。彼が試合のジャッジを決めたわけではないことも知っているからね。いずれにしても、どちらが勝とうが、僕はどの選手にも勝てると信じている」

 4本のベルトを有する王者たちに敬意を示しつつ、自らの自信を隠そうとはしなかった。再びの戴冠に向け、好スタートを切ったアフマダリエフは、虎視眈々と“怪物”の絡むタイトル戦線を見据えている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

敗北したタパレス戦は「過小評価していた」 再起を誓うアフマダリエフが井上尚弥らに虎視眈々「今はどの選手にも勝てる」