大谷翔平を獲得してから間もなく、ドジャースは山本も手にした。(C)Getty Images

「新しい“悪の帝国”ができた」

 現地時間12月21日山本由伸ドジャース移籍の一報が流れると、X(旧ツイッター)をはじめとするネット上には、野球ファンによる上記の言葉が飛び交った。彼らの言う「悪の帝国」とは、なりふり構わない金満補強を展開した2000年代ヤンキースが授かった異名だが、ドジャースがそれを継承する形となった。

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 球界から嫌味にも驚きの声が上がるのも無理もない。今オフのドジャースは世界を仰天させる大物獲りを次々と成功させてきた。現地時間12月9日大谷翔平と10年総額7億ドル(約1015億円)のプロスポーツ史上最高額の契約を成立させると、7日後にはレイズからトレードで獲得した怪腕タイラー・グラスノーと5年1億3500万ドル(約195億7500万円)で新契約を締結。そして、21日に今オフにポスティングメジャー移籍を狙っていた山本と12年総額3億2500万ドル(約471億2500万円)のメガディールを完遂させた。

 山本を巡ってはヤンキースメッツも獲得に本腰を入れていた。地元局『SNY』などによれば、熾烈を極めた争奪戦に勝つために両軍ともに3億ドル(約435億円)以上のオファーを提示していたという。それでも大谷も交渉の席に出馬させるなど、より強い“誠意”を見せたドジャースには及ばなかった。

 何よりも驚かされるのは、ドジャースが2人の日本人に支払った金額だ。大谷と山本の契約金は合計10億2500万ドル(約1486億円)。大谷が契約全体の97%に当たる6億8000万ドル(約994億円)を後払いにしたとはいえ愕然する値だ。「この10年間を成功だと思っていない」という球団としての本気度が伺える。

 もっとも、チームにかかる期待はもはや天井知らず。8度目のワールドシリーズ制覇ですら、もはや「義務」だ。地元紙『LA Times』のビル・プラシュケ氏はヤマモトの獲得決定後に、自身のXでこうつぶやいている。

「いまやドジャースは2024年のワールドシリーズで優勝する必要があるというだけではなくなった。彼らは“絶対”に優勝しなければならない。その理由は10億通りある」

 天文学的なメガディールを矢継ぎ早に成功させ、より強固なスター軍団を作り上げたドジャース。米球界に新たな“悪の帝国”を生み出した名門は、果たして義務化された世界一を成し遂げられるか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

大谷翔平と山本由伸に驚愕の1486億円! “本気の札束攻勢”を見せたドジャースに課せられた「義務」